お盆休みは親の実家である青森に帰る
いつもは実家から家族総出で自動車に乗り、半日くらいかけて行くのだけど、
今年はぼくが就職してひとり暮らしをしていたから日程が合わず、ぼくだけ新幹線で遅れて向かった。

関東からこまちに乗って秋田まで
大体3時間のひとり旅

座席が通路側だったこともあり、車窓からの景色にはしゃぐことはせず、仮眠をとったり本を読んだりしながら静かに過ごしていた。

ひとり旅というのは、なんというか、悟りを開きそうになる。

ひとり暮らしを始め、出会いと別れがあり、当然だけど様々を自分ひとりでやっていかなければならなくなった。
慌ただしくなった日常の中で考える暇もなく過ごしてきた諸々を新幹線の中で考えていた。
仕事のことを忘れ、自宅に残してきた洗濯物や生ゴミのことを忘れ、今一度自分自身と向き合った。いや、生ゴミのことだけは何度か考えたかもしれない。

まあ、
向き合ったところでぼくは物事をあまり深く考えない性質なので結論は色々考えるとお腹が空くなぁというところで落ち着いた。
そしてパンを食べて本を読んで車窓を眺めた。新幹線、いいじゃないか。

例年の自動車での帰省に比べれば遥かに快適だ、そして早い。
目覚めてから数えておよそ6時間、ぼくは秋田駅に到着した。休みの日はお昼過ぎまで寝ているかぼーっとしている普段と比べるとなんだか別世界の話のようだと思った。
同じ一日でも新幹線に乗るとお昼には秋田に行くことができる!すごいぞ、現代!

秋田駅には、家族の迎えが来ていて、せっかくだからと男鹿半島を巡って回った。
見渡す限りの生ナマハゲ。
ゆく道はなまはげロード、待ち構えるは巨大ななまはげ、異常なまでに駐車場の広いコンビニと、繰り返されるナマハゲの狂宴。

田舎は「潮風と海の街」とか、「山と自然の里」とか、やたらと似たような売りを並べ立てるものだと思ったけど、
男鹿半島はナマハゲ単騎での勝負か。なんと男らしい。しかしさすがに暑苦しい。ぼくはそっと目を閉じた。

早起きした割には、なんだかんだで新幹線の中で眠らなかったのだ。さすがにナマハゲづくしは目に余る。そもそもなんなんだナマハゲて。半生タイプも好評発売中なのか?炙って肴にしてやろか。

家族一同ナマハゲ酔いで帰路につく。
生だのハゲだのいいながら、もどってきました青森県。
十二湖過ぎて椿山、千畳敷で一休み、そんなこんなでようやく帰省。
実家は廃屋、ムジナの住処、雨漏り、ゲジゲジ、抜けた床。ギリギリ住める廃屋だ。

ぼくが帰ったときにはすでに、お盆の送り火住んでいて、特にやること残ってなかった。
しかもまさかの大雨直撃、まさかまさかの記録的豪雨。
なにをするでもなく、できるでもなく、ひたすら夏の甲子園を見ていた。暑そうだった。
おかげで帰りの電車も止まり、帰宅の日にちを先送り。嬉しいやら悲しいやら。

先送りにしたおかげでようやく晴れ間が見えて、一体何をしたかというと、セメントこねて穴埋めました。
ムジナの住処を生き埋めじゃ。

そんなこんなで帰ってきました。
仕事の前日深夜に帰宅。
洗濯物と生ゴミが新たな生命を芽吹きつつあったけれど見なかったことにしてねた。


ボーナスは新幹線代と、主なき実家で逞しく増殖していたみょうがになったとさ。おしまい。