見かけると嬉しくなって(あまり多作ではないので)
必ず手にとって見る位に好きな漫画家。
 
今まで持っていた印象は
「微妙に丸っこくデフォルメされたデッサンと緻密に(言ってしまえば「くどく」)描き込まれた質感。」
「不条理ギャグ」
絵に力が入ってる割にストーリーに対して作者が醒めている感じがしてそこがちょっと面白い。
って感じでした。
 
 
この作品は
「世界は意味をなくした」「心が軋む」「誰かが..俺を狙撃してくれないもんだろうか」
というくらいの悲しみと喪失感のストーリー。
作者の実体験を客観性よりも感情をぶつけるように書かれています。
 
表現する技術があって、表現すべきことがあるとき、
これだけのものが生まれる。
 
それでも気持ちは技術を超えてしまう。
 
そういう時、過去の有名作品での悲しみの定型的表現のをコラージュしたりもしていますが
それでも表現できない感情は
空間的、時間的な空白を描く、という逆説的な方法で表現されています。
執拗な細部の書き込みと軽いタッチの笑い、それに続く第3の表現。
 
絵をことばで表現するのは限界がありますね。
機会があったら気合を入れて読んでみてください。