5月末にパリの裁判所に破産を申し立てた、フランスのファッション・ブランド「クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)」。7月にパリで09/10年オートクチュール・コレクションの開催を控えるラクロワが6日、現在の心境を語った。
■7月下旬にブランド閉鎖の恐れも
ラクロワは「今後どのようになってしまうのかと思うと不安でいっぱいです。今現在、オートクチュールのビジネスを救う方法を何も持ち合わせていませんからね」と語る。支援者が現れない場合、7月下旬にブランドを閉鎖しなくてはならず、現在の雇用者124人のうち112人が職を失うことになる。
「私たちのブランドは、多種類な商品と壁一面のロゴで世界中を占めるインターナショナル・ブランドというよりも、手作業を専門としたオートクチュール・ブランドなのです」とラクロワ。「私たちは、誰よりも先に派手な装飾を取り入れたデザインを始めました。まさに“キッチュ”という言葉がぴったりなのです」
■ビジネスでの苦悩
1987年に仏ラグジュアリー・グループ「LVMH」の支援を得て設立された「クリスチャン・ラクロワ」はファッション愛好家たから崇拝されるほどのブランドへと成長していった。しかし、ビジネスは決して好調といえず、05年には「LVMH」から米免税店グループ「ファリック(Falic)」へと売却される。それ以前にも、何度も最高経営責任者が交代していた。
ブランドのフレグランス「セラヴィ(C'est La Vie)」が失敗し、さらにプレタポルテよりも比較的安い価格帯のデフュージョンライン「バザー(Bazar)」も廃案になった。
「この22年間我々はうまくやっていたし、自分たちの立ち位置もわかっていた。しかし、ビジネス面では決して目標点に届いていなかったし、株主たちと一度も良好な関係を結べていなかった」とラクロアは振り返る。
■モデルは無償で出演
パリ市内で7月7日に開催されるオートクチュール・コレクションには顧客やプレスを含め200人以上が招待されている。ショーのモデルたちは無償で出演するという。ラクロワは「ぴったりとしたシルエットで、セクシーだけどジェントル。黒を中心に、ブランドのかつてのクラシック・レパートリーを再現する予定です」と明かす。
インビテーションカードは、通常の鮮やかなものでなく、黒とグレーを使った質素な仕上がりになった。このデザインは、今回のコレクションの雰囲気そのものを反映しているという。「これはスケッチのようなものです。色を塗る前の状態なのです」。
クリスチャン・ラクロワのコレクション成功と継続を願って!