昨日に続くベトナムTuoiTre紙の「中国経済に攻め入れられてヤバイぞ、ベトナム経済」連載の続き。「ベトナムが中国技術のゴミ捨て場になる!」過激なタイトルと共に発せられたメッセージは、ベトナム経済への「喝!」とも言うべきものでした。

 記事はベトナム商工省傘下のビジネス貿易研究所(直訳すれば「商貿研究所」)Ho Trung Thanh研究員へのインタビューによるもの。昨日までの、対中赤字が広がるベトナム経済の現状(詳しくはこちらをご参照下さい)に関する記事を踏まえて、基本的には最もな論調。機械輸入など多く、多少農産品輸出しても輸入超過は当たり前、などなど。

 しかし、話題が中国製機械輸入に至ると、論調はヒートアップしてきます。「中国発の技術、生産機械を輸入してきて中国製以上のものを作れるはずがない」というところから始まり、中国でも技術革新が進み、また環境規制が厳しくなっている流れを説明しつつ、そういった「汚染企業」がベトナムに流れてきている現状を指摘。そして、中国から流れてきている生産機械、技術も古いものが多く、低効率、高汚染が続けば「ベトナムは中国の(遅れた)ゴミ技術の消費地」になってしまう、と強い口調で警鐘を鳴らしています。

 ただ彼は中国をはねつけることをもって対策とするのではなく、ベトナムがビジネス環境を改善し、技術を興して競争力を上げるべきだと、ベトナム自身にベクトルを向けてきたのでホッとしました。もちろん、汚染企業が跋扈する、密輸業者がやたらに儲けるのはけしからんことですが、「規制しろ、規制しろ」だけで国内を見ない議論にはなってはいけないと思っていたからです。

 「巨大な隣人」とどう付き合うかが大切、という現実。中央経済管理研究院副院長のVo Tri Thanh氏によれば、2013年より、中国との貿易ではほとんどが関税率0-5%で、関税障壁というのはほとんどあって無きが如しという状況にあるベトナム経済。「正しく恐れる」ことができれば、自国経済の弱点を映し出し、改革を促す鏡にもなるでしょう。ただただアンチ中国というだけでは済まされません。