巣ごもりのヒット商品は一過性。消費マインドの変化をどこで読むか | imaga114のブログ

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宮崎正弘氏の情報です

 

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和二年(2020)4月24日(金曜日)
      通巻6464号   <前日発行>
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 巣ごもりのヒット商品は一過性。消費マインドの変化をどこで読む
  任天堂ゲーム、スカパー、そしてネットフリックスに注目が集まったが
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 巣ごもり期間の三大ヒット商品とは、任天堂のゲーム、スカパー、そしてネットフリックスだ。
いずれも家に籠もり、時間をもてあましても瞑想、思索、読書の時間ではなかった。暇つぶしにゲーム、見たい映画、音楽ライブの代わり。外出自粛が解ければ、これらは見捨てられ、映画館、テーマパーク、歩行者天国、そして居酒屋に繰り出すことになり、ヒット商品は一過性だったことになる、だろう。

 さはさりながら、あらゆる産業に地殻変動の予兆がある。
 旅行業界、ホテルなどは、スカウトが行われている。優秀なガイド、通訳、接客のベテランが他の業界に移動している。インバウンドの回復には二、三年かかるだろうから、老舗旅館の廃業も続いている。人材はつねに求められるのである。

消費マインドの変化をどこで読むか
 たとえばヤマト運輸は業界の革命児として「企業 TO 企業」から「個人 TO 個人」という配達業態の変化を主導し、クール宅急便などのヒットを生んだ。
コロナ以後、対面配達をやめ、ボックス配達や、ドローン配達の実験をおこなって次代のビジネスモデルを模索している。ヤマト運輸は年間18億個の荷物を配達し、従業員23万人。海外拠点も多い。

 セメントは、この三十年で8000万トンから、4000万トンに需要が減った。
半減した現実は、日本が誇った製鉄所の高炉が次々と閉鎖に追い込まれたことに比例する。建築業界はふるわず、公共事業は減らされ、労働者は激減して外国人に依存するようになっていた。

マンションの新築件数が減少している。タワマンの売れ行きが足踏みという現実も頷ける。基幹産業が衰退の途次にある事実は誰もが掌握しているが、次の産業革命はコロナ収束以後に、日本でもおきてくるのか?

自動車生産が世界経済を牽引した。年初来、コロナ災禍による都市封鎖、外出禁止などによって新車販売が激減したことは一過性の現象であるにせよ、産業の主流の座を降りるとなると、次に何が産業界を牽引するのか?

或いはネット時代に産業革命の寵児といわれたソフトバンクや楽天の低迷ぶりをみていると、持て囃された新興産業も転換を余儀なくされており、大きな岐路にさしかかっている。IT関連で日本でも若手の起業家が輩出したが、第二のビルゲーツにはならず、マザーズ上場ていどで、「こじんまりと安定」を目指す人が多数派、だから飛躍はない。


▼通信革命、医療革命、メディアの変質のあとに

医療機器、ヘルスケア、製薬が飛躍的に伸びる産業であることは明らかである。各国も予算配分に気を配り、増額傾向にある。しかも自製化の傾向も明らかである。
ワクチンや特効薬のみならず、マスクや防護服、そして使い捨てのマスク、手袋、注射針にいたるまで需要が続く。
日本ばかりか欧米諸国は、医療機器、製薬生産を中国に依存してきたリスクに目覚め、自国生産に戻しつつあるように、マスクをシャープやパナソニックが生産するという異変は他分野でも顕著になるだろう。

精密部品、メカニカルな部品や中枢部品など、工学系も横ばいか微増傾向になり、問題は工場をどこに移転するかというサプライチェーンの世界的再構築に移っている。 

過去十年の大変化といえば、通信革命を基盤にメディアがすっかり変質したことがあげられる。電波の世界でも地殻変動が繰り返され、地上波のテレビがユーチューブなどに代替されつつある。紙媒体の新聞が嘗ての甚大な影響力を失ったことは朝日新聞の凋落をみれば歴然としている。

1980年、アルビン・トフラーが『第三の波』を書いて、第一の波は農業革命、第二が産業革命であり、つづく第三の波は「情報化社会」の到来だろうと予測した。世界的ベストセラーとなって、日本でも翻訳がでた。

このなかで、とくにトフラーが強調したことは、通信が双方向となり、コテージで仕事が出来る世の中がくるとの近未来予測だった。トフラーの前にハーマン・カーンの『大転換期』という社会基盤の変化を予測する大胆な書があった。

ネットの急発達で、既存のメディアの権威は失墜した。その典型がツィッターで選挙をたたかって勝利したトランプであり、またアメリカでは既存の三大ネットワークとCNNよりFOXの急伸が顕著となって、これまでマイナーとされた考え方の持ち主が、じつは多数派だったことも立証された。

