
教授が教室に入って来て、一人の生徒を指さし、こう言います。
「二列目の青い上着の君。名前は?」
生徒は答えます。
「アレクシスと言います」
教授は言います。
「アレクシス、私の講義室から出て行ってくれたまえ。二度と君を私の講義室で見たくないのでね」
アレクシスは戸惑いながら言います。
「理由が分かりませんが」
教授は冷たく言います。
「私は同じことを二度と言いはしない。ありがとう」
アレクシスは、周りの生徒達を見回しながら、悲しそうに教室から出て行きます。
他の生徒達は、皆、困惑した表情を浮かべますが、何も言いません。
アレクシスが出て行った後、生徒達に向かって、教授はこう言います。
「なぜ法律があるのだろう?法律は何のためにあるのだろう?分かる人は?」
男子生徒が答えます。
「社会秩序?」
教授は不満そうに「フン」と言います。
女子生徒が言います。
「個人の権利を守る為?」
教授はまだ不満気のままです。
別の女子生徒が言います。
「政府を信頼出来るように?」
教授は目をむいて、やれやれと言う表情をします。
別の男子生徒が言います。
「正義ですか?」
教授は、我が意を得たり、と言う風に、彼を指さして言います。
「ありがとう。では、ここで質問だが、私はたった今、君達のクラスメートに対して不公正な扱いをしなかったかね?」
生徒達が頷きます。
教授は言います。
「実際、私は不公正な扱いをした。それなのに、なぜ君達の誰も抗議しなかったのだね?」
生徒達は目を伏せます。
教授は続けます。
「なぜ誰も私を止めようとしなかったのだね?
なぜ誰も、私がこのような不公正な行為を行うのを防ごうとしなかったのだね?
良いかね。
君達がたった今学んだことは、自分で体験しなかったら、何千回講義を聴いたとしても理解出来ないことなのだよ。
君達は何も言わなかったよね。
なぜなら、自分の身に起きたことじゃなかったからだ。
そしてその態度は、自分や自分の人生に反対してることになるのだ。
もし君達が、自分には影響しないから、自分の知ったことではないと思っているのなら。
私が君達に教えたいのは、
もし君達が正義をもたらそうとしないなら、
いつの日か、君自身も同じように不公正な目に遭うだろうと言うことだ。
そしてその時、誰も君の為に立ち上がる者はいないだろう。
真実と正義は、我々皆を通して存在するのだ。
そして我々は、それを勝ち取る為に戦わなければならない。
なぜなら、人生や仕事において、我々は時に、互いの為に生きているのだ。
共に、ではなく。
我々は、その問題は他人事だとして自分を慰める。
自分には関係ない、自分の関与することじゃない、と言ってね。
そして家に帰り、その日の夜に、自分は免れたとホッとするのだ。
しかし、それはではいけない。
互いの為に立ち上がる必要があるのだ。
毎日、ビジネスやスポーツや地下鉄の中では不公正なことが起きる。
誰か別の人が何とかしてくれるだろうと思っているのでは十分ではない。
誰かが自分でそう出来ない時、その人の為に、そこに行き、声を上げるのは、我々の務めなのだ。
私は、今日、君達に『声の力』を教える為にここに来た。
私は君達にクリティカルシンキングを学んでほしいのだ。
正しいことの為に立ち上がる力を自分自身に与える為に。
例え、他の全ての人と逆のことをするとしてもだ。
では始めよう」
教授はカバンを開く。
生徒達は納得して頷く。
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