理由

時代物が売れまくっている宮部さんの、
これは結構以前に出た推理小説。

時代ものではなくって、もろに現代小説です。

読んでなかったのですが、こりゃーおもしろいです。

ある超高層高級マンションで起きた一家四人殺人事件だが、
その四人はその部屋の住民ではなく、しかもお互い家族ですらなかった・・・。

なぜ?

というストーリーなのですが、
ノンフィクション的な手法で、妙にリアルです。

この物語、
やはり宮部さんらしいといいますか、
結局は人物、人間というものが主題だと僕には思えます。

ひとつの事件を中心に当事者と、そこに居合わせたたくさんの人々の
生い立ち、生活、性格までもを、実にていねいに明らかにしていくからです。

長ったらしくないのに素晴らしく的確な表現と、
やはりそれぞれに特徴のある語り口調で、
平凡な人物に、多彩な色をつけていく。

なのになぜかとってつけたような状況説明にならないのは、
さすが小説家、さすが宮部みゆきと言うほかありませんね。

はずれの心配の非常に少ない、
安心して買える一冊です。

退屈を忘れたいときに。