佐渡島エコジャーニーウルトラ遠足206改め208km完走報告 その9(18日-3)
リタイアしよう!と、決まったら、行動はひとつだ。
主催者に電話をして、リタイア宣言し、迎えの車を待つ。
携帯電話の、「あ」の一番先頭に、主催者の菅原さんの携帯電話が登録してある。
13時30分頃 菅原さんに電話する。
「…この電話は、電源が入っていないか、パケット通信中です…」
パケット通信するわけがない。電源が入っていないか、圏外だ…。
体中の力が抜けて行く。
小木の町を抜け、畑の一本道を上がり下がり。ここでは、こちらも圏外だ。
こうなったら、宿根木の町まで行かなければ、ダメだ。
日差しはじりじりと暑い、体力を奪って行く。
途中、農家のおばちゃんに声かけられる。
「どこまで行くの?」「大丈夫かね?」「ものすごくしんどそうに歩いていたよ。」
そこで、リタイアする旨を話すと、
「そうだねえ、それじゃ歩けないねえ」
さらに、もう少し歩いて行くと、やはり、農家のおばちゃんに、
「大丈夫かい?しんどそうだよ。」
よほど、しんどそうに歩いていたのだろう。
そのころ、自分は、足は痛いし、リタイアの連絡は付かないしで、
かなりふてくされて歩いていたことは間違いなかった。
端から、そう見えたとは、何とも分かりやすい性格なんだな、オレは…。
女子ランナー2人に抜かれる。
彼女たちは、道を右にそれて、千石船を見に行った。
コースで唯一、昼間に通過する観光地だと言うのに、その気は全くない。
見る気はないが、証拠のために写真を撮る、14時12分だ。
千石船はこの建物の中に、どっかと据えられている。
そのまま、宿根木の旧市街に降りてゆき、細い小路の市内を巡る。
巡ると行っても小さな町、あっという間に休憩所だ。
トイレに寄り、ベンチに座ってアイスを食べる。
日陰で気持ちが良い。海を見ながら食べるアイスはおいしかった。
少し、機転が利けば、ビールでも飲んだのだろうが、そう言う頭は全くなかった。
完全に、ふてくされている。
何度も電話をかけるが、繋がらないのは変わらない…。
これは、第4エイドまでは行かねばならない。
あと、7kmくらいはある。
日差しの中、半袖の両腕はすでに赤く日焼けし始めていたが、
これ以上ひどくしないようにと、長袖に着替えることにする。
着替えると、臭い汗のニオイが消えて、その点だけは快適になった。
あきらめて、坂を上り始めると、坂の下に歩いてきたランナーが見えた。
手をふると、しばらく躊躇してから、走りながら登ってきた。
走りながらと言っても…、歩くより遅いペースである。
登ってくると細身のいかにもランナーである。
名前は「Kさか」さん。
「ボクは、いつもはトライアスロンに出ているですよ。」
「じゃあどうして、佐渡島へ?」
「今回はギリシャを走りたくて、エントリー資格を取るために参加したんです…」
ニコニコしながら、ひょうひょうと、おっしゃるではないか。
「なんだ、ボクと一緒じゃないか…。」
でも、口に出しては言わなかった。
だって、リタイアするって決めていたから、ここで、言っても恥ずかしいだけだと思ったのだ。
リタイアする旨を、彼に話すと、
「まだ、時間は十分にあるんだから、歩いてだって、間に合いますよ。」
「リタイアしたって、つまらないですよ。ゴールした方がいいですよ。行きましょう。」
彼も楽天家だった。
足の痛い私が歩くより遅いスピードで走っているのに、何の心配も頓着もしていないのだ。
ボクは、返す言葉がなかった。
早く、この人と別れたいと思ったほどだ。
このころ、まだ、じんじんとしてはいたが、顔をゆがめなくては歩けなかった時に比べれば、
足の痛みはいくらか引いてきていた。
だらだらと、それでも、一人よりは楽に、第4エイドに到着することになった。
15時30分頃、第4エイド到着。
開口一番
「菅原さん、リタイア宣告しようと、何度も電話したのに、通じないじゃない!」
すると、「え~?」と、携帯を見ながら、「ああれ、ここは圏外だ、うハハハハハハハ!」でした。
とりあえず、靴を脱ぎ捨て、腹ごしらえをした。
おにぎり、パン、梅干し、ミルクティー、コーラ、お茶、バナナ…相変わらず、同じ食料に、飽きないわけではなかったが、食べられるものは食べるのだった。
そそれから、大きなベンチで、横になり、睡眠に入った。
続く…。
