昨日、初日を観劇してきました。
縄をテーマに、現代(というか完全に昭和)と縄文時代が交錯し、果てはネイティヴアメリカンの起源までグルっと語った壮大な物語。
壮大すぎて、一回観たくらいじゃ全部はわからない。
で、観ているときよりも観た後にジワジワと来るお芝居。
パンフレット買わずに帰ったことをちょっと後悔しています。

舞台は、正面に迫力ある大きな岩と、それをぐるりと半周する八百屋上のスロープ、手前に簡単なやぐら。舞台転換は無し。
縄を使っていろいろな表現をしているのが面白い。
のだけれど、いかんせん初日だからか、そっち(縄の組み立て)に一生懸命なのが見て取れてしまったのが残念。
この先慣れていくと、もっと感動的でしょう。
カムカムで前回見たのが 「えびすしげなり」で、そのときは布の使い方がとても綺麗だという印象を受けましたが、今回は布じゃなくってなのね。
と思っていたら、アフタートークでまさに八嶋さんがそういう話をしていました。
「せっかく布たくさんもらってきて褒められるかと思ったら、もうそれ要らないって言われた」って。笑。
縄文だし、副題が「縄のごとし」だし、縄じゃないとだめなんでしょう。

縄をあざない、人が、世界が、つながっていく物語り。
幸も不幸も裏表。罪も純も表裏。
戦わないことを選んだ人たちには、憲法九条問題への提言(警告)も感じられました。
が、そんなに難しく考えると切りがなさそうなので、縄の変化や役者の動きを楽しむだけでもいいんじゃないでしょうか。
客演の若者二人がイケメンで素敵です。でも私の一押しは八嶋さんです。
八嶋さんの燻し銀の刑事役(飢餓海峡なら高倉健さま?!)を見よ!

あと個人的に、去年遠野旅行をしたとき聞いた「オシラサマ」の話が出てきたのが嬉しかったです。
「どっとはれ」まで言ってくれて。
劇中、イタコの婆たちが口寄せで使っている人形もオシラサマの人形ですよね。

最後に、アフタートークで、八嶋さんが参考文献(?)として「飢餓海峡」と「一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史 」を挙げていたのでご紹介しておきます。(正確には、品川庄司さんに参考までにと伝えていた)

座・高円寺1で11/16(日)迄やっています。


陸奥の一隅、鄙びた商店を襲った強盗放火事件…
犯人の青年は、同じ日に津軽海峡で起こった青函連絡船の転覆で溺死した男に罪をかぶせ逃亡。
溺死した男の婚約者は彼の死を悟り、恐山のイタコを通じて事の真相を知ろうとする。
だがその老イタコに降りてきたモノは、一万年も前の“縄もつ英雄”の霊魂だった。
一方…一万年の昔。日本の地よりさらに東方へ移動せざるをえなかったある縄文の一族。一本の縄を頼りにベーリング海峡へ。
彼らには争うことを避け続ける臆病者の知恵があり、やがて合衆国の民主主義を生み、日本の平和憲法に繋がっていく。
環太平洋を巡る一万年の泥臭き物語。

「有頂天家族」など松村演出にはお馴染みの武田航平はじめ、夕輝壽太ら多数の豪華ゲストを招いて描く
カムカムミニキーナ渾身の一作!



作・演出:松村 武

出演:
武田航平、夕輝壽太
八嶋智人、藤田記子、松村 武、未来、田原靖子、米田弥央
吉田晋一、田端玲実、佐藤恭子、長谷部洋子、中島栄治郎
亀岡孝洋、藍山 彩、元尾裕介、正木航平、中野大地
おくだ 努(Studio life)、渡部紘士、小金井 篤