フランス/ドーヴィル | 金谷全朗の印象光景・ハッピーがそこにある!
ドーヴィル

<夏>
パリから列車で約3時間。
フランス、ノルマンディ地方のドーヴィルへ移動した。
高級ビーチリゾートであり、バカンスシーズンにはパリの社交界として賑わう街。

ドーヴィルは、真夏の色彩と洗練された雰囲気で溢れていた。
海岸には、鮮烈な色のビーチパラソルが整然と並ぶ。
風景に溶け込みながら続く、3Kmの快適な木製ボードウォーク。
まぶしい青い空と海、点在する白いクルーザー。
真夏の太陽が、ビーチウェアーの鮮やかさを際立てる。
そこには特有の開放感を持つ、美しいビーチ空間があった。

印象的な光景に、リゾート気分が一段と活性化していく。
開放的なカフェ、冷えたシャンパン、立ちのぼる気泡。
友人と3日間のオフタイムに乾杯をした。


<冬>
パリから何台かの車を連ね走っていた。
冬のドーヴィルでの数日間のロケ撮影だ。
郊外の風景は、いつ見ても飽きが来ない。
移り変わる風景をBGM 代わりに、映像イメージを創り上げていった。
明日から撮るのは、トワイライトの情感的な浜辺と女性。

ロケハンがてら歩いた、静かなドーヴィルの街。
そこには夏の雰囲気とは一変、別の味わいが有った。
もちろんビーチには、鮮やかな色彩もリゾート客の歓声も無い。
波の音、風の音、カモメの鳴き声・・・
母と幼い娘だけが歩いている、長い長いボードウォーク。
そろいの赤いコートが、海風に吹かれている。
引き潮の波打ち際に白い泡沫、打ち上げられた流木。
海面すれすれまで低空飛行する、カモメの群れ。

海岸沿いにズラッと並ぶ、ノルマンディ独特の木造建築。
夏、ビーチパラソル越しに誇らしげだった邸宅風景。
今はひっそりとし、そのデコラティブなデザインが閉塞感を際立てている。

同ポジションでの、オンシーズンとオフの光景。
僕は脳裏でこれらの映像イメージを重ね、オーバーラップした。

冷えた身体で立ち寄った、閑散とした街のカフェ。
心地良かった、ウエイターの笑顔とコーヒーの湯気。

ZenRo~ 飛行機