11月16日(木曜日)


私が今までに読んだ林真理子の小説について言えば

主人公の女性はみんな

お洒落でグルメ、キャリアを活かした仕事をしていて、

たま~にダメ男に惑わされたりするが、

美人で、凛とした感じの女性というイメージだ。

そして、

昨日読み終えた、この本の主人公もそういうタイプ。



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輸入家具店で店長として働く、42歳の日下裕子は、

私立進学校の教師である夫と、10歳の娘を持つ主婦でもある。

夫に先立たれて長男夫婦と2世帯住宅に住む72歳の母親に、

呆けの症状が出始めたところから、ストーリーは始まる。

実母の認知症という不安な状況と、

それに拍車をかけるような夫の浮気。

それぞれの進行状況に絡まりながら、二人の男性も出現する。


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正直、ただの不倫小説かと思っていたし、

自分とは全然立場も違うから、感情移入もしないだろうと思っていた。

でも、読み進めていくうちにある文章が強く心に響いてきて

見事に感情移入してしまった。

それは、母親の介護にあまり理解を示さない夫の、

浮気が確信された時の一節だ。


__時間をかけてやっとわかった。相手の親などどうでもいい。

自分の親だけが好きで大切なのだ。自分の親のためならどんなことでもしたいと思うのに、

夫の存在が邪魔している。家庭というものをつくり上げたために、自分を産んでくれた

愛する人を犠牲にしなければならない。

人生というものは、なんと悲しい矛盾に充ちているのだろうか。__


いつまでも娘だと思っていた自分が、親の面倒を見なくてはならない時、

果たして夫は協力し、思いやりある態度でいてくれるだろうか?

今は二人とも健康だが、郷里にいる両親の顔が浮かんできた・・・・


自分はこのまま齢をとり、おばあさんになって死ぬのだろうか?

もう、昔のような恋は、自分には出来もしない奇跡なのだろうか?

そんな、主人公の裕子の気持ちも痛いほど理解できた。


さて、裕子はその後例によって、

パーティーで出会った、ちょい悪オヤジ風の男と関係を持ったりもするが、

最終的に恋に落ちるのは別の男だ。

親の介護を抱えた主婦がなぜ?、という反発もあったが、

彼に強く惹かれた時のシチュエーションにも納得した。

こんな時にこういうことを言われたら、誰でもそうだろう!

と思わせてくれる。


帯のコピーに【林真理子が日本中の全女性に問いかける、

魂を揺さぶる、真の恋愛小説】とあるが、

少なくとも、40歳~50歳代の女性なら、皆が共感すると思う。


但し、難を言えば

ちょうど今1時からテレビで放映している「いい女」と

内容がカブルことかなぁ・・・・・