「私たちは大恐慌に向かっている」、トランプ氏の発言を暴論と笑えない理由 9/24(日) | imaga114のブログ

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「私たちは大恐慌に向かっている」、トランプ氏の発言を暴論と笑えない理由
9/24(日) 11:02

 

 

 9月のFOMCで利上げが見送りになったが、パウエルFRB議長の発言が予想以上にインフレを警戒する内容だったことから、米10年債の利回りが高止まりしている。  さらなる金利高となれば、投資家が債券の投げ売りとともに株式などのリスク資産圧縮に動く可能性がある。  今後のインフレの再加速を示唆するような統計や動きが出るとの見方があり、注意が必要だ。

 

 

 

■ 「金利のピークは近い」との読みは外れた

 「私たちはおそらく大恐慌に向かっている。こんなことを言ったのは初めてだ。唯一の問題は、それがバイデンの任期中に起きるか、自分の任期中に起きるかだ」

 米トランプ前大統領は9月8日、支持者集会での演説でこう話しました。

 9月19~20日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り、利上げが見送りになりました。しかし、その後の記者会見でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が、予想以上にインフレを警戒する内容だったことから、米10年債の利回りは昨年10月や今年8月の水準(4.3%台)を上抜く水準となりました。

 ヘッジファンドや各金融機関はこれまで、米金利のピークが近いという前提のもと、株式を買い上げてきました。それだけに読みが外れた打撃は大きいでしょう。

 金利の上昇は債券価格の下落を意味します。筆者が前回記事「ブラックマンデー再来に備えよ、一段の米金利高なら債券投げ売り、株も暴落へ」でも指摘したように、今後は債券の損切りを急ぐと同時に、利益が出ている株式などのリスク資産を圧縮してくるはずです。

 【関連記事】
◎ブラックマンデー再来に備えよ、一段の米金利高なら債券投げ売り、株も暴落へ
(配信先のサイトでご覧になっている場合、下記の関連記事リンクまたは「JBpress」のサイトから記事をお読みください)

 パウエル議長がインフレに対し、タカ派の発言をしたのは当然のことです。その論拠として米金融サイトWOLF STREETの論考を紹介しましょう。

 「The Acceleration of Inflation in the Second Half has Begun, “Disinflation” Honeymoon Terminated」という標題のコラムによると、今年の下半期、次の3点の理由からインフレは再び加速するとしています。

 

 

 

上半期のCPI(消費者物価指数)を前年比で押し下げた「ベース効果」は終わる
 2022年10月から始まった「医療保険調整」は、今年11月に発表の10月CPIから逆に振れる
 原油価格が再び高騰し始めた
 1点目の「ベース効果」とは、物価上昇率を前年同月比で示す場合、前年の数字が変化したことの影響が上昇率の数字に影響してしまうことです。現在の前年比計算の「ベース」は2022年6月をピークとする指数上昇時のものです。昨年後半は伸び率が鈍化したので、今後はベースが下がり、前年比の数値が大きくなるという指摘です。

 2点目の「医療保険調整」について説明しましょう。米当局は医療保険料の推計方法を毎年調整し、その調整幅を翌年12カ月に分散する方式を採用しています。今回、当局はコロナ禍の影響で、医療保険のインフレ率を過大に見積もってしまい、その分は昨年10月から毎月、分散し修正してきました。このためCPIの医療保険料の項目は前年比で34%も下落していますが、実際の医療保険料は今年、大幅に上昇しているというのです。

 この調整は今年9月で終わるので、(11月に発表される)10月のCPIでは大きく上昇に転じることは確実なのです。

■ 景気後退が指摘される中国だが、原油輸入は増加

 3点目の「原油価格上昇」は、ロシアとサウジの2大産油国がともに減産を行っていることが主因です。ロシアには米国など西側諸国の物価と金利を押し上げて経済に打撃を与え、ウクライナ支援の意欲を喪失させる狙いがあるとみられます。

 原油価格に関して言うと、景気後退が指摘される中国の原油輸入量が減少するという予測もありましたが、実際にはそうなっていません。

 中国の輸入は昨年1年間で7.3%減少したものの、原油に関しては31%も増加しているのです。これは中国が戦略的な理由から備蓄を急いでいるからでしょう。中国周辺で紛争が起きれば、湾岸諸国とのタンカーの往来がストップすることを懸念しているとみられます。

 

 

 

■ 原油が上がれば長期金利も上がる

 ここで注目すべき点は、2020年後半以降、長期金利は原油上昇時に高騰し、原油下落時は下がらず横ばいで推移していたことです(図1)。

 (本記事は多数のグラフを基に解説しています。正しく表示されない場合にはオリジナルサイト「JBpress」のページでお読みください) 

 このことは、原油価格が上昇に転じたら長期金利も上昇することを示唆しています。事実、直近では原油の上昇に押される形で米長期金利は上昇基調を強め、9月20日には節目となる昨年10月や今年8月の高値(4.3%台)を上回りました。

 要は原油が上がれば長期金利は上昇するわけです。このことは、(5年国債の利回りと5年物価連動国債の利回り差から算出する)予想インフレ率と原油価格との日足相関係数が0.9(2015年以降)と高いことからも明らかです(図2)。

 では昨年6月、原油価格が1バレル=120ドルでピークを打ったのはなぜなのでしょうか。

■ もはや米国の戦略備蓄原油放出には期待できず

 これはバイデン政権が中間選挙対策として、虎の子の戦略備蓄原油を大量に放出したことが効いたからです(図3)。

 ところが、その備蓄原油はピーク時から半減するまでに費消してしまいました。今後、原油が高騰しても、もはや価格を押し下げるほどの大盤振る舞いはできません。

 では株価はどうなるでしょうか。

 ここまで「インフレの収束→金利低下」を先取りする形で買い上げられてきました。しかし、先述した3つの要因は、インフレの収束期待が裏切られることを示唆しています。これまでのような堅調な株価を期待するのは難しくなったと言わざるを得ません。

 それでなくても米国の銀行は、債券で自己資本の1割強に及ぶ巨額の含み損を抱え、四苦八苦する状況にあります(図4)。

■ 米銀が抱える含み損はさらに拡大している

 図4の含み損データは、シリコンバレー銀行などが破綻した今年3月末時点までのものです。現在の長期金利の水準からみて、米銀の含み損は、その時点を大きく上回っているはずです。

 もし、このまま金利が上がるようならば、1987年のブラックマンデー、あるいはトランプ前大統領が言う「大恐慌」に発展する可能性もあり得るだけに、長期金利の動向には細心の注意が必要です。

 ※本稿は筆者個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。

市岡 繁男