ビールからアイスクリーム、ピンバッジからTシャツ――バラク・オバマ(Barack Obama)米次期大統領の就任記念グッズが、20日の就任式を前に飛ぶように売れている。
「この歴史的瞬間の記念が欲しいと思う人が大勢いる」と語るのは、ワシントンD.C.で「この道20年」のジュエリー職人、アン・ハンド(Ann Hand)さん。ハンドさんは、就任記念アクセサリー・コレクションを製作した。カフスボタンは、星条旗の赤、白、青とオバマの「オー(O)」を使った選挙中のオバマ陣営のロゴをデザインしたもの、ネックレスはオバマ氏が繰り返し語っている「希望」を表現したものだという。サングラスは老舗ガラスメーカー、スワロフスキー(Swarovski)のクリスタル製で「Barack Obama」の文字がかたどられている。
どのアイテムも決して安価ではないが、経済危機の昨今にあっても需要は高く、多くが入荷待ちの状態だ。「全アイテムが予想以上に売れている。香港、ノルウェー、スウェーデン、シンガポール、日本、英国など海外からの注文も多い。こんなことは初めて」とハンド氏は喜んでいる。
■公式のグッズショップも好調
一方、ワシントンD.C.には17日、オバマ氏の公式グッズ「オバマビリア(Obamabilia)」を売る店もオープンした。例えば「Be the change(変化に加わろう)」の文字の下にオバマ氏の顔が入ったストリート・アーティスト、シェパード・フェアリー(Shepard Fairey)氏デザインのTシャツは30ドル(約2700円)、就任式へ列車で出発したことを記念する木の列車模型は22ドル(約2000円)だ。
ほかのデザイナーの手掛けたオバマグッズでは、ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)のトートバッグが70ドル(約6400円)、ダナ・キャラン(Donna Karan)のオーガニック・コットンTシャツが45ドル(約4100円)などで販売されている。
店主は「仕入れが追いつかない」とうれしい悲鳴。バッジ、鉛筆、長袖Tシャツなどを買い込んで店から出てきた女性に話を聞くと「どれも値段は高め。鉛筆なんて1本2ドル(約180円)もしたけれど、(オバマ氏の)就任記念に公式グッズを手に入れておかなければと思った」と語った。
■一番人気は地下鉄のプリペイドカード?
しかし、値段が最も手頃で使い勝手も良い記念品といえば、笑顔のオバマ氏がプリントされたワシントン公共交通システム用のICカードだろう。前週、ワシントンD.C.で発売が開始された際には、窓口に数百人が列を作った。アジア系の男性は「妻が電話をかけてきて、家族4人にそれぞれ1枚ずつ買ってきてくれと頼まれたんだ」と話した。
ワシントン首都圏交通局(Washington Metropolitan Area Transit Authority)によると、料金を何度もチャージすればずっと使えるこのカードの人気は抜群で、生産したドイツの会社にさらに14万枚を追加注文した。