この日も早朝から晴天に恵まれ、暑くなりそうだった。
ミスジャポンンとイマジンワンワールドのプロジェクトメンバー総勢20名は
烏丸蛸薬師の「トキワ商事」に集合し、10人乗りのレンタカー二台と乗用車に
便乗して、一路「亀岡市」に向かった。
こんな朝早くにも関わらず、トキワ商事には社長様以下、全員の社員さんが迎えてくれて
このプロジェクトへの期待と情熱を感じた。
車で約一時間かけて到着したところは、亀岡市内の住宅地の民家
そこに
日本で唯一の「重ねローケチ染」の巨匠「松田徳通」先生の自宅兼工房がある

松田先生は、長野県のご出身で、阿部容子さんが主宰する「ミレー工房」で修行
その後、この地にて独立されたベテランの作家さんだ。

見るからに優しそうな松田先生は、奥様とともに工房を主宰しお弟子さんはいない。
さて、アフリカ大陸からの最初の国に「南アフリカ共和国」を
僕が選んだ理由は、やはり「アパルトヘイト政策の撤廃」が大きい。
偉大なるネルソンマンデラ大統領ももちろん立派だが、
それを成し遂げるには、デクラーク大統領の尽力も欠かせなかったと思う。
そんな、南アフリカは、古いアフリカ大陸が隆起した「高地気候」が特徴であり
また、多くの花の原産国でもある。
奇跡の二週間といわれる、花のじゅうたんのような光景は
某有名焼酎メーカーのCMにも使われた。
そこで、漆黒の大地に美しく咲く花を、どうにか描けないものかと思案した時に
浮かんだのが「松田先生」だったわけです。
松田先生は、自宅の周囲にも沢山の花壇をお持ちのように、
お花が大好きで、しかも、描くのが本当にうまい。
当初、このお話を持ち掛けた時、、「南アフリカですか????」
「僕は、行ったことないな~~」とはにかむように笑われた。
ところが、その一か月後には、沢山の花の資料と、緻密な下絵ができていた

その素晴らしさは、言葉では言い表せないほど、見事だった。


このブログをみて驚かれたのではないだろうか?
今までに一度も描いたことのない花を、こんなに見事にスケッチできる、その凄さを。
南アフリカの国花「プロテア」「アフリカキンセンカ」「ジャカランタ」
そして「極楽鳥花」
ところ狭しと並んでいる。。
正確に申し上げると、肩から枝垂れるように「ジャカランタ」が描かれ
それは、日本の着物のデザインでいうなら「枝垂れ桜」にようなモチーフになる。
また、裾には大きな「プロテア」の花の群れ。
これは、よく「菊の花」で裾模様を描くときに使われるデザインだ
そして、その上に極楽鳥花、、、花と花の間を埋めるように「アフリカキンセンカ」
さて、今回お邪魔ししたときは、7回目の重ね染めの工程の時だった。
「7回目?」「何が?」
初めて、重ねローケチ染めという言葉を聞いた方には
よく意味が分からないと思うので、説明をします。

上の写真の、生地の端のほうを見ると
色が並んでいるように見えると思います。
右から、初めが白、薄い黄色、薄いピンク、薄いブルー、赤紫、紫、青紫の順
これが、重なった色の軌跡です。
ですが、ここがポイントです。
先生が、最初の黄色から、その次の薄いピンクに染めるとき
実際に使った色は、ここには見えません。。
「ん?」「意味がよくわからない!」
きっとそうだと思います。
つまり、方程式でいうと・・・
薄い黄 + X = 薄いピンク ということですから
先生が引いた色は X ということになります。
このように、次の「色」をイメージした時、
すでに描かれている「色」にどんな「X色」を足せばいいのか?
その答えを、感覚的に理解できないと
「重ね染め」などできないわけです。
まずは、ここが「凄い!」ところだと理解して下さい。
しかも
色は、重ねると、どんどん黒に近づきます。
ですから、最終的に、この作品の振袖の地色は「黒」になります。
ですが、その黒は、その下に引き続けた色が重なって生まれた色で
真っ黒ではありません。
これが、僕が思うところの「アフリカの大地の漆黒」の黒という色だと思います。
このように、ロウ伏せを繰り返しながら、しかも、文様を手描きで伏せる
作家さんは、日本に「松田先生」しかいらっしゃいません。。
今見えている青紫の色も本当にきれいなので、、、この部分がほとんど見えなくなるのは
「もったいない」・・・・・・本当にそう思います。


下に重なった、色の部分が、残したいときには、筆でロウで伏せる・・・
これは、一般的にいう「手描き友禅」とは
ある意味正反対の考え方で、どんどん残したい部分が増えていくので
7回目の染を行っていた、この時点でも、生地がロウでバリバリになってました。



最初から、出来上がりが頭の中でイメージできていないと
とても、こんな技法は成立できません。常識的に言って無理です。
ですから、松田先生は「天才」だと思います。
そのご説明をを聞いたあとに
実際に筆を執って実演をしてもらうと・・・・
なんと、先生はお話ししながら
すいすい~す~い、と絵筆でロウを花の形に伏せていくのです。。。
一同、「おーーーーーーー!!」「おーーーーーーー!」と
非常に単純な驚きの声が、連続します。
と、いうかそういった反応しか出来ないほど、驚いたわけです。



そして、先生は、ロウについて説明をしてくれた
一口に「ロウ」といっても、「ロウソク」のろうもあれば
「ミツロウ」や「パラフィン」など、種類はいろいろで
それぞれに伏せた時の「特徴」「キャラクター」が違うそうだ。
また、溶ける温度や、仕上がりの質感も違う。
先生は、作品のモチーフごとに、ロウを独自の経験でブレンドし
使っている。。
何だか、ロウの「ソムリエ」というか「マイスター」なんだな・・そう思った。



通常は、この重ねローケチ染だけで十分に作品になるのだが、
南アフリカの花の「ビビッドな色」を染めるために
先生は、さらに、特別な仕事を用意してくれていた。。
それが、「逆堰だし」(ぎゃくせきだし)という技法。
今回の作品では、未だ色がつかずに「白く残っている」ところだ

ここは、黒く染めあがった後でも白く残して
今度は、白い部分の周囲に「ロウ」の「堰」を作り
その中に、手描き友禅で 花を描いていくということです。。。
なんという手間暇だろう。。
本当に、プロデューサーの僕としては嬉しい限りだし、
そこまでやったら、淡い色のコントラストに
ビビッドな色彩のコントラストが融合してものすごい作品に
なることは間違いありません。



「折角、いただいたやりがいある仕事だから」
「とことん、頑張らないとね!」
にこやかに笑う先生の、温かみのある人柄に、
改めて、惚れ込んでしまった。。。
「それにしても、こんなにたくさんのお客さんは初めてだよ!!」
そういって、みんなにお茶をふるまってくれた。



早く、この続きが見たい。。。。
というか、泊まり込んででも見ていたい。。
そんな気持ちにさせられる今回の見学には
ミスジャポンも大興奮
また、先生もきれいなお嬢様方の訪問に
大興奮。。


最後に記念撮影をさせてもらいました。。
ロウケチ染は、正倉院の時代から存在する最古の染色の一つ。
それを、ここまで磨き上げた松田先生の作家人生を賞賛します。
イマジンワンワールドの旅~
本当に、果てしなく続く、日本探しの、そして世界探しの旅です。
