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日本は日露戦争時の借金を82年間かけて返済した。外債ばかりか賠償も誠実に払い続けたのだ。
佐々木譲の『ワシントン封印工作』を読んでいたら、次のようなことが書いてあった。日本は日露戦争で多額の戦時外債を発行した。
ところが償還期日が迫ってきたところで、関東大震災が発生、償還できなくなった。
そのときモルガン商会のトーマス・ラモントが渋る各国を次のように言って説得した、
「日本政府は、過去2000年、外債の利払いを一度たりとも怠ったことがない」。このおかげで日本は関東大震災から立ち直ることができたのだ。
近代史や財政学を学ぶものなら一度は耳にしたことがある話だという。
NHKの「英雄たちの決断」で高橋是清がテーマになった時に、日露戦争の借金の完済は戦後になってからだと言っていた、調べてみると、借金してから82年後の昭和61年(1986年)だという。
ではどれくらい借金したのか。専門書は持っていないのでWIKIの情報に拠るが、戦費は1億5000万円と見積もられたが、そのうち約1億円を外債に拠ることにした。
日本は勝てないだろうという見方が支配的だったので資金調達は困難を極めた。
しかしロシアを敵視するアメリカのユダヤ人銀行家のジェイコブ・シフから何とか融資を得ることがでた。
戦況が日本有利となるとその後の調達は楽になったが、借金額は増えていった。1904年から07年までに総額1億3000万ポンド(約13億円)に達したのだ。
当時の国家予算は約3億円とされるから、日露戦争は国力以上の戦いだったのだ。この巨額の外債の償還そしてそれ以上の利払いと完済には時間がかかったのだ。
しかしそれでも日本は誠実に払い続けた。とにかく借りた金は利息も含めて返す、当たり前のことだが、世界には外国の借金を返さないどころかもっと出せと平気でいう国もあるが、これでは信用無くすだろう。
日本は日露戦争時の借金ばかりでなく、戦争の賠償も誠実に払い続けた。
戦争に関係ないと思われる、スイスにもまた枢軸国だったイタリアにも払っている。
戦後皆が貧しいなかで懸命に働いた金で返してきたのだ。
ところで日露戦争のことだが、当時は日本はロシアには勝てないと見られていた。
お手並み拝見といういわば傍観者的な立場から見ていたのだ。
この日露戦争、少し前の日清戦争の結果、日本は朝鮮を併合した。
当時世界は朝鮮併合を認めた。
世界はロシアの南下政策を日本が国を傾けてまで阻止したのだから当然といえるだろう。
だから今さら併合を認めないと言っても始まらない。
それは東京裁判は不当だと言っても始まらないのと同様だ。
まずは歴史的事実を認めることから国と国の新しい関係は築けるのだ。
それにしても日露戦争は西欧にとっては日本がロシアの南下政策を阻止してくれたので、自分たちの兵隊は血を流さずに済んだ、
また多額の借金をしてくれたので利払いだけでも毎年多額のカネが何もせずに入ってくる、まるで丸儲けのようなありがたい戦争だった。
しかし日本が勝利した結果、日本に警戒感を抱くようになったことも間違いないところだろう。
借りた金は返す、このことは個人についても国家についても当たり前のことだ。