戻れない瞬間が、やり直しが出来ない選択が、それぞれの登場人物を追い詰め苦しめる。
しなくて済んだかもしれない辛い思いを噛みしめることになってしまう。
今いるところから、ありのままの自分からしか一歩踏み出すことは出来ないのに
違う自分を求めようとするから
現実から逃れようとするから
人生は狂っていく。
たぶんただ幸せになりたいだけなはずなのに、道はそれていく。
大切な人を思う時はどこまでも強くなれるのに、目の前の幻に縋ろうとする弱さに負けてしまう。
人間が持つ愛の大きさと業の深さ、刻みゆく日々の儚さ。
最後まで引き込まれっぱなしだった。
祐一の祖母・房枝が心の中で孫に語りかける場面。
『あんたも、正しかことしなさいよ。あんたも、怖かやろ?でも逃げたら駄目。ちゃんと、正しかことばしなさいよ。ばあちゃんも、負けんとやけん。
(中略)
祐一、逃げたら駄目よ。怖かやろうけど、逃げたら駄目よ。逃げたってなんも変わらん。逃げたって誰も助けてくれんとよ。』
辛い時、苦しい時、逃げられないとわかっていても安きに流れてしまいそうになった時。
この言葉がきっと支えてくれるだろう、そう思えた。
