紀伊國屋ホール
出演 筧利夫, 長野里美, 小須田康人 他
脚本 鴻上尚史
演出 鴻上尚史
サイト http://www.daisanbutai.com/top.html
説明 10年、どうすごしていましたか?
人生はハードでしたか?
なんとか生きていましたか?
この10年間は、あなたにとって、どんな10年でしたか?
僕はなんとか生きてきました。
そして、10年前の思いを実現しようと、封印を解除しました。
年を重ねて来た自分達の人生を描きたいという思いと、
今を生きてるという現実を描きたいという気持ちと、
10年ぶりにメンバーと芝居を創りたいという熱意とともに、
公演をやろうと決めました。
そして、もうひとつ大切なお知らせ。
どんな芝居をやろうかメンバーと相談している中で、この公演をひとつの区切りにしようという思いが固まりました。
今回の芝居は、封印解除であり、同時に解散公演になります。
ずっと第三舞台を見てくれているあなたへ。
そして、初めて第三舞台を見るというあなたへ。
30年前の旗揚げの時から、僕は第三舞台についてこう言っています。
『第三舞台は変わらない。そして、変わり続ける。』
最後の第三舞台になります。よろしければ劇場でお会いしましょう。
鴻上尚史
やっぱりメジャーになった劇団は違うなと思った。
芝居自体は、最近観ている小劇場と、そんなに大きく違ったことはしていない。いや、最近観ている方が第三舞台(や他の先達)の真似なのかもしれないけれど。
しかし、紀伊國屋ホールは満員御礼、カーテンコールは鳴りやまない。
三回のカーテンコールの後、大高洋夫が出て来て「明日もあるから、もう帰ってください」というのに、まだ呼び出す。みんなが「第三舞台のサヨナラ」というイベントを楽しんでいた。
私が初めて第三舞台を見たのは、およそ四半世紀前の「朝日のような夕日をつれて」で、まさにここ紀伊國屋ホールだった。ホールは、あの時とちっとも変っていないのに、舞台の上の人たちは、私と同じだけ、ちゃんと年を取っている。
実は、あれっきり観ていなかった。
ちゃんと追いかけて観ていれば、このイベントをもっと楽しめたのにな。
残念。
筧利夫と大高洋夫のダンスや、長野里見の着ぐるみなどは、昔を知っているからこその大受け。
お芝居ももちろんそれなりには面白いんだけれど、8400円(+プレミア)というチケット代を考えると・・・・・・うむ。
でも「第三舞台」だもんね。
さよなら公演だもんね。
シミジミ思ったのは、キャリアある劇団のサヨナラ公演てのは、その歴史を伴走した人とそうでない人とでは、とてつもなく温度差があるってこと。
私は偶然にも20代に一回だけ接点があったからまだ良かったかな。
今回、「話題になっているから」と、初めて第三舞台を見る若い人は、「なんでこれが?」って思ったりするかも。
ああ、それも悲しいなあ。
往年の第三舞台の激しい動きもキレのあるダンスもスピード感あふれる台詞も諷刺もいま一つかもしれないけれど、懐かしさはてんこ盛りですよ。
テーマもわかりやすいよ。
鴻上尚史が大学ノートに書いた直筆メッセージ(のコピー)「ごあいさつ」を事前に読んでみると、とてもよくわかるよ。
ネタバレにならないようにしたいけれど、「虎死んで皮を残す。人は死んでアカウントを残す」って台詞(始まってすぐにさらっと出て来る)には、ドキッとした。