子どもの貧困対策チーム東京視察 その4(荒川区役所聞き取りまとめ) | 今井アツシオフィシャルブログボクラノミライPowered by Ameba

子どもの貧困対策チーム東京視察 その4(荒川区役所聞き取りまとめ)

荒川区役所視察
日時     :平成28年5月20日 金曜日
場所      :荒川区役所
 参加者(敬称略):角谷 竹下 徳田 金子 藤岡 今井

聞き取り先   :子育て支援部 子育て支援課長 伊藤氏

「伊藤」
区の基本姿勢として「区政は区民を幸せにするシステムである」というドメインについて、非常勤職員を含めて必ず毎年研修をしている。

荒川区民総幸福度(GAH)の研究に取り組む。不幸を減らす取り組みが必要。18年当時ワープアや非正規雇用の増加。その中で弱い立場の子供達への影響が深刻化。

区民の安心の砦となるためにいろいろな施策を進めてきた。平成21年5月 こどもの貧困問題検討委員会の設置10月荒川区自治総合研究所の設立。

100%区の出資で当初は一般財団法人。のち公益財団法事へ。こどもの貧困・社会排除問題研究プロジェクトスタート。平成22年3月中間報告5月荒川区こどもの貧困・社会排除問題対策本部の設置 貧困の原因になることをどのように研究していこうか調査の話の中で1件1件の調査は難しいとなった。

現場の保育士・養護の先生・生活保護ワーカーなどにも入ってもらってどういう形で貧困に陥っている子供達を調査・研究していこうかと検討する中で、42のケーススタディを読み解いていこうというやり方で実施をした。

実際には経済的に困窮しているケースは5ケース、複合型37ケース。経済的貧困=貧困になるわけではない。平成23年8月 「最終報告書」の公表荒川区こどもの貧困社会排除問題検討部会の設置11月こどもの貧困の早期発見のための情報共有に関するPTの設置 リスク・決定因子を研究成果の中で発表した。

「リスク」
1 家計の不安定
2 生活の負担
3 疾患疾病等  
4 家族の人間関係  
5 孤立  
6 貧困の連鎖  
7 その他(保護者の不十分な日本語能力、若年出産など)

「決定因子」
1 保護者の就労状況・就労力
2 保護者の養育状況・養育力
3 世帯に対する支援の有無

【あらかわシステム】→区としての動き方の概念・4つの構成部分
「ドメイン・目標・指標」
「組織・人材」
「社会関係資本」
「多様な政策・施策」
リスクを持った世帯のシグナルを早期に発見し、包括的にリスク軽減の方法を提供することで、こどもの貧困・社会排除の状態に陥ることを回避。様々な機会で発見しつなげる。

リスクと決定因子の両方を持っている世帯に対しては、こどもの貧困・社会排除の状況からの離脱、自立生活への移行。 区議会の先生に集まってもらって成果発表をしたり、区職員にも研修で中身の発表をしている。

個人情報の保護の仕組みづくりが必要。要保護児童対策協議会の中で行い対象外のケースでも情報共有の取り組み。 産後うつ傾向や育児不安などの症状を持つ親への精神科医による個別相談の充実。

学齢時にはスクールソーシャルワーカーの配置 平成22年から2名 カウンセラーは13名中学校は10校、小学校は3人を地区で持つという形。

虐待対策コーディネーター配置  職員へのDVに関する知識の研修配偶者暴力相談支援センターの設置(27年度)相談員の増員 子育て支援課で実施をしている学びサポート事業→学校経由で申請をいただく。学校の先生たちには通っている子がわかる形。

家庭相談の充実→家庭での問題があったのが残った状態で1人親生活に入ってしまうというのもあるので養育費の相談や子供を今後どう養育していくのか。離婚の相談もする。専門相談員として家裁の調停員 をやっている人に入ってもらう。調停離婚じゃなく協議離婚で生活が苦しくなってくる人がいる 就労支援も含めて相談をしている。

平成26年度からタブレットを主中学校に1人1台体制で使用できるように配置する→貧困だから自宅では使えないがあるが、学校でタブレットを使うという機会を作っていこうという形。今後の社会状況を見据え、小さい頃から機会の提供が重要。

【27年度から実施をしている事業】  
・生活支援と学習支援提供団体→こどもの居場所作り団体への補助 ・産後うつ育児不安対策
→家庭にボランティアを派遣。安心訪問事業。27年度から実施。件数は限られているが、核家族で生まれてすぐ戻ってきて誰もいない中で育児をする人の不安を解消しようという事業。

