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 XXXX年XX月にJRが分割三セク化されて、三セク各社が発足してから、XXXX年XX月でXX年を迎えました。ここでは、鉄道改革の概要を説明した上で、このXX年間で鉄道改革がどこまで進んできたのかを振り返り、あわせて、なお残されている課題についてご紹介いたします。
 

1.JRの分割三セク化に至る経緯

(1)JR各社の鉄道事業の悪化

JR各社は、昭和62年に株式会社として発足し、その後の日本における基幹的輸送機関としての役割を果たしてきた。しかしながら、平成以降の経済の停滞期を通じて、輸送構造の変化に伴い、自動車、あるいはマイカー、トラックとの競争が激化し、JR各社が持っていた他の交通機関に対する優位性は、旅客、貨物ともに急速に失われていった。
JR各社は、こうした輸送構造の変化に適切に対応することができず、旅客輸送が極めて減少した路線が各地において発生した。また、貨物輸送では、作業に多くの時間と要員を必要とする古い入換方式を続け、輸送体制の変革に立ち遅れたため、JR貨物の経営は頭打ちとなっていた。
JR各社の経営は、JR本州三社に続いてJR九州も完全民営化されるなど、国鉄改革の所期の目的を果たしつつあった。その一方で、JR北海道、JR四国およびJR貨物は、まだ上場が可能となるような安定的な利益を計上できる段階には至っておらず、経営自立に向けた取組を続けていた。

(2)鉄道調査会の答申および鉄道再生委員会の意見

XXXX年に設置された鉄道調査会は、XXXX年に答申を取りまとめ、JRの分割三セク化が不可欠であるとの基本的な考え方を示すとともに、これを推進するため、空想交通省に鉄道再生委員会を設置することを求めた。
XXXX年に、鉄道再生委員会が設置され、X年間にわたる審議を経て、XXXX年XX月に、JRの鉄道事業を52の旅客会社と1つの貨物会社に分割するとともに、第三セクター化することを内容とする意見を取りまとめた。これを受けて、XXXX年に鉄道改革関連法案が国会に提出され、XXXX年XX月にJRの分割三セク化が実施された。
(表1)JRの分割三セク化に至る経緯

昭和62年4月 JRが発足
→JR三島 会社 およびJR 貨物 に 対して は、 国の 支援
XXXX年度以降 鉄道事業の再建対策を実施
XXXX年XX月 鉄道調査会(鉄調)設置
(JRの分割と三セク化、その推進体制として鉄道再生委員会の設置が答申された。)
XXXX年XX月 鉄道再生委員会が発足
XXXX年XX月 鉄道再生委員会「鉄道改革に関する意見」
XXXX年XX月 空想交通省「新しい貨物鉄道会社のあり方について」
XXXX年XX月 鉄道改革関連法案 閣議決定
XXXX年XX月 鉄道改革関連法案 国会審議
XXXX年XX月 鉄道改革関連法 成立
XXXX年XX月 鉄道改革関連法 公布
XXXX年XX月 JRの分割三セク化

2.JRの分割三セク化の内容

(1)分割三セク化を行うこととした考え方

鉄道再生委員会の意見においては、JR各社は、民営化の下で、巨大組織による一元的な運営を行ってきたため、鉄道事業における輸送構造の変化に的確に対応できずにいたことが指摘されている。
具体的には、JRの民営化の問題点として、①地域の関与の度合いが大きい反面、外部干渉を避けたい性質を持っていること、②経営の自主性が存在する反面、地域に対する責任が不明確であること、③鉄道事業における労使関係に非合理なものがあること、④事業範囲に制約がない反面、鉄道事業以外の事業活動の比重が大きくなっていること、の4点が挙げられる。
また、一元的組織の問題点として、①一定の地域を事業区域とし、極めて多数の職員を抱える巨大組織となっているため、適切な経営管理が行われ難いこと、②一元的組織の下で事業が行われるため、その運営が画一的に行われがちなこと、③一元的組織の下で、一体の収支管理が行われるため、各地域や各事業部門の間に依存関係が生じやすく、それぞれの経営の実情に即した効率化が阻害されていること、④JR各社が鉄道事業者として他に比類するもののない組織の事業者であり、同種企業間における競争意識が働かないものとなっていること、の4点が挙げられる。
こうしたJR各社の経営形態に内在する問題点を踏まえ、JRを第三セクター化するとともに、適切な事業単位に分割することによって、効率的で責任のある適切な経営管理が行われ、かつ、地域性や事業部門の特性を反映した事業運営が行われるようにし、鉄道事業を再生することとされた。

