

避寒地として知られているアリゾナ州のフェニックスで撮影を終えた。
自分にとって好きな街のひとつだが、夏の外ロケは、また別。
その暑さは、ホットでなくヒートという言葉がピッタリだ。
夜になってさえ、レストランやショッピングセンターの広い駐車場では、
コンクリートからムワァーと上がる輻射熱で呼吸が喘ぎそうになる。
そんな訳で、フェニックスから早々に次の目的地に移動する事にした。
北へ約230Km程。
同じ州だが標高2300mとなり、夏でも快適な街だ。
グランドキャニオンへの入口のひとつ、フラッグスタッフ。
キャニオンへの観光客が多く、自分もロケ撮影で度々立ち寄っている街。
郊外には赤茶レンガ色の荒野や岩山。
それらに調和する色彩で古い街並が残る。
土産物屋に並ぶカウボーイやインディアン用品の専門ショップ。
その雰囲気や品揃えの魅力についつい、
使用しないウエスタンブーツやカウボーイハットを購入したくなる街。
ここはまた昔懐かしい響きの、あの「ルート66」上の街としても知られている。
ちなみに「ルート66」は、シカゴからロスアンジェルスまでの約4,000Kmの横断道路。
アメリカに訪れた自動車文明の波で、1926年頃に開通。
やがて、その名称のテレビ映画とテーマ曲も大ヒットしたが、
道路の整備高速化で、現在その名称は地図から消滅した。
ただ、今でもその道も標識も残っており、ここフラッグスタッフのダイナーで、
窓外の「ルート66」の標識を眺めながらのコーヒーも感慨深かいものだ。
ホテルからブラブラ散歩に出た。
高い陽と、深い空の色。
岩山色のビル壁に、印象的な黒と白のペイント広告。
僕はそのショップに、引かれるように入って行った。
ZenRo~