Fri 170825 今晩は金沢におります/台風18号接近中/オペラで徹夜/邦画に号泣 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 170825 今晩は金沢におります/台風18号接近中/オペラで徹夜/邦画に号泣

 今夜のワタクシは、金沢にいる。東京駅を10時52分に発車する北陸新幹線「かがやき」に乗りこんで、金沢には13時23分に到着。金沢駅で一番豪華な駅弁&十分な水分を買いだめして、悠然とホテルにチェックインした。

 諸君、いま金沢に台風18号が接近中である。今朝早く鹿児島に上陸、夕暮れには高知県に再上陸した。これから四国と関西を横断し、ほとんどピンポイントでこの金沢にやってくる。午前1時か2時の金沢は、おそらく台風の目の中に入っている。

 金沢で公開授業は、明日18日の午後4時半からであるから、もともとの予定では、明日午前10時のヒコーキで小松から金沢に入ることになっていた。

 しかし諸君、600名も700名も出席する大規模な公開授業で、万が一にも「台風のせいで今井が来ません」なんてことになってはいけない。ワタクシは早速、ホテルと交通機関をアレンジし直したのである。

 台風の進路を見ながら「こりゃヤバいな」と考えたのは4日前。まだ台風は沖縄の西の海上でトグロを巻いていたが、大きくカーブした後は、まさに西日本から北陸を狙い撃ちにした進路であって、「当日の金沢入り」というスケジュールでは、余りに危険すぎるように見えたのだ。

 そこで諸君、「前日 ☞ 17日のうちに金沢に入ろう」「大キライな新幹線もガマンする」「ホテルはどこでも構わない」と、1時間ほど懸命にMacくんをポチポチやったら、旅行代理店のベテラン社員よろしく、マコトに鮮やかにスケジュールが出来あがった。
金沢駅
(17日午後1時半、新幹線「かがやき」で金沢に到着)

 しかし金沢に到着してみると、まるでヒトをバカにしたような暢気な空模様である。さすがに陽は射していないが、雨なんかちっとも降っていない。風はそよ風、秋の連休の1日、金沢はどうやらお祭りの真っ最中であって、駅前には「金沢おどり」のボンボリがたくさん揺れている。

 それでも危機感だけは駅に溢れていて、「大阪行きの特急サンダーバードは、15時半以降の運転を休止します」の赤い文字が掲示板に映し出され、駅員は忙しげに駆け回り、特急券の払い戻しに追われている。

 しかし、そんなにカンタンに「運休」「運転見合わせ」なんか決めていいんだろうか。だって、少なくとも駅前は穏やかな秋の昼下がり。ホントにちっとも雨なんか降っていない。こんなにゆったり&ゆっくりな状況で、どうして「終日運転中止」が決定なんだい?

 ワタクシは1年に4回も5回も外国を旅する身だ。年間60日を海外で過し、メッタヤタラに鉄道を利用する。国内でも、突然の「運休」に遭遇することも少なくない。今年3月、三重県名張の駅で近鉄特急がいきなり「運転中止」のアナウンスをした時には、公開授業中止の危機に追い込まれた。

 一昨年の夏は、リヨンからマルセイユに帰れなくなりかけて強烈にツラい思いをした。今年の1月には、マラケシュ ⇔ フェズの往復に、ダイヤより合計4時間も多くかかって、超満員の狭いコンパートメントで死にそうな思いをさせられた。

 だから、あんまり手っ取り早く「運休」なんかを決められると、外国からのヒトビトが可哀そうでならない。だって諸君、例えば「金沢から今晩のうちに京都か大阪に移動、明日のヒコーキで帰国」というスケジュールを立てていたとしてみたまえ。

「サンダーバード運休決定」の一言で、彼ら彼女らはいきなり
「駅に足止めになりました」
「予定のヒコーキに乗れませんでした」
「もうウンザリ&コリゴリです」
「日本になんか2度と来たくありません♨」
という厳しい世界になってしまうじゃないか。
台風
(16日深夜2時のNHKニュース。「衆院解散&総選挙か?」のニュースの後に、画面は「台風関連」にかわった。18号、金沢を直撃しそうだ)

 さて、14時ちょいにホテルにチェックインした後は、15時まで頑張って、いろいろコマゴマ雑用を片付けてみたが、襲ってくる強烈な睡魔はタダゴトではない。しばらく「自分との戦い」を展開してみたが、あえなく敗退。19時まで熟睡することになった。

