「風紋」

乃南アサ


1994年10月刊行

双葉文庫

上(定価880円)

下(定価762円




あらすじ


平凡な主婦[高浜則子]が、私立校に通う次女の高校の

父母会に出かける支度をしている。

たまたまテレビのニュースで殺人事件を放送していたので、

「殺された女も悪いのよ・・・

でも、そんな女に関わった男の方が馬鹿かもしれないわ」と思ったが、

8時間後には自分がその「殺された女」になってしまう。

相手の「馬鹿な男」は次女[真祐子]の高校の教師[松永」だった。

残されたのは、一流企業に勤めるが家庭を省みない夫と、

大学を二浪中で家族に反抗する長女・・・・


物語は普通の女子高生[高浜真祐子]を中心に進むが、

幼子二人を抱えた加害者側の妻[松永香織]の絶望的な

苦境も同時に描いており、

一つの事件を取り巻く、被害者側と加害者側の残された家族の姿を

細かな描写で余すところ無く表している。

事件に関わった新聞記者[建部]や、検事[速水]の眼を通じた、

凶器をめぐる法廷劇など

サスペンス部分もあり、読みごたえ十分だった。




感想は星星星星星(4.5点くらい)


いや~面白かった!グッド!

展開が気になって一気に読んだ。



作者の優れた表現力のおかげで、


まるでドラマを見ているように引き込まれた!


特に冒頭のニュース番組の場面が、この物語のテーマを予言して


素晴らしいプロローグだと思った。



最近の事件の特異性もあってか、


殺人事件のニュースを扱う各メディアの異常なまでの取材合戦に


呆れ果てた私は(+_+)、


何も、そこまで傷口に塩をすり込むような真似しなくても・・・


とつくづく思っていたが、


今の日本を如実に表しているようで、読後感が重かった。ガーン


悪いのはもちろん加害者だが、


その子供には罪はないだろう。


打ちひしがれている被害者に向かって、


「そちらの方にも原因があるのでは?」という権利は


誰にも無いはずだ。



ただ、証拠品に関しては「普通はもっと早く気が付くでしょ」と


思わずつっこみを入れたくなった。(^_^;)