何と、モノクロの無声映画での快挙!!
米ハリウッド(Hollywood)で26日開催された第84回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で、モノクロの無声映画『アーティスト(The Artist)』が作品賞を含む5冠を達成し、今年の映画賞シーズンを有終の美で締めくくった。
同作品のその他の受賞部門は、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン、Jean Dujardin)、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス、Michel Hazanavicius)、作曲賞、衣装デザイン賞の4つ。
『アーティスト』より1つ多い11部門にノミネートされていた『ヒューゴの不思議な発明(Hugo)』も5部門で受賞したが、すべて技術系にとどまった。
アザナヴィシウス監督は監督賞の受賞スピーチで「私は世界一幸せな監督だ」と喜びを表した。
■ハリウッドへのこだわり
プロデューサーのトマ・ラングマン(Thomas Langmann)は先日、AFPのインタビューで、米国のスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督に、今のハリウッドで無声映画を作るなんて「不可能」であり、モノクロならなおさらだと言われたことを明かしている。
フランス映画界の有力者の理解を得るのも簡単ではなかった。しかし、同国の映画製作における資金調達のシステムとラングマンの粘り強さで、アザナヴィシウス監督はハリウッドでの撮影に必要な900万ユーロ(約9億8000万円)を得ることができた。
ラングマンは「私には他の場所で撮影することは考えられなかった。ハリウッドの物語を語るのなら、ハリウッドで撮らなければ」と話した。
■大物プロデューサーがバックアップ
アザナヴィシウス監督が1月に行われたゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)授賞式で、ハリウッドへの「ラブレター」だと表現同作品の成功には、米国の大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)の目にとまったことも大きく関係している。
アザナヴィシウス監督はAFPのインタビューで次のように語っている。「ハーヴェイ・ワインスタインは素晴らしい仕事をしてくれた。映画や観客についての考え方、時宜を得た市場戦略など、とにかく卓越している」