第4回目【問題社員への対応②】 | 社労士IMALUのブログ

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4回目は引き続き【問題社員への対応】についてお話します。

3回目で【問題社員への対応】について【解雇】以外の方法があることについて、特に、【退職勧奨による合意退職】についてご説明しました。

この【退職勧奨による合意退職】で社員が退職した場合には、基本的には【合意】しているのですから、後日『会社に解雇された』などと文句を言われても、対抗することができます。

しかし、手続としては必ず【合意書】をとっておく必要があります。

『無理やり合意させられた』と言われないようにあくまで、時間をかけて話し合った結果の合意という形を証明するためにも必要なのです。

たいていの人は自分が署名した【合意書】があれば、後日文句を言うことはありません。

しかし、中には「無理やり書かされた」等と言いがかりをつけてくる人もいます。

そのような場合でも、客観的な立場の裁判官が見たときに、【合意書】に直筆の署名と押印があれば、「無理やり書かされた」ものではないことぐらいは理解してくれます。

また、「無理やり書かされた」と言われないために、【合意書】にはその場で署名、押印をさせずに、一旦事務所に戻らすなり少し時間をあけた後に提出してもらう。という対応もベターな対応といえます。

そして、【合意書】締結までの話し合いの際の【面談記録】をとっておくことも重要です。

内容は大層なものである必要はありません。


(例)

10月10日 15時~ 会議室にて面談 面談者:糸井、山本、○○

面談内容 : 今後の対応について相談

○○は「退職金を上積みしてくれるなら、辞めてもいい」と発言

糸井が「どの程度の上積みが希望」と確認した後に○○から○ヶ月分という要望がある。

糸井は了解し、【合意書】締結する旨提案し、○○は了承する。

・・・・・・・・・


のような具合です。

録音したりすると、発言に警戒されたり、後々厄介なことになることもあり、録音できない事通常です。また、隠れて録音するよりも、このような面談記録をきちんと時系列に整理しておくことで十分です。

(※ 毎回の面談記録に社員の署名があればなおさら完全ですが、これもなくても問題ありません)

近年の【個別労働紛争相談件数】では、【解雇】の相談件数は若干減少傾向にありますが、その代わりに

【退職勧奨】と【自己都合】の相談が増加しています。

これは、【解雇】がリスクがあることが経営者に浸透してきたが、その分ある意味強引な退職勧奨(追い込み?)が増加しているからだと考えられます。

経営者がいくら「冷静に話し合った」と考えていても、社員から見れば「追い詰められた」と思うかもしれませんし、他人から見てそのような状況ではない。と思えるような状況は作るように心がける必要があります。

せっかく【合意退職】し、解決したと思ったら、数か月後に『【不当解雇】ではないか』と争われたら、それこそ、元も子もない結果となってしまいますので、ご注意ください。

どうしても、経営者と従業員という立場だと上下関係に思われてしまいますので、それを避けるためにも、人事担当者を同席させるか、もしくは顧問の社会保険労務士を同席させるというのも効果的です。

そういった意味でも、問題社員への対応でお困りの場合は社会保険労務士にご相談されることをお勧めいたします。