平山君(馴れ馴れしい?)の4冊目を読みました。
だいぶ彼の世界に慣れてきてすんなり読めるようになってきました。
 
作者本人を知っていて(ほんの短期間、しかもごく限定的な間柄ですが)
その人が世に出した本を読める、これはめったに出来ない貴重な読書体験。
 
「作品ごとに作風が変わる」と言われているみたいですが、
彼の当時の印象を手がかりに俯瞰するように各作品を眺めると
共通の空気、匂いがあるように思えます。
 
高校生の頃の気分を思い出させる作品です。
登場人物は20代半ば、思い出の舞台は中学ですが。
 
当時は「こころ」とか「自分」の成り立ちが今より柔軟で弱くて、
「現実」と言う言葉で規定される範囲が曖昧。
白昼夢みたいなものを見た記憶(曖昧ですが)すらあります。
こころの感受性はもちろん、センサーとしての身体的な感覚も鋭敏で
今は見えないものが見えていたような気がします。
そんな当時の「あの」気分を思い出しました。