2025–26 MGCシリーズG1・大阪国際女子マラソンで、日本女子マラソン界に衝撃のニュースが走った。
その主役となったのは、人生初のマラソンに挑んだ26歳の矢田みくに(エディオン)だ。

矢田はこのレースで2時間19分57秒をマークし、日本人最上位でフィニッシュ。


このタイムは「初マラソン日本最高記録」に相当し、従来の記録を大きく更新する歴史的快走となった。
さらに、この結果によってロサンゼルス五輪選考会につながるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権も獲得。
まさに完璧すぎるデビュー戦だったと言っていい。

レース内容も記録以上に価値があった。


序盤から先頭集団に食らいつき、冷静にペースを刻む安定感。
25km以降、日本人選手が次々と脱落していく厳しい展開の中でも、矢田は一切動じることなくトップグループに残り続けた。

30km地点でペースメーカーが外れると、矢田は自ら先頭に立ち、レースを主導する積極策に出る。
30~31km区間では3分11秒までペースを引き上げ、明らかに「勝負に出た」走りを見せた。


35km以降は表情が険しくなり、苦しい場面もあったが、それでも最後まで崩れず、海外の強豪たちと優勝争いを演じた。

結果は2位相当の高順位フィニッシュ。


初マラソンでこのレベルのレース運びができる日本人選手は、正直ほとんどいない。
単なる記録更新ではなく、「世界と戦える走り」を見せた点が最大の評価ポイントだ。

 

矢田みくには1999年生まれの26歳。熊本県出身。
高校時代から3000m、5000mで日本トップクラスの実績を誇り、インターハイ入賞、U20世界選手権出場など、世代を代表する中長距離ランナーとして注目されてきた。

 

高校卒業後は実業団デンソーに加入し、アジアジュニア選手権5000mで優勝。
その後、2022年にエディオンへ移籍。
昨年はアジア選手権で自己ベストを更新して銅メダルを獲得し、世界大会にも出場するなど、着実にキャリアを積み上げてきた。

これまでのトラックで証明してきたスピード。
そして今回のマラソンで見せたスタミナとレースマネジメント能力。


この二つが融合したことで、矢田みくには「次世代エース候補」から「本物のマラソンエリート」へと一段階進化したと言っていい。

私の率直な見解を述べるなら、日本女子マラソンは今、確実に世代交代のフェーズに入った。
これまでのエースたちがピークを越えつつある中で、矢田のような20代半ばの選手が世界基準のタイムで台頭してきた意味は大きい。

ロサンゼルス五輪を見据えた場合、矢田みくにはメダル候補に成長するポテンシャルを十分に秘めている。
初マラソンで2時間19分台に突入できる選手は、日本国内でも極めて希少だ。
しかも、ペースメーカー任せではなく、自ら勝負を仕掛けるレーススタイルを持っている点も評価が高い。

今回の走りが「たまたまの一発」だとは思えない。
むしろ、ここから安定して2時間20分前後のレベルに定着してくれば、日本女子マラソンの勢力図は大きく塗り替わる可能性がある。

初マラソンでこの完成度。
次のレースは、さらに恐ろしい存在になるだろう。

日本女子マラソンの未来を担う新星、矢田みくに。
この名前を、今のうちに覚えておくべきだ。