富士登山競走 完走記 | 残せるのは、生きざまだけ

富士登山競走 完走記

7月22日(金) 

朝の富士吉田市役所本部の気温16.5度。

富士山山頂の気温10度。
気温差のない最高のコンディション。


午前7時、Cブロックの並びは後方である。
マイクの調子が悪く、市長の激励もとぎれとぎれ。
と、列がずずっと、前に動き出した。

「あれれ?スタートしたのか??」周囲がざわめく。
と、その直後にどーんと花火が上がり、スタート。

馬返しまで1時間5分を切る事を念頭に、飛ばす。
坂道練習の甲斐あって、坂道に対する、メンタルは全く問題ない。
どんどん、抜かして行く。Bブロックの人達が増えてくる。

浅間神社15分24秒。 給水を受けて、ひたすら登りの一本道を走る。
きつい、今できる最大の力を出して走る。
呼吸がきつい。でも走れる。
前に走る人のシューズと、流れる地面だけを見つめて走る。
「こんなにきつくて、大丈夫か!?スタート直後の今、こんなにきつくては、とうてい山頂は無理ではないか…」柄にもなく、不安がよぎる。
ふと、目を上げて前を見る。
登りの直線道路一面、ずーっと先まで、ランナーの背中が見える。
「みんな、きつくないのだろうか?いや、この中に、一人として楽なランナーはいないはずだ。」
「彼らが走っているから、自分も走れる。自分一人では、このスピードで走れる自信がない。」そう思うと、参加しているランナーに感謝の気持ちが沸いてくる。
と、同時に、主催者、ボランティア、関係者すべてに、感謝の気持ちが沸いてきた。

中野茶屋39分42秒  給水 立ち止まって水を飲もうとすると、吐き気がした。少し呼吸を整え水を流し込み、スタート。
ここからは、未舗装の林道だ。傾斜もきつくなる。「あれ?坂はもっときつかったはず…??」昨年の感覚とは違う。これも、坂道トレーニングの成果か。
黙々と走る。とにかく、馬返しに1時間5分までに着きたい。

馬返し 1時間4分53秒 目標クリア 給水、塩、氷砂糖
ここからは山道。すでに渋滞気味。少しづつ抜かしはするが、なかなか進まず。
しかし、これまでの様に心肺限界と言うことはなく、休憩しながら、登る感じだ。
5合目近くで、となりにいた人に「もうすぐですよね」と聞くと、赤シャツのおやじが「大丈夫だ。このペースなら山頂は間違いない。8合目は3時間10分くらいで行ける。」と太鼓判を押してくれた。「よっしゃー!」と喜んだ自分は、浅はかだったと気づくのに、1時間はかからなかった…。

5合目 2時間4分40秒 ほぼ、予定通りのペース。給水、塩、バナナ、梅干し
森林限界を超え、ざれ場に入る。走れない、早歩き。一歩でも、前へ。一時も休まない。7合目までは比較的、あっという間だった。
が、8合目は遠かった。いくつもの小屋を過ぎ、いくつかの給水を経て、
足は、つりそうだ。まずはふくらはぎから始まり、それが治まる頃には、太股ハムストリングに来て、そして、おしりの中でん筋へと、移っていった。
このころには、今できる力で、マイペースに止まらずに歩こう。と、
昔、縦走をした頃のねばり歩きに徹していた。おのずと、スピードは出ない。
ただ、これが精一杯だと、これがベストだと思っていた。
なぜなら、山頂まで足を持たせるには、無理は禁物と思ったからだ。
それでも、何とか8合目に到着。

8合目 3時間47分19秒  赤シャツの予言より37分遅れだ。 水、塩、バナナ
標高3100m あと670mの登りだ。 時計を見る。「あと、40分!」
山頂を見上げる。まだまだ先だ。「間に合うのか…」
しかし、足は動かない。
無理して、少しバランスを崩せば、太股でもふくらはぎでも、すぐにつってしまいそうな状況。
登山用の石の道標が見えた。”この先、山頂400m30分”
時計を見ると、4時間30分の制限時間まで残り19分…。
「うわ、無理かもしれない…、ここまで来て、数分で間に合わないのか…!!」
しかし状況は変わらず、前後の人と、抜きつ抜かれつ、はい登る。

そんな、閉塞感の中、山頂から声が聞こえた。
「もう少しだ、間に合うぞ、走れ!」
すると、数メーター後ろから声がかかる。
「もう少しだ!みんなで力を合わせて、行くぞ!」
すると、「オー、オー、オー」と、雄叫びがあちこちから上がる。
動かないと思っていた足も、雄叫びを上げて、前を向いたときから、
少しづつ、動くではないか!
いつの間にか「走れー!」と、叫んでいる自分がいた。
山頂の鳥居が見えるころには、転がる様にもつれそうな足を、前に前に出していた。
そして、ゴール!!
思わずとなりの人と、肩をたたき合いながら、「やったね!ありがとう!おめでとう!」と、握手をしていた。みんな笑顔だった。

ゴール 4時間26分48秒





富士登山競走は、本当に試練だと思った。4時間30分のかべは、きつい。
しかし、きついからこそ、そこに向けて、もがくのだ。

それも、一人ではもがけない。

みんなで走っているからこそ、もがけるのだ。

ゴールして再度、感謝した。

ありがとう。ランナーの仲間!

ありがとう、スタッフの方々!

来年も、きっと戻ってきます。この山頂目指して…。