「幸福は涙で終わるのがお決まり」
「世界幸福度報告書」が2012年に初めて公表されて以来、一貫して上位を占めているのはデンマーク、スイス、ノルウェー、そしてフィンランドの4カ国である。日本(47位)に住む我々にとっても、フィンランドの生活哲学について学ぶことは価値がある。
フィンランドの文化の象徴的な一つであるサウナは、健康面への利益はもちろん、精神的な安定にも寄与する。フィンランドの人口550万人に対し、サウナの数は推定で300万以上と言われている。これは明らかに、サウナがフィンランド人の生活に深く根ざしていることを示している。さらに、フィンランド人は自然に囲まれた環境での時間を特に重視している。これはしばしば見落とされる事実だが、高級なリゾートや大金の出費は必要なく、たった15分の森林散歩だけで血圧が下がり、心身の健康が向上するという研究結果もある。
しかし、これらを超えてフィンランド人が持つ独特の価値観が、その幸福度の秘訣とも言えるだろう。「人生という贈り物に対する感謝の心」がそれである。これはフィンランドの格言、「Onnellisuus on se paikka puuttuvaisuuden ja yltäkylläisyyden välillä(幸福は欠乏と過剰の間に存在する)」とも通じる。フィンランド人は「大きな喜び」よりも「穏やかな心の平安」を優先する。
何がフィンランドを世界で最も幸せな国にするのかと問われれば、「フィンランド人は初めから期待を持たず、だからこそ失望せず、よりバランスの取れた心の安定が手に入るのかもしれない」と回答するだろう。全てを手に入れようと焦るのではなく、美味しいコーヒーの一杯や見知らぬ人に対する気配り、無料の公園、美しい自然など、すでに手元にあるものを最大限に活用することの大切さを見直すことが大切である。
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