コロナ災禍で地下鉄もバスも新幹線もガラガラ、ゴールデンウィークの人出が88%減という意味は、在宅勤務というスタイルが普及したからである。つまり会社へ通うことなくても、仕事をこなせる時代の到来である。

かつて日本にはブンダン(文壇)という特殊な、群れをなす集団があった。
集まる場所は銀座、酒場では見えない秩序があって自然発生的な序列がなんとなく決められ、ボスがいて編集者が阿諛追従した。これは論壇もアカデミズムの世界も同じだった。文壇、論壇は東京に集中していたが、この崩壊が徐々に進み、銀座は廃れ、小説家は地方にいても、最初はFAXで送稿し、其れがワープロのフロッピィの受け渡しから、いまではパソコンで送稿できる。東京に暮らす必要もない。速達書留で原稿を送ることもない。いや、編集者が原稿をとりにくることもない。連載をしている雑誌の編集者と一度もあったことがないケースもある。

コロナ以前から明瞭にあった現象だが、やがて緊急事態宣言によって地下鉄、JRのガラガラぶりとなっても、経済がある程度機能していること、社会が廻っていること、トフラーが言ったように会社に行かなくても、コテージで仕事ができる分野が増えていたこと、この傾向はますます明らかになるだろう。


 ▼日本は日本人の国だったのだ

海外在留邦人が、世界に散らばっていた。コロナ危機に直面して、大挙帰国したことは注目してよいのではないか。
4月23日現在、世界の各地にあって日本に帰国希望する邦人はおよそ四千名。帰趨本能が如実にでたのだ。

日本に還りたい、どんなルートを経由しても、まだ飛んでいる便をみつけるか、チャーターを手配して、日本人は日本を懐かしんでいる。
インカにいた日本人旅行者およそ三百人、フィジーに語学留学していた百名の若者、アフリカ諸国では、帰国希望者はアジスアベバにあつまって、まだ飛んでいたエチオピア航空を使い、ロンドン経由など、あらゆる帰国ルートを見つけて帰ってきた。

国境封鎖は「鎖国」である。
長崎の「出島」を思い出す人が多いかも知れない。
4月にはいって来日する外国人は一日平均85人。国際線の99%が欠航している。まるで鎖国状態、逆転の発想をすれば、このメリットがこれからでてくるのではないか。

 国際的なサプライチェーンの基本があって貿易は止まることがないが、人の流れが止まれば「文化的鎖国」となる。すなわち日本的な強みの再発見。日本にふさわしい産業の再構築、そのための教育システムの改編という長期ビジョンの基礎的要件を、考えるべきではないか。

グローバリズムの破綻、保護貿易主義の復活、経済のナショナル化への道に拍車がかかる。


 ▼農業の自給自足がこれほど見直された時代はない

 人間が生きてゆくには、第一に食であり、第二に居であり、第三が衣、つまり嗜好品、贅沢品、不要不急の物質となる。
 不要不急の物資は「突然死」のごとくに有名ブランドの購入はとまり、贅沢な時計ブームも萎縮し、背広など衣料品の売れ行きも止まった。

 日本は食の自給自足が決定的に脆弱と言われた。
農業従事者が激減し、農家の危機が叫ばれた。漁業、林業とともに第一次産業に従事する人口は激減してきたが、米は質的向上が甚だしく、外国へ輸出も出来るほど農作が続く。野菜は農薬汚染された中国からの輸入が途絶えつつあり、加工食品も、いずれ衛生問題から、日本へ戻ってくるような気配がある。

 コロナ以後の重大要件はまず帰農、第一次産業の梃子入れ、復活であり、それが国家安全保障の基底である。

 経済の動脈といわれる銀行はフィンテックによって変質を余儀なくされてきた。金融、証券、保険の形態はネット、ペイペイ、カードによって脅かされて久しいが、旧態依然のままなのは、ATMだろう。
このATM維持、現金輸送経費、ガードマンにかかる経費は、膨大であり、効率的な再編が行われる。デジタル通貨は、リブロの蹉跌でかなり遅れるだろうが、各国の中央銀行がブロックチェーンを基礎とするデジタル通貨に切り替える方向にある。

 物作りは、もはや大量生産というコスト競争は他国に依存し、独自の高価な物作りに移行する。
 住宅も同じで通勤不要、コテージ生活が良いとなれば、限られた職種ではあろうけれど、住宅建設の発想も変わる。タワマンが頭打ちとなった現象は都会よりも田舎暮らしという次代を予感させる。
  (この項、続く)