・保護者の学び直し事業(高卒認定試験支援事業)→高校を出ずに中退をした人は次の仕事に就こうと思ってもつけない。学歴ではないが高卒資格を持っていると幅が広がる。国も27年度から始まった。国が6割程度補助をしてくれる。荒川区は全額補助できるように上乗せしている。試験料と通信教育の受講料は最終的に全額区が助成できる。子供を育てながらなので、うまく続けられない。生活保護を受けている人は生保の事業が優先になってしまう。意欲のある20代のお母さんたちがいるので上手く繋げていきたい。

・自然体験事業→自治総合研究所で自然体験や通常の授業ではなく体験が多いとこどもの達成度や自立度が上がるという調査結果が出た。中間発表を自治総合研究所でやっている。それと合わせて区でも自然体験の事業を行っている。一つは小学生にワールドスクールということで英語教育の体験学習をやっていたが中学生にも拡大。秋田市と一緒にやる。連携協定をしている自治体に行ってそこでの農作業の体験・自然体験を今年度からさらにプラスして進めているところ。

・虐待家庭、不登校、子供達の居場所作り→27年度は2箇所で実施。子供が1人1回で2000円の補助。概算計画で予算をつけて最後に精算という事業。区では週1回、16時~16時30分近隣に食材の買い出しに行く。宿題をやる。一緒に勉強をする。場所も民間の自宅が空いているということで何かに使えないかということで、オーナーが社会福祉協議会に話をもっていった3LDKから4LDKの場所3階建ての家屋が空いているがという話。高齢者には階段が大変、0~1歳の子供は3階にあがらせるのは大変、ちょうどその時に代表が子供食堂を見て自分も何かをやりたいということで社協にマッチングしてもらってまずは話が進んだ。

半年くらいボランティアを集めつつ26年5月からまず自主的に始めようとなり始まった。27年4月から補助金を出せるように作った。2年を迎えたところ。19時くらいから一斉に食事をする。ボランティア+子供で30名程度。食事もいろんな食事をしている。 月に1回は更生保護会が食事作り、第三木曜日にカレーの日と決めている。 大人としゃべる機会がない子供達、模擬面接をやってもしゃべれない。地域のおじさんおばさんが面接をしながら指導してくれている。中学3年生全員高校合格。1年経って中退もなく勉強している。

高校生になった子たちが中学生の子たちを教える形になっている。高校生が中学生を教える。ボランティアがロールモデルになる。それを目指して中学生や高校生がといういい形になってきている。 ただ飯になってはいけない。

子供達は1回100円を参加費として出してもらう。ボランティアの大人は200円で実施をしている。同じようにNPO法人で子供の支援をしている方が同じスキームで27年から始めている。

いい意味で宣伝をさせてもらっているので、28年度3箇所さらに話が出てきている。2箇所は自主的に1箇所は民生委員や保護司会などのバックボーンを持った方、商店街もからんでやっている。食事は商店街が作ってくれるという形。

若手の20代の社会人グループが自分たちが育った地域の子供達に学習支援をやりたいという話で団体として動こうとしている。 いろんな地域から声が上がってきている。

場所がないから何をしたらいいという問い合わせが来ている。18日にシンポジウムを開催した。70~80人来てもらった。参加するためにというのがアクセス数が高かった。活動報告のシンポジウム。食事担当者・学習支援担当・会計担当・など団体としての運営。

子供達の様子がどうだというところ。いい意味で地域の醸成をしようというところ。区報で周知し、ホームページや役所、ふれあい館広場館などで周知。

「角谷」
2000円支払いということだが 算出は何をもとに?

「伊藤」
ボランティアに1回1000円という交通費程度支給。それ以外に場所代、光熱水費を見越すと1000円くらいという計算で算定根拠にして1回1人2000円とした。こどもの数×2000円。 ボランティアの方も来ており、運営を継続的にやるには固定費が必要。28年度からの支払いは固定費+こどもの人数にした。2000円ではなく、固定費1万いくらか+こどもの人数×1000円。昨年度予算150万円だったが足りなくなった 180万円くらいで済んだ。食材はフードバンクを活用。寄付もある。

「竹下」
100円は食事代という考え方?

「伊藤」
持ってこれない子もいる。来たら名前を書いてねという形。親から通う承諾はもらう。団体は学習支援をやっていたり民生委員がいる。気になる子に直接こどもに声をかけて、友達も誘っていいよという形で最初はやる。小学生はスクールソーシャルワーカーがつないでみようかということでつないでくる。つないでいけるようになったらこども一人でくる。きっちりかっちりはしていない。

「竹下」
親御さんの許可は紙1枚?

「伊藤」
面談もしている。保護者とのやりとりもやっていると聞いている。

「角谷」
保護者に帰宅メールを送信というが持っていない場合は?

「伊藤」
金銭的な貧困のもう少し上の段階。生保でも携帯は持っている。中高生はだいたい持っている。ない場合は電話をするようにしている。

「竹下」
区域は中学校校区?

