【いつもは威勢いよき黒ぬり車の、それ門に音が止まつた娘ではないかと兩親に出迎むかはれつる物を、今宵は辻より飛ひのりの車さへ歸して悄然(しょんぼり)と格子戸の外に立たてば・・・]

おせきは、ある決意を胸に秘め、突然実家の斉藤家を訪ねる。
十三夜の月を愛でながら娘を想う両親を前に、決意を言い出しかねるおせきであったが・・・・・・・・・(上の部)

【それは東へ、これは南へ、大路の柳月のかげに靡いて力なささうの塗下駄のおと、村田の二階も原田の奧も憂きはお互ひの世におもふ事こと多ほし。】

実家からの帰り道、車夫に身を持ち崩した幼友達との思いがけない束の間の再会と別れが・・・(下の部)

令和八年十月二十三日(金) 月暦の♪十三夜♪
第三十一回なごみ座
本郷 赤門前 法真寺にて