先月、八月納涼歌舞伎第一部の幕間、おちくぼ物語の感想をせっせとつぶやいている最中に、ここ数年会っていないお友達のんちゃん(仮名)から電話がかかってきた。
「ちゃたらーさん、まだ歌舞伎観に行ってる?」
「今まさに歌舞伎座にいるよ」
「わたし、来月の歌舞伎を見に行きたいんだけど、ひとりじゃ嫌だから一緒に行ってー」
「うん、いいよ」
ちょうど手元にチラシがあるし、このタイミングで電話に出たのも何かの縁だ。
どっちを見たいのと聞いたら、
「吉右衛門さんが見たいんだけど、夜の部には玉三郎もでるでしょー」
ということで、夜の部『通し狂言 伽羅先代萩』をのんちゃんと一緒に見ることにした。
ちなみにのんちゃんはプチセレブ
なので、歌舞伎は一等席しか考えていない。
ずっと以前に、のんちゃん初めての歌舞伎(たぶん今回それ以来)に同行した時「どうせ見るなら一等席が良い」と、そう言っていた。
仁左衛門様でも中村兄弟でも取らない一等席、(お腹いっぱい感の先代萩ではなおさらに)ちょっぴり懐が痛いけれど、こうして思い出してくれたのが嬉しい。
奮発して一等席に並んで座った。
ところが、のんちゃん、寝るのである。
「竹の間」でこんなに寝ているんじゃ、次の「御殿」のまま炊きでは爆睡だ。
と、案じられたけれど、幕間で、
「次の幕では、玉三郎の『政岡のまま炊き』が見所だよ。お茶の道具で、茶道の作法を見せながらご飯を炊くんだよ」と言っておいたら、ガン見。
かなり長いシーンだけど、身を乗り出して見てた。あー、そういえばのんちゃん、お茶やってるっていってたね。
かと思えば、千松を殺された政岡が花道でガックリ膝をつき、
「ちゃたらーさん、まだ歌舞伎観に行ってる?」
「今まさに歌舞伎座にいるよ」
「わたし、来月の歌舞伎を見に行きたいんだけど、ひとりじゃ嫌だから一緒に行ってー」
「うん、いいよ」
ちょうど手元にチラシがあるし、このタイミングで電話に出たのも何かの縁だ。
どっちを見たいのと聞いたら、
「吉右衛門さんが見たいんだけど、夜の部には玉三郎もでるでしょー」
ということで、夜の部『通し狂言 伽羅先代萩』をのんちゃんと一緒に見ることにした。
ちなみにのんちゃんはプチセレブ

ずっと以前に、のんちゃん初めての歌舞伎(たぶん今回それ以来)に同行した時「どうせ見るなら一等席が良い」と、そう言っていた。
仁左衛門様でも中村兄弟でも取らない一等席、(お腹いっぱい感の先代萩ではなおさらに)ちょっぴり懐が痛いけれど、こうして思い出してくれたのが嬉しい。
奮発して一等席に並んで座った。
ところが、のんちゃん、寝るのである。
序幕の「花水橋」では、起きていて「アレ何やってるの?」とか、無邪気に聞いてきたが、
(2階の最前列で空席も多かったから、周りに人がいるという感覚がなく、この後ものんちゃんは無邪気に色々聞いてくる)
(2階の最前列で空席も多かったから、周りに人がいるという感覚がなく、この後ものんちゃんは無邪気に色々聞いてくる)
「竹の間」にいたっては、見たがっていた玉三郎が登場してもガックンガックン首を振って寝る。たまに起きるのは子役が高い声を出したときだけ。
もっ、もったいない
などと思うのは、私が小市民だから。
のんちゃんほどになると(って、どんなほどよ)、一等席でも、玉三郎が政岡をやっていても、眠たいときは寝るのだ。
もっ、もったいない

などと思うのは、私が小市民だから。
のんちゃんほどになると(って、どんなほどよ)、一等席でも、玉三郎が政岡をやっていても、眠たいときは寝るのだ。
「竹の間」でこんなに寝ているんじゃ、次の「御殿」のまま炊きでは爆睡だ。
と、案じられたけれど、幕間で、
「次の幕では、玉三郎の『政岡のまま炊き』が見所だよ。お茶の道具で、茶道の作法を見せながらご飯を炊くんだよ」と言っておいたら、ガン見。
かなり長いシーンだけど、身を乗り出して見てた。あー、そういえばのんちゃん、お茶やってるっていってたね。
かと思えば、千松を殺された政岡が花道でガックリ膝をつき、
「あとにはひとり政岡が~」の浄瑠璃ではじまる玉三郎最大の見せ場では下を向いている。
まさかここで寝るのか??と見たら、
筋書き読んでるーー!!


