予算委員会質疑(全文その③) | 今井アツシオフィシャルブログボクラノミライPowered by Ameba

予算委員会質疑(全文その③)

Q12

続いて、鶴つながりで鶴浜地区について港湾局に質問をしていきます。一昨日金沢委員からも質疑がありました。IKEA鶴浜の北側用地に東京インテリア家具が進出するとのことでしたが、この用地は、我が会派の出雲議員が幾度と泣く進出事業者の誘致に向けた取り組みの質疑をしてきたと記憶しております。

 

この度、やっと進出事業者が決まり、うれしい事ではありますが、ここまでに時間がかかりすぎているようにも思います。事業者が立地するまでの経過と、事業者の立地に伴う具体的な賃料収入について伺います。

 

A12

大正区の鶴浜地区における進出事業者の立地に向けたこれまでの取り組みの経過であるが、

平成20年8月にIKEA鶴浜が店舗オープンして以降、

IKEA鶴浜の北側用地について、平成20年12月に競争入札による分譲を行ったが申込者がなく、

その後、平成22年には募集方法を土地分割が可能な事前登録制度に改め、事業者の掘り起こしを試みたが、成約には至らなかった。

さらに、募集方法を分譲から賃貸に切り替え、平成25年9月に20年間の事業用定期借地による募集を行ったが、興味のある事業者はあったものの、期間が短いなどの理由から、残念ながら申込者が現れなかった。

このようなことから、改めて事業者のニーズ調査を進め、投資の回収期間をより確保するため、貸付期間を30年間に延長し、平成26年10月に事業用定期借地の募集を行った。

その結果、2社からの応札があり、入札の結果「㈱東京インテリア家具」が落札し、先日契約を結んだところである。

このことにより、30年間にわたり年額約1億4千6百万円を収入することとなる。

 

Q13

これまで、事業者のニーズ調査や事業者の立地に向けて、いろいろと試行錯誤をしながら取り組んだことがやっと実った結果だと思いますが、IKEA鶴浜のオープン以降、7年もの時間を要したことはスピード感に欠けるようにも思います。

 

資産は活用しなければ収益も生み出しませんし、市民に提供できる価値も生み出しません。ただ持っておくという状態は、機会損失を生み出し続けていたということになります。

 

活用すれば、得られるはずの利益や価値を得られなかったわけですから、スピード感を持って取り組む必要があります。

 

ただ、IKEA鶴浜には、年間400万人を超える来場者があると聞いており、さらに、東京インテリア家具がオープンすると、この地区に従来にもまして新たな集客を見込む事ができると思います。金沢委員の質疑でもございましたが、両者はターゲット層が違い競合することがなく、シナジーを生み出せるというお話でしたので、期待したいと思います。

 

このように大規模な店舗が立地する事で、空き地が目立つといった鶴浜地区の印象ががらりと変わるように思います。

 

今後、この2つの店舗が鶴浜地区の核となり、相乗効果を発揮しながらまちの活性化につながることに大きな期待を寄せています。

 

続いて、ベイエリアの観光戦略について港湾局にお聞きしていきます。


先月、我が党の村上栄二議員と一緒に築港の集客施設を視察させてもらいました。代表質問においても村上栄二議員が質疑したところですが、民間活用の推進という観点から質問したい。


築港の赤レンガ倉庫は大正時代に建設された歴史的・文化的な価値のある建築物であり、今から15年ほど前の、平成10年度から11年度にかけて大阪市が取得し、これまでは、一時期に文化事業で活用していたようですが、その後、本格的に利用されることはなかったようです。


しかしながら、昨年、港湾局が民間事業者と30年間の事業用定期借地権設定契約を締結して、昨年末にはステーキレストランが先行的に開業しており、近々、クラシックカーミュージアムもオープン予定とのことである。視察の時にレストランの中を見せてもらったのですが、非常にムードのある空間が演出されていました。全体的にクラシックな雰囲気が漂い、革張りのソファーや年代物のクラシックピアノなど、大人のデートにぴったりという感じにしあがっていました。
ビフォーの姿を良くご存知の港湾局の方も目を丸くして驚いていらっしゃいました。村上議員のブログを見ると、店内の写真や、美人な店員さんが紹介されているので、是非一度「村上栄二 赤レンガ」で検索してご覧いただきたいと思います。

観光資源として大きな魅力を持つ赤レンガ倉庫ですが、ここが使われなくなるまでの経緯についてお聞きしたいと思います。


A13

赤レンガ倉庫のある築港地区の南側については、平成7年度に策定した「大阪市総合計画21中期指針」において、「天保山地区再開発と連携を図りつつ、芸術家村などの市民に親しまれるにぎわいのある文化・商業施設等の整備を進める地区」と位置づけていた。