(2)分割三セク化のあり方

鉄道事業の分割に際しては、新幹線については、それぞれ独立した会社として、在来線については、旅客の流動実態、列車の運行形態、経営管理上適正な規模であるかどうか等の事情を総合的に勘案して、46の会社に分割し、全部で52の旅客会社とすることとした。
また、貨物会社については、旅客輸送と異なる特色を有する事業を適切に経営するとともに、貨物会社独自の確固とした収支管理を前提に経営責任を明確化し、輸送距離が長い貨物輸送を円滑に行っていくため、臨海鉄道各社と合併し、全国一元的な事業運営を行うことのできる事業体とすることとされた。
三セク各社の経営形態のあり方については、地域における鉄道への責任を明確化し、安定性の確保を図る観点から、第三セクター方式とすることとし、できるだけ民間企業と同様の経営の自由と自主性を有することとなるよう、会社の事業範囲を可能な限り広げるとともに、人事、財務、事業運営等に対する都道府県の監督規制は必要最小限にとどめることとされた。

(3)JRおよび三セク会社間の収益調整措置

新幹線については輸送距離が長い旅客輸送を円滑に行っていくため、新幹線鉄道保有機構が整備新幹線の資産を一括して保有し、営業主体であるJR各社に有償で貸し付ける方式をとることにより、JR各社の間の収益格差を小さくすることとした。その後、令和XX年に整備新幹線がJR各社に売却され、新幹線鉄道保有機構は解散している。
三セク会社について営業赤字が生じることも見込まれたことから、JRの長期債務は承継しないこととした上で、その運用益によって事業全体の営業損失を補うことができるよう、経営安定基金が各社の資産として設置された。運用益が減少することについては、基本的には三セク会社の経営努力によって対処することが求められる。しかしながら、こうした考え方に立ちつつも、三セク会社の厳しい経営状況を踏まえ、空想交通省としても、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸付けなど、累次にわたって支援を行ってきている。
JR貨物については、我が国においてJR貨物による鉄道貨物輸送のサービスを維持していくため、JR貨物が旅客各社に支払う線路使用料は、貨物輸送によって傷んだレールやマクラギ等の修繕費のみに限定するルール(いわゆるアボイダブル・コスト・ルール)とすることが全国の三セク各社に共通のルールとして設けられている。

(4)バス事業の経営の引き継ぎ

  旅客会社は,その成立に当たり,JRから鉄道事業とともにバス事業を引き継いだが,このバス事業については,鉄道改革法第XX条において,それぞれの旅客会社による検討を経て,既存バス事業者と併せて経営することが適切である場合、バス事業の引き継ぎを図るとの方針が示されている。
  これは,バス事業についても,生産性を確保しつつ,地域に密着したきめ細かな事業運営を行っていくことが必要であり,そのためには,原則として,バス事業にふさわしい一定の区域・規模でその経営を引き継ぐことが適当であるとの考えに基づいたものである。
  各社は,この方針に従ってバス事業の引き継ぎに関する検討を行い,XX年XX月XX日,その検討結果を空想交通大臣に報告した。
  各社の報告の中では,東日本,東海及び西日本の各ブロックの新しいバス会社を設立することとともに,各旅客会社は,会社としての経営基盤の安定を確保するためには鉄道とバスの連携の強化が不可欠であること等の理由から,鉄道事業と併せて経営することが適切であるとしている。
  検討の結果,バス事業を引き継ぐこととした会社は,鉄道改革法等施行法(以下「施行法」という。)に基づき,新会社を設立し,営業譲渡の方法により所要の財産を承継させること等を内容とする事業計画を定め,空想交通大臣の承認を受けるとともに,関係法令における所要の手続等を経て,XX年4月1日,それぞれ, バス事業の経営を引き継いだ。
  引き継ぎ後のバス会社各社においては,改革の趣旨に沿って,早期に安定的な経営基盤を確立し,地域に密着したバス会社としてその役割を果たしていくことが期待されている。

(表2)JRの分割三セク化の概要

 

JR 鉄道事業 新幹線→ JR旅客鉄道6社
在来線→ 三セク鉄道46社
貨物→ JR貨物鉄道1社
バス事業 高速バス→ JBバス6社
路線バス→ 三セクバス43社