玉三郎の鬼気迫る芝居に周りじゃみんな鼻水すすってるのに、のんちゃん、筋書き読んでるよ。
ああ、あらすじ読むならまだしも、『芸術祭十月大歌舞伎』の演目チェックなぞしてやがる。
玉三郎を見ろ!(笑)
幕間で「何で筋書き見てるのよ」と突っ込んだら、「だって、泣いてるんでしょ」と笑っていた。
そして自分で「見たい」と言っていた吉右衛門さんが出てきても、なんだか興味なさげで、ガッカリしている。そのこころは、
「悪者なんでしょ」
のんちゃんは、鬼平のような吉右衛門さんを見たかったらしい。
最後の「対決・刃傷」の場では、仁木弾正に腹を刺されて瀕死の外記に、細川勝元が薬湯をあげるよという場面で、
最後に、腰元の芝のぶちゃんがとってもかわいらしかった
。
一番上手に座ります。見てね。女の子にしか見えないから。
そんなこんなで久しぶりの一等席を堪能した私に、数年ぶりにアメリカから帰国する友人が、結婚相手(アメリカ人)が歌舞伎を観たいというので「心もとないから同席して」とのお願いがきた。
心もとないとまで言われたらそりゃ付き合うけど、
「11日の夜がいい」って、まさかの先代萩一等席れんちゃん?!!
つづく
まさかここで寝るのか??と見たら、
筋書き読んでるーー!!