そのような中、赤レンガ倉庫については、歴史的な建築物であることから、本市が平成10年度から11年度に株式会社住友倉庫より取得し、その一部を芸術・文化を創造・発信し、若手芸術家を育成・評価する場として活用していた。


その後、赤レンガ倉庫を集客施設として本格的に活用するにあたって平成18年度に赤レンガ倉庫の耐震調査を行ったところ、中程度の地震で壁が倒壊する恐れがあると診断されたことから、以降、現在に至るまで、同施設を立入禁止としていたものである。


Q14

耐震調査を行った結果、地震で壁が崩壊する恐れがあって立入禁止にしたのが平成18年度で、それ以降、赤レンガ倉庫は10年近くも利用されていなかったことになります。

 

赤レンガ倉庫は、美しくレトロな景観や雰囲気から、地元住民にも親しまれ、保存あるいは活用の要望が強い施設である一方、全てを耐震補強しようとすれば巨額の工事費が必要となることから、港湾局としても非常に悩んでいたとお聞きました。

 

民間事業者にとっても、この施設を集客施設として活用していくためには、同様に耐震補強が必要でリスクがある施設だと思いますが、どのような工夫により、民間活力の導入が実現したのか、お答え下さい。


A14

赤レンガ倉庫の活用については、耐震工事に多額の費用が見込まれたことから、本市において耐震工事を実施することは見合わせ、港区役所が主催者として参画しているイベント時に安全対策を講じた上で倉庫外周を一般開放するなどの活用にとどめていた。


そのような中、平成24年度に大阪府・市が共同して大阪都市魅力創造戦略を策定し、築港地区においては、
民間活力の導入によって魅力的な集客観光拠点を創出する方針を打ち出した。


この方針を受け、赤レンガ倉庫の活用に向けては、学識経験者らによる「築港地区赤レンガ倉庫施設活用検討会議」を設置し、どうすればこの施設に民間活力を導入できるかについて、幅広い視点から検討を行った。


その結果、耐震補強については、港湾局において実施するのではなく、建物の所有権を民間事業者に移転することで、耐震補強についても民間事業者に委ねる手法を採ることとした。


さらに、耐震工事の負担をできるだけ減らすため、建物全てではなく、地元住民などの理解が得られる範囲で、赤レンガ倉庫の景観や雰囲気を残す、言い換えると、外からよく見える一部の壁の保存を求めることを条件に民間事業者の公募を実施することで、事業者の決定に至ったものである。


Q15

赤レンガ倉庫は、耐震工事を必要最小限にとどめ、費用負担が少なくなるように条件設定することで、民間事業者の優れたアイデアや活力を導入することができた成功事例であり、大変評価出来るものであると思います。視察の際に、事業者の方からヨーロッパの方でやられている耐震工法を使ったとのことで、ほとんど景観を害することなく、耐震化されたのは素晴らしいと思います。

 

ところで、事業者が決まるまではほとんど使われていなかったということだが、その間は市民に価値を提供することはできなかったということになります。

 

一方で事業者が決まり、事業を進めることで、市民に提供する新たな価値も生まれますし、本市も賃料として収入を得る事ができます。

 

具体の数字として、赤煉瓦倉庫を立入禁止にして以降の維持管理費と、事業者参画後の賃料収入を教えて下さい。

 

A15

赤レンガ倉庫を立入禁止にした以降、維持管理に要した費用は、照明にかかる電気代のみであり、平成21年度から25年度までの5年間の費用を平均すると、年間約22万円であった。

今回、事業者と事業用定期借地権設定契約を締結したことによる本市の収入は、年間2,280万円である。

Q16

今の答弁では、大阪市として年間約22万円の費用がかかっていたものが、2,280万円の収入に変わったということであり、さらに民間活力によって市民にも新たな価値が提供されるということになります。

港湾局では、赤レンガ倉庫に続き、平成243月まで貨物の荷さばき場として利用されていた中央突堤2号上屋についても集客・観光施設として再生するため、現在、民間事業者の公募を実施しているとのことであり、今月末には事業予定者が決定する予定であるとお聞きしています。この結果にも大変期待をしております。

 

このように、港湾局では民間活力の導入によって集客拠点化を進めているが、点を線、さらには面として集客エリアを広げる事で、より地区の魅力を高める事ができると思います。

 

例えば、村上議員のアイデアを紹介すると、赤煉瓦倉庫と中央突堤2号上屋、さらに海遊館やUSJを船で行き来できるようにするというものです。このことで、集客施設間の回遊性を高める事ができると考えられますが、いかがでしょうか。

 

A17

委員ご指摘のとおり、ベイエリアの集客施設が互いに連携し、ベイエリア全体での回遊性を高めることが重要であると認識しており、ご提案の水上アクセスは、拠点間の回遊性を高める有効な手段の一つであると考えている。

