
カラッとした快晴、日曜日。
六本木ヒルズの一室での会議。
クリアに抜け渡る49階からの眺望。
青空の右隅には小さなポッカリ雲。
カプチーノが頭にポッと浮かんだ。
下降エレベーターは自分一人だけ。
まだ閑散としたショッピングゾーン。
休日の午前中はスロースタートの魅力時間帯だ。
植え込みに視線を引かれた。
情熱デザインのフォルム、魅力花。
ギザギザピンクに鋭いトゲトゲ。
蕾みはしとやかなブルーバイオレット。
ビルの隙間光がビーム状に射し込んでいる。
触れた指先に、ピュッと深く刺さる花のトゲ。
トゲと言うよりも、針の鋭さ。
真っ赤な血はプーッと膨らむ。
美しさとセルフディフェンス力。
見知らぬ花の、併せ持つ魅力。
僕はそれに引き込まれたようだ。
少し遠いカフェまで歩きたくなった。
なんとなく、気分は新鮮な出逢いの後の様な心地良さ。
指に巻き付けたペーパーが赤く滲んでいた。
ZenRo
