「…どうしたの、亡霊さん?」
スクルージは尋ねるが亡霊は答えない。その時スクルージははっと気づいた。
「まさか…まさかあの子が実は余命何日とか言われていて、それが迫ってるっていうんじゃないでしょうね!!?ねえ、どうなの?」
焦りの中に少し悲しみも交えた表情で亡霊に迫りスクルージ。
亡霊はしばらく黙っていたが、やがて意を決したかのようにつぶやいた。
「君の言うとおりだぜ、スクルージさんよ。彼女は重い病気のせいで、もう明日の命があるかさえ分からない状態なのだよ。まったく、運命ってのはいじわるなもんだね。」
「感心してる場合じゃないでしょ、亡霊さん!?あのまま放っておいたら、あのバブスちゃんは…」
そう言いかけた時、彼女の言葉を遮るように亡霊は顔を近づけ、言った。
「君の言葉を借りるなら…」
静かに、しかし恐怖をあおるような声で亡霊は言う。
スクルージは恐怖と緊張のあまり今にも泣き出しそうだ。
「プリンセスの人口計算も、今よりぐっと楽になるだろうね!!!何故って一人数える人数が減るんだからねえ!!!!」
彼の言葉を合図に突然吹雪が起こり、何も見えなくなった。
「えええ、ちょっと!!亡霊さん、一体何が言いたいの!!?あのカワイイバブスちゃんはどうなってしまうの??」
スクルージはパニックのあまり寒さを感じる余裕もない。
次の瞬間、スクルージは背筋に寒気が走るのを感じた。しかしこれは寒さのせいではない。別の何かが後ろに…
意を決して振り向いてみると…
そこにいたのは、闇のように黒く塗りつぶされた馬車があった。しかし、客車の部分にはだれも乗っていない。
そして馬車を曳いていたのは、闇の黒い体に夜の藍色の鎧を身に付けたアリコーンだった。
アリコーンの放つ異様な威圧感にスクルージは一瞬恐怖を感じたが、同時にもしかしてと思い、蚊の羽音のような小さな声で恐る恐る尋ねた。
「ま…まさか、あ…あの…あなたが…未来のハーツウォームの亡霊かしら…?」