しかしながら一方では、大阪港での水上アクセスは海遊館とUSJとの間で運行されているだけであり、民間事業者のヒアリングにおいても、常時船を運行するとなると現状では事業採算面で非常に厳しいとのお話も伺っており、さらに船を着岸させるためには、係留施設の設置など、新たな投資も必要となるため、慎重に検討すべきであると考えている。

このため、水上アクセスの実現に向けては、まずは各拠点の魅力を高め集客力を向上させることにより、乗客の新たな需要を掘り起こしていく必要があると考えているところである。

 
Q18

水上アクセスについては、事業採算面から難しいと考えておられるようだが、築港地区の魅力を大きく高めるものだと思うので、赤レンガ倉庫の時と同様に、知恵を絞って、実現できるような方策をぜひとも考えていただきたいです。

 

私としては、ベイエリアの魅力を最大限に引き出し、訪れる人に与える価値を最大化するための方策を考えていくべきだと思っています。

 

一方で、新たな投資について慎重に検討する必要があるということはもちろん経営感覚として常に持っておかなければならないです。この辺りの認識は港湾局の皆様とも一定共有できていると感じています。

 

ところで、ここで大切なのは、民間企業と大阪市の「投資とリターンの分配」という考え方だと思います。どちらがどの程度投資をして、どの程度リターンを得るのか。この「投資とリターンの分配」を考えたときに期待される効果を上回れば事業としては成功だと言えるのではないでしょうか。

 

その辺りも踏まえて、ベイエリア全体での回遊性を高める取り組みについて丁寧かつ、積極的な検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

A18

ベイエリア全体での回遊性を高めるためには、駅や集客施設間を快適に行き来できる環境や、スムーズな移動手段、わかりやすいサイン、エリアガイドマップ、観光案内所など、さまざまな視点から取り組む必要があると考えている。

集客施設を運営する民間事業者、さらには地元の企業や住民の皆様とも協働し、地区の活性化に取り組む区役所や、観光施策を担当する経済戦略局とも連携しながら、より効果の高い取り組みとなるよう、検討してまいりたい。

 

Q19

港湾局においては、ほかにも様々な集客施設が整備されて運営がなされてきました。事前にいただいた資料を拝見すると、各施設の整備費は、例えば、なにわの海の時空館では176億円、ふれあい港館では78億円、舞洲陶芸館で4.6億円、舞洲野外活動施設では40億円となっており、このほかに運営費などを考えれば、多額の経費が負担されてきたことになります。

 

港営事業会計の埋め立て事業への影響も考えれば、経費負担の軽減を図る事が大事だが、施設の潜在的な価値をできるだけ活かして、まちづくりに反映することも重要であり、このためには、民間ノウハウを活用し、民間活用による事業の展開を積極的に進める必要があります。

 

先ほど答弁いただいた赤レンガ倉庫などのほか、ふれあい港館など港湾局所管施設は、概ね施設売却によって民間への移管が進んでいることがわかりますが、もとなにわの海野時空館のように活用方策がいまだ見いだされていない施設もあります。

 

今後も民間活用によって施設が有効に活用され、ベイエリアの活性化にもつながるよう、積極的な取り組みを期待したいと考えますが、いかがでしょうか。

 

A19

委員ご指摘のように、これまで港営事業会計の埋立事業では、様々な集客施設を整備・運営し、ベイエリアの魅力づくりに寄与しようとしてきたが、整備費用とともに運営においても多額の経費を要してきた。このため、こういった経費負担を軽減するほか、民間のノウハウを活用して、効率的で魅力ある施設運営を通じて、地域の発展にも引き続き寄与できるよう、民間への施設移管を数年前より鋭意進めてきたところである。

この結果、民間事業者に対し、ふれあい港館は平成23年度に建物・土地とも売却、舞洲陶芸館と舞洲野外活動施設は平成25年度に建物の売却、土地の賃貸を実現してきた。

残る、もとなにわの海の時空館についても、地区の賑わいや活性化に寄与するため、民間のアイデアによって活用できる方策を具体化していこうと、民間事業者のニーズについてヒアリングを行い、関心を示した事業者と活用条件について意見交換等を実施するなどの取り組みを行ってきたところである。

 
Q20

もとなにわの海の時空館については、利活用の具体的化に向けてはなかなか困難な状況にあるということも聞いていますが、これまでの取り組みの中で浮かび上がっている課題は何か。また、そういった課題にどう対処していこうと考えているのか、お答え下さい。

 

A20

もとなにわの海の時空館の利活用に係る取り組みのなかで、浮かび上がっている課題としては、

 施設として稼働するにあたっては、光熱水費や設備のメンテナンスに、これまでの実績では年間8,000万円を超える経費がかかるほか、機器の修理や菱垣廻船の処理などに費用が生じること

