11月16日(木曜日)
私が今までに読んだ林真理子の小説について言えば、
主人公の女性はみんな
お洒落でグルメ、キャリアを活かした仕事をしていて、
たま~にダメ男に惑わされたりするが、
美人で、凛とした感じの女性というイメージだ。
そして、
昨日読み終えた、この本の主人公もそういうタイプ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
輸入家具店で店長として働く、42歳の日下裕子は、
私立進学校の教師である夫と、10歳の娘を持つ主婦でもある。
夫に先立たれて長男夫婦と2世帯住宅に住む72歳の母親に、
呆けの症状が出始めたところから、ストーリーは始まる。
実母の認知症という不安な状況と、
それに拍車をかけるような夫の浮気。
それぞれの進行状況に絡まりながら、二人の男性も出現する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
正直、ただの不倫小説かと思っていたし、
自分とは全然立場も違うから、感情移入もしないだろうと思っていた。
でも、読み進めていくうちにある文章が強く心に響いてきて
見事に感情移入してしまった。
それは、母親の介護にあまり理解を示さない夫の、
浮気が確信された時の一節だ。
__時間をかけてやっとわかった。相手の親などどうでもいい。
自分の親だけが好きで大切なのだ。自分の親のためならどんなことでもしたいと思うのに、
夫の存在が邪魔している。家庭というものをつくり上げたために、自分を産んでくれた
愛する人を犠牲にしなければならない。
人生というものは、なんと悲しい矛盾に充ちているのだろうか。__
いつまでも娘だと思っていた自分が、親の面倒を見なくてはならない時、
果たして夫は協力し、思いやりある態度でいてくれるだろうか?
今は二人とも健康だが、郷里にいる両親の顔が浮かんできた・・・・
自分はこのまま齢をとり、おばあさんになって死ぬのだろうか?
もう、昔のような恋は、自分には出来もしない奇跡なのだろうか?
そんな、主人公の裕子の気持ちも痛いほど理解できた。
さて、裕子はその後例によって、
パーティーで出会った、ちょい悪オヤジ風の男と関係を持ったりもするが、
最終的に恋に落ちるのは別の男だ。
親の介護を抱えた主婦がなぜ?、という反発もあったが、
彼に強く惹かれた時のシチュエーションにも納得した。
こんな時にこういうことを言われたら、誰でもそうだろう!
と思わせてくれる。
帯のコピーに【林真理子が日本中の全女性に問いかける、
魂を揺さぶる、真の恋愛小説】とあるが、
少なくとも、40歳~50歳代の女性なら、皆が共感すると思う。
但し、難を言えば
ちょうど今1時からテレビで放映している「いい女」と
内容がカブルことかなぁ・・・・・