1924(大正13)年5月20日に相田みつをは足利市に生まれました。
大正11年生まれの私の父とイトコで、家も近所です。
筆一本で暮らすと決めたみつを。
生活は困窮を極め、家族四人は八畳一間で暮らしていましたが、みつをは三十畳のアトリエを独占していました。
独特の書体で、詩を創り続けたみつを。
60歳のときに出版した初めての著書「にんげんだもの」は、初版から30年を越える現在も、ロングセラーを続けてます。
ところが、その創作活動は、葛藤の連続でした。
19歳から書を習い始めたみつを。
着実に伝統的な書の技法を習得していきますが、その一方で、"現代には現代の書をかかなければならない"という思いが強くなってゆき、ろうけつ染めを用いた前衛書や詩文書などに挑戦しました。
書への探求心は強くなるばかりで、作者の思いや感動を伝えるにはどうしたらいいのか。
たどり着いたのが、"自分のことばをじぶんの書で伝える"ということで、みつをは、書壇を離れ、独自の道を歩み始めました。
自分と向き合って、素直な自分をさらけ出し、そのときの思いを筆に込め、生涯、みずからの理想の書を追い求め続けました。