今日、僕は鳥取に旅行に来ている。鳥取は縁のある地である。それは僕の母方の祖父母にゆかりがあるらしいのだ。
僕は小さいころ鳥取に祖父とみんなで旅行に行った記憶がある。
それを辿っている気持ちだ。
それだけではない。20歳になった今年だからこその意味がある。
祖母はお酒が好きだった。
ふと僕は思う事がある。祖母とお酒を飲みたかった。ただ高い酒を飲むのではなく、その時間を体験してみたかった。
目の前には、祖母の写真。
そんな話をしながら、同じテーブルを囲んで、ゆっくり杯を交わしたかった。
祖母が亡くなったのは、僕が3歳のときだ。
17年早かったんだよ。
あと17年、待っていてほしかった。
僕が祖母との思い出は、僕が母の実家に行っているときに、僕が帰ると言うと、祖母は泣く真似をして悲しそうにしていた。
その話を思い出すと、今ならもっとそばにいてあげたかったと思う。
もっと話したかった。
もっと顔を見たかった。
そして今は、写真越しではなく、祖母の手の温かさを感じてみたい。
手を握ってもらって、「おばあちゃん」と呼んでみたい。
叶わないと分かっているからこそ、悔しい。
「なんでその時に死んだんだよ。」
そんな言葉が、写真に向かってこぼれる。
もし今も生きていたら、僕が酒で失敗したことを知ったら、きっと厳しく叱ってくれただろう。
でも、そのあとには優しくしてくれたんじゃないかと思う。
そんな祖母に、僕がこれからどう生きていくのかを見ていてほしかった。
今日、縁のある鳥取に来た。
そして今、祖母の写真を前にして酒を飲んでいる。
隣に祖母はいない。
それでも、グラスを手に取る。
「おばあちゃん。」
「僕、20歳になったよ。」
本当は、一緒に飲みたかった。
その言葉だけを写真に残して、グラスを掲げる。
17年遅れの乾杯。
祖母と縁のあるこの場所で、僕は一人で飲む。
少し寂しいけれど、不思議と静かな夜だ。
おい、ばぁ。
あと17年、待っていてほしかったよ。
でも、今日は一緒に飲んでいることにする。
これ以上書き綴るとグラスの中薄くなるからここでやめよう。
乾杯。