侍ジャパンの監督は、想像以上に「孤独な仕事」だった。

2026年WBC。 日本代表は衝撃的な敗退を喫した。 結果だけを見れば、単なる負けだ。 でも今、日本球界で起きているのは、それだけじゃない。

「次の代表監督、誰がやるんだ」という声の裏に、 もっと本質的な問題が静かに浮かび上がっている。

 


■ 監督の仕事は、試合だけじゃなかった

多くの人は知らない。 侍ジャパンの監督がどれほどの業務を背負っていたかを。

試合の采配を振るうのはもちろんのこと、 メジャーリーガー招集のための交渉、所属球団との出場条件の調整、 選手への直接説得、球数制限や契約問題の調整まで。

栗山英樹前監督も、井端弘和前監督も、 実際にアメリカへ飛んで、選手本人と向き合っていた。 それは監督の仕事というより、フロントの仕事だ。

でも、やる人がいなかったから、監督がやるしかなかった。

 


■「重すぎる」という声が、もう止まらない

日本球界の関係者の間で、こんな言葉が出始めている。

「負担が重すぎて、代表監督を引き受けたがる人がいない」

これは冗談じゃない。 現場の指揮官として選手を動かしながら、 同時に国際舞台での交渉人として球団と渡り合う。 どちらか一つでも、普通じゃない仕事だ。 それを一人に押しつけてきた。

勝てば英雄。負ければ全責任。 そんな構造が続く限り、本当に優秀な人ほど手を挙げなくなる。

 


■ GM制度導入という、一つの答え

そこで今、急速に広がっているのが「MLB型GM制度の導入」だ。

GMとは、ゼネラルマネージャーのこと。 選手の招集交渉、球団との調整、チーム編成の決定権を持つ専門職だ。 メジャーリーグでは当たり前の存在だが、 日本代表にはこれまで存在しなかった。

もし本格的なGMが置かれれば、監督は試合に集中できる。 戦術を磨き、選手と向き合い、現場で采配を振るう。 それだけに専念できる環境が、ようやく生まれる。

 


■ 2028年、そして次のWBCへ向けて

2028年のロサンゼルス五輪、そして次回WBC。 日本代表に招集したいメジャーリーガーは、これからも増える。

大谷翔平だけじゃない。 山本由伸、今永昇太、鈴木誠也…… 海を渡る選手が増えるほど、交渉の難易度も上がっていく。

監督一人が全部やる時代は、もう終わっている。 データ分析、コンディション管理、球団との政治的駆け引き、 国際大会はとっくに、巨大なプロジェクトになっている。

 


■ 組織が変わらないと、世界一は遠い

私は、この改革は必要だと思っている。

勝てる組織を作ることと、 勝てる采配を振るうことは、別の話だ。 その二つをごっちゃにしてきたことが、 今回の敗退の遠因の一つだったかもしれない。

世界一を本気で狙うなら、 監督に全責任を押しつける構造そのものを変えるしかない。

侍ジャパンの本当の改革は、 フィールドの外から始まるのかもしれない。