 というのも諸君、実は昨夜はほとんど徹夜してしまったのである。このごろのワタクシは、どうもこのパターンが多い。午前6時か7時まで起きていて、昼前までギュッと睡眠をとる。若い諸君にはあまり推奨できない生活パターン、いけない習慣が身についてしまった。

「そんなに遅くまで何してるの?」であるが、「オペラを観ています」というのだから恐れ入る。DVDとかブルーレイとか、そういうものを安く買い込んで、午前3時ぐらいに見始める。旨い酒を1杯だけ脇に置いて画面に熱中すれば、気がついた時にはとっくに夜が明けている。

 酒は、ウィスキーないしブランデーである。ブランデーはストレートが当たり前であるが、ウィスキーもストレート、水で割るどころか、氷のヒトかけらも入れない。スタンフォード大学で購入した小さなストレートグラスを愛用、chupa chupsみたいにホンの少しずつチュパチュパやるのである。
金沢市街
(17日午後、金沢はマコトに穏やかだ)

 さらにその前の時間帯、午後1時から2時までは、夜中の街を疾風怒濤の如く歩き回る。ま、「ウォーキング」である。2017年の東京は何故か深夜の雨が多くて、歩きたくても歩けない日々が続いたけれども、9月中旬、秋の虫が大合唱する夜の闇を突っ切って、転がるサトイモよろしく歩き回る気分はマコトに爽快である。

 ところが昨晩は何故か無性に寂しくなって、とてもオペラの世界にのめり込むような余裕がなくなった。だって諸君、台風がどんどん接近して、東京はまたまた冷たい秋の雨。コオロギ諸君も雨に濡れて、とても合唱どころじゃないだろう。

 こういう夜は、映画でも見るしかない。オペラ&ブランデーの世界は諸君、やっぱりたいへんな体力と精神力が必要なのであって、「雨に濡れるネコたちやコオロギ君が心配」みたいな夜は、少し怠けて邦画でも眺めているのがちょうどいい。
金沢おどり
(金沢おどりのボンボリが揺れている)

 ワタクシはAMAZONのプライム会員であるから、映画は0円でほとんど見放題。HuluにもNETFLIXにもオカネを出さずに、次から次へと無料の映画をエンジョイできる仕組みになっている。

 昨日はどうしたわけか古い日本映画が見たくなり、1950年代60年代の谷崎潤一郎の世界から、「大いなる旅路」「まあだだよ」まで、暢気に4本も邦画を見まくった。こういう夜(というか早朝)も、決して悪くはない。

 そして諸君、ワタクシは号泣しまくったのである。谷崎で号泣するのは至難のワザであるから、号泣の対象はあくまで「大いなる旅路」と「まあだだよ」の2本であるが、何をどうしてどんなふうに号泣したかは、また後日チャンスがあれば詳述しようと思う。
駅弁
(金沢駅の豪華お弁当。やっぱり台風のときは、食料と水分を十分に買い込まなきゃ)

 真っ赤に泣きはらしたお目目で時計を眺めると、おやおやたいへんだ、もう午前8時を回っている。徹夜しちゃっただけじゃなく、金沢に向かう新幹線まで、もう2時間半しか残っていない。

 外は雨。東京駅までタクシーに乗りたいが、こんな雨じゃタクシーもつかまりそうにない。大急ぎでお風呂に入って、と言っても実はゆっくりと1時間、何故だかお風呂でアンドレ・ジードを熟読しつつ大汗をかいて、それから降りしきる雨の中、久しぶりの出張に出かけたのである。

 こうして2017年の秋冬シリーズは、台風の真っただ中でのスタートになった。沖縄・長崎・広島・大阪&京都、秋田・青森・札幌。昨年や一昨年と同様、この秋もまたワタクシはたっぷり国内の旅を満喫する予定である。

 そのぶん、9月のオペラ三昧はこの辺でいったん休止しなきゃいけなくなりそうだが、それもまたヨシ。とりあえずは諸君、この厄介な台風18号を、一晩じっとやり過ごそうじゃないか。

1E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
2E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
3E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
4E(Cd) Jochum & Bavarian Radio:MOZART/THE CORONATION MASS
5E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN①
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