23日に観てきたのは、こちらのお芝居です。
『黄金時代(仮)』
会場 新高円寺アトラクターズ・スタジオ
出演 益田喜晴, 高橋正樹, 岡本明子 他
脚本 (劇)夢現舎
演出 小竹林早雲
こちらは、前日のとは正反対のようなお芝居でした。
役者の演技は完ぺき。ものすごい緊張感と迫力に圧倒されました。
特に3人の被疑者女性の役と、その女性たちに殺される男(1人3役演じ分け)の役者さんがすばらしかったです。女刑事役の女優さんにも、惹きつけられる魅力がありました。
ただ、話が難しいというか見えないというか、感じるものはあるのだけれど、頭がついて行かなかった。
はっきり言うと「何が言いたいのか」というのを、観客の感性に丸投げしている感じ。
とにかく、演技や演出がすごかったので、最終的に「いいものを見た」という思いは残りました。
でも、感動したかというと微妙なところです。わかりにくかったもん。
ところが、芝居が終わってからちょっとした感動がありました。
会場にはいった時に不思議だったのは、いつもは椅子の上にどっさりあるチラシの束やアンケートが無い。
無いのかなと思っていたら、終演後に配られました。
アンケートにはなんと返信用封筒切手付き。切手付き封筒だけでも、すごいなあと感心していましたが、高円寺の駅のホームで劇団のチラシ(パンフ)を開いたら、役者さん全員の肉筆メッセージが書かれていました。
すごい。
ああ、捨てられないなあ……と思いました。
もと営業マンは、こういう心遣いには弱いのです。
この劇団も、商業べースにのってくれるといいなあと思いました。
といいますのが、芝居が始まるまでのひと時、私の隣に座っていた老夫婦のご主人の方が言ったんですよ。
「好きじゃねえと、やれねえよな」
まさに、前日に聞いたのと同じ言葉!
昨日の記憶があったので、この老夫婦が役者のご両親(祖父母かも?)と判断できました。
そしてチラホラ観察すると、やはり役者の身内風の方が何組かいます。
当たり前よね。家族の芝居なら観に来るもんだ。
しかし、芝居が始まって、ちと気になることがありました。
笑う場面じゃないところで、あるご婦人が笑うのです。(さっきの老夫婦とは別)
初めは「どうしてここで笑うのか?」と気になったのですが、どうもそのご婦人にとって、目の前の役者が特別な存在で、おそらく娘か何か身内で、その彼女が叫んだり動いたりするのが、可笑しいらしいのです。
うーん。
あんまり笑う芝居ではありません。テーマは猟奇殺人だし。
息詰るような、濃密な緊張感を味わうべきシーンでの笑いは、芝居を壊していた気がします。
家族が観に来るってのは、こういうリスクもあるんだなと感じました。
それでも、今日も、全国の小劇場で、お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃんが、
「好きじゃないとできないねえ」
と言いながら、大切な家族の芝居を観に来てくれているんだろうなとシミジミ思う次第です。