小説家と心理学者の対談。
ずいぶん前に買って、今でもたまにパラパラ捲って読んでる本です。
(奥付を見ると平成11年刷ですから約10年前)

車の助手席や仕事PCのそばに置いてあったりします。
表現すること、物語の意味について考えるきっかけになった本です。


小説を書くこと(物語を作る事)は自己治癒の行為だ、と村上氏は言う。
「物語を作る」とは
「明確なメッセージがあってそれを伝えるために書く」
事ではなく、
「自分の中にどのようなメッセージがあるか探し出すために書く」
事であるという。

私たちにもそれぞれのメッセージがあり、
それを絵や文章などを使って表すことは可能だと思います。
でもそれは個人的なレベルに留まっていて
表現行為自体は自分の癒しにはなりますが、
その産物は他の人にはそれほどの影響は与えない。

小説家は、「メッセージ」が特に強くて、
だから表現欲求も強いのでしょう。
それで止むに止まれず表現し続けている。
辛い状況。

それが他の人にとっても癒しにもなるから、
受け入れられるのでしょう。

反対に、稚拙で人を傷つける「物語」が、
稚拙な人を引き込んでしまう危険についても言及されています。