玉三郎の鬼気迫る芝居に周りじゃみんな鼻水すすってるのに、のんちゃん、筋書き読んでるよ。
ああ、あらすじ読むならまだしも、『芸術祭十月大歌舞伎』の演目チェックなぞしてやがる。
玉三郎を見ろ!(笑)
幕間で「何で筋書き見てるのよ」と突っ込んだら、「だって、泣いてるんでしょ」と笑っていた。
そして自分で「見たい」と言っていた吉右衛門さんが出てきても、なんだか興味なさげで、ガッカリしている。そのこころは、
「悪者なんでしょ」
のんちゃんは、鬼平のような吉右衛門さんを見たかったらしい。
最後の「対決・刃傷」の場では、仁木弾正に腹を刺されて瀕死の外記に、細川勝元が薬湯をあげるよという場面で、
「そんなことやってる場合じゃないんじゃないのぉ」
と、わりと大きな声で言いました。
そんなわけで、久しぶりの一等席でしたが、舞台より隣の席が気になったよ。
とはいえ、感想を少しくらいは書いておく。
玉三郎の政岡は、前に見たときはもっと強そうに見えたけど、なんだか弱々しかった。
八汐にいじめられる場面でもシオシオと下手に控えていて、女性っぽくて、ずっと母親っぽかった。
前からそうだったっけ??
「男勝りの」「烈婦」という政岡じゃないなと思っていたら、千松が殺された場面で、鬼の形相。
ああ、ここで政岡は「又あるまじき烈女の鏡」になったんだなと感じた。
と、わりと大きな声で言いました。
そんなわけで、久しぶりの一等席でしたが、舞台より隣の席が気になったよ。
とはいえ、感想を少しくらいは書いておく。
玉三郎の政岡は、前に見たときはもっと強そうに見えたけど、なんだか弱々しかった。
八汐にいじめられる場面でもシオシオと下手に控えていて、女性っぽくて、ずっと母親っぽかった。
前からそうだったっけ??
「男勝りの」「烈婦」という政岡じゃないなと思っていたら、千松が殺された場面で、鬼の形相。
ああ、ここで政岡は「又あるまじき烈女の鏡」になったんだなと感じた。
聞き所の、「三千世界に子を持った親の心は皆一つ」の「死んで 死んで 死んでくれいと言うような」の「死んで」のところで溜めるから、聞いてるほうはハッとする。そしてグッと来る。
ハッとしてグッ。
私はここで泣けた。のんちゃんは筋書き見てたけど。
菊之助の沖の井は、むっちゃ男前。
今まで、いろんな沖の井を見てきたけど、ヒーロー度NO.1。拍手もたくさん浴びていた。
「曲者がいると騒いだら自分から飛び降りてきて責められもしないうちから誰それに頼まれたとかペラペラしゃべるのはおかしい」
「こんな大事な秘密の書に、お手紙みたいに誰それさま何々と名前を書くのもおかしい」(ざっくり現代語訳)
沖の井の突っ込み、ごもっともです。
八汐、もうちょっと頭使えよー、といつも思う。
歌六さんの八汐は、まあまあ。悪くはないのだけど。仁左衛門様の八汐が本当に良かったから、誰のを見ても物足りない。(海老蔵のは、やり過ぎ)
しかし、渡辺外記左衛門はすごく良かった。歌六さんはやっぱり、いい人が似合う。
小槙の児太郎は、思いのほか良かった。
一時期のあの破壊力抜群時代を知っているから、「上手くなったなー」とつくづく思う。(当社比)
鶴千代の脈が場所によって変わるのや、栄御前が勝手に取替え子と思い込むあたりの不自然さを「この小槙」がやったんだよという台詞で、見ているほうも納得いったと思う。
この演出、無いときもあるけどあったほうが絶対いいよね。
細川勝元の染五郎はー、うーん、役がまだ体に入ってない感じがした。
つか、台詞も入ってないんじゃないか?プロンプついてなかったか?(初日2日目)
そうじゃなかったら、失礼。ごめんなさい。
しかし、それくらい、台詞が軽く聞こえた。あくまで個人の感想ですが。
「恐れ入ったかー!!」の場面がやたら嬉しそうなのはいいとして、瀕死の外記に「舞ってみよ」という場面も軽いから、
「あなた、重傷の老人に何むちゃぶりするのー?!」
と、のんちゃんじゃなくても思うでしょう。
のんちゃんには「あれは、もう外記は長くないとわかっていたんだね」
外記が幸せな気持ちで天に召されるようにって勝元の思いやりだよと解説しておきましたw
仁木弾正の吉右衛門さんは、さすがの迫力。
今回、一等席で見てよかったと思ったのは、「床下」の弾正の花道の引けをしっかり見られたこと。「雲の上を妖術で歩いている」雰囲気出ていました。
残念なことに「刃傷」の場面、片足立ちのきめポーズが決まらずヨロッと倒れてしまい、後ろのほうから「あれはダメだ」との声が聞こえました。くうっ、厳しい。71歳なのよー
許してあげてー。
ハッとしてグッ。
私はここで泣けた。のんちゃんは筋書き見てたけど。
今まで、いろんな沖の井を見てきたけど、ヒーロー度NO.1。拍手もたくさん浴びていた。
「曲者がいると騒いだら自分から飛び降りてきて責められもしないうちから誰それに頼まれたとかペラペラしゃべるのはおかしい」
「こんな大事な秘密の書に、お手紙みたいに誰それさま何々と名前を書くのもおかしい」(ざっくり現代語訳)
沖の井の突っ込み、ごもっともです。
八汐、もうちょっと頭使えよー、といつも思う。
歌六さんの八汐は、まあまあ。悪くはないのだけど。仁左衛門様の八汐が本当に良かったから、誰のを見ても物足りない。(海老蔵のは、やり過ぎ)
しかし、渡辺外記左衛門はすごく良かった。歌六さんはやっぱり、いい人が似合う。
小槙の児太郎は、思いのほか良かった。
一時期のあの破壊力抜群時代を知っているから、「上手くなったなー」とつくづく思う。(当社比)
鶴千代の脈が場所によって変わるのや、栄御前が勝手に取替え子と思い込むあたりの不自然さを「この小槙」がやったんだよという台詞で、見ているほうも納得いったと思う。
この演出、無いときもあるけどあったほうが絶対いいよね。
細川勝元の染五郎はー、うーん、役がまだ体に入ってない感じがした。
つか、台詞も入ってないんじゃないか?プロンプついてなかったか?(初日2日目)
そうじゃなかったら、失礼。ごめんなさい。
しかし、それくらい、台詞が軽く聞こえた。あくまで個人の感想ですが。
「恐れ入ったかー!!」の場面がやたら嬉しそうなのはいいとして、瀕死の外記に「舞ってみよ」という場面も軽いから、
「あなた、重傷の老人に何むちゃぶりするのー?!」
と、のんちゃんじゃなくても思うでしょう。
のんちゃんには「あれは、もう外記は長くないとわかっていたんだね」
外記が幸せな気持ちで天に召されるようにって勝元の思いやりだよと解説しておきましたw
仁木弾正の吉右衛門さんは、さすがの迫力。
今回、一等席で見てよかったと思ったのは、「床下」の弾正の花道の引けをしっかり見られたこと。「雲の上を妖術で歩いている」雰囲気出ていました。
残念なことに「刃傷」の場面、片足立ちのきめポーズが決まらずヨロッと倒れてしまい、後ろのほうから「あれはダメだ」との声が聞こえました。くうっ、厳しい。71歳なのよー

最後に、腰元の芝のぶちゃんがとってもかわいらしかった

一番上手に座ります。見てね。女の子にしか見えないから。
そんなこんなで久しぶりの一等席を堪能した私に、数年ぶりにアメリカから帰国する友人が、結婚相手(アメリカ人)が歌舞伎を観たいというので「心もとないから同席して」とのお願いがきた。
心もとないとまで言われたらそりゃ付き合うけど、
「11日の夜がいい」って、まさかの先代萩一等席れんちゃん?!!
つづく