「伊藤」
5つの地域が比較的あるので、5区か7区かというゾーンでやってもらう。比較的区内が平坦で動けるというのもある。 ないところに声をかけている。同じ地域で近すぎるところは団体の方にお手伝いをしてもらうように。

「徳田」
地域割りは意識した?

「伊藤」
ない地域に働きかけている。

「徳田」
縦割りの行政の仕組みを横串をさして連携してやるのが一つの荒川区の特徴と聞いたが、具体的なことを聞きたい。

「伊藤」
全体のPTだったり、対策本部というと関係するところの部だけというのがあるが、荒川区で対策本部を作るときは全部長が入ってそこから情報が降りてくる 検討会だと課長が入る。ネットワークだと係長の単位で作っていることが多い。いろんな事業でやっている。昨年度は自分たちがやっているイベントに他の課の関わりがどうなっているか確認をする。貧困対策のイベント。健康部に対して母子保健などチラシの周知がいっているか確認。総務に話がいっているかチェックする。 一昨年までやって、そういうのがないからそれをやらなきゃいけないということで作っている。

「徳田」
要対協対象外ケースのあつかいは?

「伊藤」
作りきれていない。

「徳田」
組織間での連携したり、個人情報保護の仕組みについて聞きたい。

「伊藤」
案件によってちがう。必要だが難しい。動いている情報があるがそちらとしてどうかという案件レベルの情報交換はできる。個人情報までではないが。

「角谷」
担当者の配置は何年とか縛りがあるか?

「伊藤」
ある程度動いている。こどもの居場所作りは区長も知っている。どこの部署でもわかってくれている。シンポジウムやったときも参加している。生涯学習課・自治創建。職員も参加した。

「今井」
以前取りまとめられていた課題への対応を確認したい。

「伊藤」
高校生の接点が難しい。どこで探したらいいかというので難しい。教育委員会で近隣の高校の校長先生との連絡会を作っている。他区の高校、都立高校と年に1回くらい話し合いをする。 高校中退をどうするか。少しでも阻止する。教育委員会でやっているのがキャリアデザインをどうするかをする。中学では勤労留学で5日間インターンシップをやる。工業高校や高専があるのもあり就労支援課の方で区内の工場に就職説明会に高校生卒業生を連れてバスで見学をするというのをやってみた。

0~5歳で教育機関に行っていないこどもにアウトリーチができない。0~1歳は年に1回見守り事業を行っている。民生委員に絵本の交換券を持っていく。地域をつなぐ。3~5の自主保育をやっている人の把握が難しい。区としての4歳児が居所不明の観点でどうなのかをチェックする。外国籍の方が多い。特定妊婦になるリスクが高い人は保健所で拾って連絡をとって確認をする。 育児不安の方への働きかけが弱い。産後支援ボランティア事業というのを首都大学東京が保健師の養成や看護師の養成をしている大学の教授が生まれてすぐのお母さんたちの支援。産後サポネというNPOを作った。自主的に6ヶ月未満のお子さんのお手伝いをする。生まれてすぐ。上に2歳のお兄ちゃん。お母さんは外にでれない。お兄ちゃんが外に行けない。ボランティア、学生、資格がある方と学生が一緒になってうちにいって公園で遊ばせる。1回500円。補助を打っている。

「今井」
児童相談所とセンターとの二層性について聞きたい。

「伊藤」
同じ支援方針でやっていても児相ではワンクッション入ってしまう。支援方針がずれてしまうときに同じ温度感でできない。こどもの支援方針が決まらなくなるという。タイムラグが出る。地域の中にお子さんが児童相談書でいつ戻すのかという判断が地域の人たちお母さんたちというのを見ている中でまだだめじゃないかという反応。周りの支援体制が整備されていないようなところで、児童相談所は早期復帰という形でもどして、また逆戻りという形。二層性という思いがある。別な観点で、別の立ち位置で観れるというのはそれはそれで有効性もある。広域で形ができるというのもある。社会的養護を受け入れる施設は荒川区にはないので見てもらえるというのはある。

「今井」
成果指標の設定と運用について聞きたい。

「伊藤」
何を成果指標とするかというと数字がない。虐待の数字も早い段階で数字くるというところとか どの数字が一番か区の中でできていない。25項目で拾える項目とそうではない項目がある。

「徳田」
荒川システムの4つの構成がうまく回せているか?

「伊藤」
ハピネスサポーター。地域で見てきた方たちが今の荒川区の事業についてどうかという提言をもらって役所で課題を整理してという形を4月にやった。いただいた意見をできていないところはどうするか。知られていない事業はどう返していくかをやっている。

「今井」
実態把握について伺いたい。

「伊藤」
悉皆ではなく、抽出で調査をした。計画を立てる段階で。ひとり親の手当てを受けている人たちに2500人弱にした。今回悉皆で調査をするということでやっている。