実は今回はじめて読みました。
前から読んでみようとは思っていましたが、
まあ、また今度って感じで今まで来てしまいました。
池澤夏樹の新訳を偶然見かけたので購入しました。
 
翻訳は訳者そして翻訳時期によって読みやすさがぜんぜん違います。
文体に慣れていてしかも「現代」訳だとすーっと入ってきます。
池澤氏の文体はちょっと硬いですが好きな作家です。
 
さて、「星の王子さま」ですが、
深い。
軽く衝撃を受けました。
 
訳者は本作がむしろ詩に属する技法で書かれていおり
「1度読んでわからないのは当然。詩とはわかるものではない」
と言っています。
なるほど。
続けて2度読んでしまいました。
そう長くは無い本ですが珍しいことです。
 
 
  飼いならしたキツネと王子さまの別れ。
  多分もう2度と会えない。
 
  きっと俺は泣くよ、と言うキツネに
  「ぼくのせいで君を困らせる」と王子さまは言う。
  でもキツネは
  「小麦畑の金色を見るたび、君の髪の金色を思い出す。その分だけ得をした」
  と言う。
 
 
あっさりしたストーリーからは、それをきっかけとして
自分の中から多くのものが引っ張り出されます。
もちろん子供だった頃の思い出や気持ちもたくさん浮かび上がってきます。
そういう、今でもかろうじて残っているものの他に
何倍ものすばらしい気持ちや色々なことが、
今では無くなったり、変わってしまったりしているんだろうな、という
喪失感(使い方合ってますか?)を感じました。
 
読む人、読む時期、読む年齢・・・それぞれに色々なものを
引っ張り出してくれると思います。
 
常備決定。