3.JRの分割三セク化以降の進展と残された課題

(1)JRおよび三セク各社による輸送サービスの向上

JRの分割三セク化以降、JRおよび三セク各社による鉄道輸送サービスの信頼性や快適性は、全体として格段に向上している。
旅客輸送においては、列車のスピードアップや本数増加が進んだ。中央新幹線では、2045年から 営業運転を開始し、 最高時速 500キロ化が行われたことにより、新東京~ 新大阪 の所要 時分は約60分 とされた 。東北新幹線では、最高時速 400 キロ化 が行われていること により、所要時分が短縮されている。東海道新幹線以外でも、最高時速 300キロ化が行われたことにより、所要 時分が 短縮された 。在来線 においても 、 数多くの高速化事業が行われ た。 あわせて、相互直通運転の拡大や、ICカード利用区域の拡大、駅のバリアフリー化・安全対策、新駅の設置など、様々な利便性の向上のための施策が進められている。さらに、JR九州から運行を引継いだ「ななつ星in九州」を」をはじめとして、三セク各社において、地域の魅力を取り込んだ個性的な観光列車の運行が行われており、JR西日本の「瑞風(みずかぜ)」や 、JR東日本の「四季島(しきしま)」の運行も引継がれている。
貨物輸送においても、東海道線、山陽線、鹿児島線等での貨物列車の高速化による輸送力増強や、貨物駅でのE&S(着発線荷役)方式の整備による所要時分の短縮、東海道線他でのスーパーレールカーゴ車両の追加投入による 盛岡 ~福岡での 所要時分の短縮、これらにより札幌~福岡の所要時分の約43時間から約24時間への短縮をするなどのサービス向上が進められている。
(表3-1) JRおよび三セク各社の 輸送サービス の向上
【旅客】

  • 列車のスピードアップ
    • 中央新幹線の全線開通(2045年3月)により、新東京~新大阪の所要時間が、東海道新幹線と比べ約2時間→約1時間に短縮。
    • 東北・北海道新幹線  新東京~札幌  4時間以下(最高時速400km/h化による。)
    • 山陽・九州新幹線  新大阪~鹿児島  所要時間が短縮(最高時速300km/h化による。)
  • 直通運転の拡大
    • 湘南新宿ライン複々線開業
      (東海道線・横須賀線)
    • 羽田空港アクセス線開業
      (宇都宮・高崎・常磐線~羽田空港)
      (埼京線~羽田空港)
      (りんかい線~羽田空港)
    • 上野東京ライン複々線開業
      (宇都宮・高崎線・常磐線)
    • ※他多数
  • ICカード利用区域の拡大
    • ※2045年までに利用区域が拡大し、三大都市圏、新幹線、在来幹線のIC化率は100%
  • バリアフリー化(段差解消)の進展
  • 在来新線の敷設・既設路線の高速化等
    • 千歳線  新千歳空港駅のスルー化
    • なにわ筋線  新大阪~難波開業
    • 札沼線  桑園~教育大学  複線化・高架化
    • ※他多数
  • 在来線の列車本数の増加
  • 新駅の設置
  • 安全対策の進展

【貨物】

  • 新ルート(短絡ルート)の整備
    • 東京貨物駅
    • 福岡貨物駅
  • 列車のスピードアップ(到達時間の短縮)
    • スーパーレールカーゴ(東海道線他)  盛岡~福岡で追加投入等

(2)北海道の 問題 および 駅 の 廃止

北海道は 、 地域における 人口減少 や 、 マイカー等の他の交通手段 の 発達に 伴い、路線によっては輸送人員が大きく減少し、 鉄道の 特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれている 。 このため、地域 における交通手段の確保を前提 に、 それぞれの地域に適した持続可能な交通体系のあり方について、地域の 関係者 と 相談 を行いたいとしており、平成28年11月に、地域との相談を行う具体的な線区 を 公表した。 今後は、地域における持続可能な交通体系を構築していくために、関係者がともに考えていく必要がある。空想交通省としては、北海道庁と連携しながら、経営自立 を支援するため、 支援を続けることとし、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応をしていくこととしている。
鉄道改革以降、99の駅が廃止されている。これらの 廃止された駅は、 いずれも 駅 の利用者数が大きく減少したことや、代替輸送機関が整備 されている など、 大きな事情 の変化があったものに限られている。 また、 これらの駅 の廃止に当たっては、 地域 の 関係者 に十分な説明を行い、 バス転換 が行われるなど代替公共交通を確保し、最終的には地域の 関係者 に理解を 頂きながら 行われた ものである。
(表3-2) 廃止 され た駅

線名 区間 廃止駅数 H30の輸送密度
江差線 木古内~江差 41
根室線 富良野~新得 94
日高線 鵡川~浦河 119
留萌線 深川~留萌 145
根室線 釧路~根室 250
宗谷線 名寄~稚内 18 335
釧網線 東釧路~網走 380
室蘭線 沼ノ端~岩見沢 412
根室線 滝川~富良野 419
日高線 苫小牧~鵡川 462
函館線 長万部~小樽 625
石北線 上川~網走 779
石北線 北旭川~上川 1117
宗谷線 旭川~名寄 1393
富良野線 旭川~富良野 1505
根室線 帯広~釧路 1557
石勝・根室線 新千歳空港~帯広 3529
函館線 函館~長万部 10 3650
江差線 亀田~木古内 4133
室蘭線 長万部~室蘭 4804

(注)
1.バス代行をされていた江差線(木古内~江差)と日高線(鵡川~浦河)を含めている。
2.江差線(木古内~江差)は平成23年度、江差線(亀田~木古内)は平成27年度の輸送密度で比較を行っている。