月の土壌はこれまで考えられていたより多彩な元素や化合物で構成されており、銀も含有していることが、米研究チームの分析で明らかになった。
米航空宇宙局(NASA)は前年10月、月面探査機「エルクロス(Lunar Crater Observation and Sensing Satellite、LCROSS)」のロケットを月の南極付近にあるクレーター「カベウス(Cabeus)」に衝突させ、その衝撃で舞い上がった何十億年も太陽光にさらされていなかったちりを回収した。
22日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された論文によると、米ブラウン大学(Brown University)の研究チームはこのちりを分析。銀、ヒドロキシ基、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、自由状態のナトリウムなどが検出され、ちりが驚くほど豊かな混合物であることが分かった。
論文の主著者で地質学者のピーター・シュルツ(Peter Schultz)同大教授は、「この場所(クレーター)はまるで元素や化合物の宝庫だ。月面上のあらゆる場所で放出された物質が、この常に影となっている『バケツ』に蓄積されている」と語っている。