 展示棟は、中央部に菱垣廻船があるため使用できる床面積が限られているほか、床面積を増やすなど必要な改装をする場合の重機の搬入に制約があること

 賃貸借の場合には、建物の賃貸借期間は財産条例上10年までであるが、事業者ニーズとしては20年~30年間が想定されることなどがある。

利活用に関心のある事業者とは、こういった課題も含めて意見交換等を実施しているところである。確かに通常の建物に比較すると容易ではないが、創意工夫によって利活用の実現に向け、ベイエリアの開発状況を見据えながら、今後1~2年で利活用の方策を整えることをめざし取り組みを進めていく。

 

(要望)

港湾局においては民間活力の導入が次々と進められ、もとなにわの海の時空館を残すくらいとなっており、様々な課題があることはわかりますが、民間活力によって課題を乗り越え、実りある利活用が実現できるよう、引き続き努力をお願いします。

 

IRの機運も盛り上がりを見せてきており、この機会を逃さず、民間活力の導入を実現し、ベイエリア全体において観光魅力を高めていただきたいと思います。

 

今回の予算委員会は初日の防災協定から始まり、公園・土地活用・ベイエリアにおける民間活用・民間との連携を軸に質疑をして参りました。「少子高齢化・人口減少」や「公共施設の更新」という大きな危機が自治体を襲ってきている状況ですし、今後もその危機は続いていきます。支出を抑制しながら、都市の価値、住民が享受できる価値を維持・向上させていくという一見して矛盾をした命題にいどまなければなりません。

 

そういった意識のもと、今後の自治体経営を考えたときにキーワードとなるのは、「プラットフォーム戦略」と「サプライチェーンマネジメント」だと私は考えています。土地や施設など巨大な資産を抱える大阪、あえて大阪という表現を使わせていただきますが、その大阪をプラットフォームとしてとらえ、様々な機能やアプリケーションを官と民が連携をして載せていくことが重要です。例えるならばスマートフォン。デバイスというプラットフォームに様々な企業や個人が作成したアプリケーションをダウンロードする事で、多種多様な機能を付加し、利用者の利便性、利用者が受け取る価値を高めていく事ができます。デバイスを作成した主体が必ずしも、アプリケーションを作成する必要はないのです。大阪全体をプラットフォームと捉える事が一つ重要であると考えています。

それから、サプライチェーンマネジメント。サプライチェーンとは、組織・企業の壁を超えた商品供給に関わるすべての業務の連鎖を指します。つまり、商品やサービスの供給活動全体を、企画・開発→計画→調達→生産→流通→販売・サービスといった1つの鎖として捉えたものです。行政で考えるとチェーンの出口は市民に価値が提供されるまでの流れです。この流れの最適化を考える必要があります。サプライチェーンの各段階の担い手は、官であろうが、民であろうが、府であろうが、市であろうが、議会が関与していようがしていなかろうが、市民にとっては価値がきちんと提供されればいいわけです。

 

官・民・府・市・局そして、政党など様々な目には見えない境界がありますが、それらの境界を突破して大阪という都市の持つ可能性を最大限に引き出し、住民の皆様が享受できる価値を最大化していくことを目指していただきたいと思います。そして、サプライチェーンの最適化によって、ロスを極力減らし、価値が提供されるまでのリードタイムを極力短くすることを考えて、サプライチェーンの各段階の最適な担い手を検討し、税金からの支出を抑え、かつ、住民に届く価値の維持向上を目指していただきたいと私の思いを申し上げて、質疑を終わります。

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全文読んでいただけた奇特な方はいらっしゃいましたでしょうか。


何でもかんでも税金で拡充していく時代はもう終わりにしなければならないという問題意識です。


行政サービスの直接の担い手は必ずしも役所や公務員でなくとも構わないので、最適な担い手を検討して、経費削減と質の維持向上を両立させるためのサプライチェーンマネジメントが必要だと考えています。


この考えにたったときに、行政の役割は究極的には「マネジメント」のみに行き着くのではないでしょうか。法律・条例・規則・契約などで枠を定め、適正な執行がなされているか、管理・監督・指導を行うことが究極的には行政が担うべき純粋な仕事だとも考えられます。そのためのカギとなるのが「情報」です。現場の情報を如何に収集し、分析し、課題を洗い出し、解決の方策を講じるのか。適切な情報に基づかないマネジメントは適正に機能しません。そのためにも、徹底したICT化がこれからの行政には求められていると考えています。


それに、シンガポール視察で感じたマインドの問題。
リスクがあるからやらないのではなく、どんなリスクがあるのか徹底的に洗い出し、リスクの最小化とリターンの最大化を考える攻めの姿勢が必要です。リターンを損なわないように如何にリスクを最小化するか。そのマインドセットが重要だと私は思います。