昼の部
一、恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)
中間市九郎後に僧了海 松 緑
中川実之助 染五郎
お弓 菊之助
中川三郎兵衛 團 蔵
石工頭岩五郎 歌 六
六世中村歌右衛門十年祭追善狂言
二、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
御 殿
床 下
乳人政岡 魁 春
八汐 梅 玉
沖の井 福 助
澄の江 松 江
一子千松 玉太郎
荒獅子男之助 歌 昇
松島 東 蔵
仁木弾正 幸四郎
栄御前 芝 翫
三、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
御所五郎蔵
御所五郎蔵 菊五郎
傾城皐月 福 助
傾城逢州 菊之助
新貝荒蔵 亀三郎
秩父重介 亀 寿
二宮太郎次 尾上右 近
番頭新造千代菊 歌 江
梶原平蔵 権十郎
甲屋女房お京 芝 雀
星影土右衛門 吉右衛門
まだ地震の余震がやや気になる中、千秋楽近くになって行ってきました。六世歌右衛門大好きくまにゃちゃんがチケットを取ってくれました。
ありがとうね。
はじめに『先代萩』の話になりますが、私は、魁春さんがかなり好きです。
女形では玉三郎の次に好きと言っても過言ではありません。ですので、今回、魁春の政岡というのにかなり期待を抱いていました。
しかし、残念ながら、いつもの魁春さんの良さが伝わってこなかったというか・・・なんというか。
「ニンじゃない」という言葉を歌舞伎では使いますが、それを見せつけられた気がします。
今まで、「どうして魁春さんが歌右衛門を襲名しないの?」と思っていた(たぶんこのブログでも言っていた)私ですが、その理由が少しわかったかな。ああ、ごめんなさい。でも好きです、魁春さん。
八汐の梅玉さんは魁春さんのお兄さんですが、政岡イジメがとても楽しそうでした。
この役はきっと楽しいんでしょうね(子どもを殺すヒドイ役だけれど)、以前観た仁左衛門さんも楽しそうでしたもん。
栄御前の芝翫さんが、去り際に死んだ千松を見てニターッと笑ったのはビビりました。いままであの場面では政岡ばっかり見てて、あまり栄御前に注目していなかったのですが、みんなあそこでは笑っているのでしょうか。次からは注目です。
仁木弾正の幸四郎さんは、最後にちょっとしか出ないのですが、舞台の空気を変える迫力がありました。
セリフは無いのですが、いや、むしろそれが良か・・・ゲフォゲフォ・・・げふん。
客席が息を飲む、幽玄な登場と堂々たる退場でした。はい。
特筆すべき(なのか?)は、福助の沖の井がよかったです。自分が主役じゃない時の方が、余計な芝居がなくっていい。
ああ、どうしよう。気がつけば相当辛口。
でも、自分の心に正直に書いただけ~←余計失礼
『恩讐の彼方に』
暗い話でね~じっさい舞台が暗いんです。老眼になりかけた私にはツライ。と言うことは、本当に老眼になってしまっているご高齢の方にもつらいであろうと案じていたら、そのせいかどうか、客席の入りは先代萩の半分くらい。正確に言うなら、この舞台が終わってから来た人が大勢いるということですね。まあね、地震のこともあるからね。松緑と染五郎の抱き合って泣き叫ぶ姿ばかりが、余韻になりました。
あ、でもね、前半で出て来た菊之助が良かったです。悪女似合いますねー
このあとの傾城逢州もそれなりによかったし、御曹司の中では一番がんばってる気がします。
さすが、べっちゃの子じゃ!
『御所五郎蔵』
菊五郎さんと吉右衛門さんの掛け合い。私の好きな七五調。
先代萩でちょっとモニョっていたので、最後に歌舞伎らしい歌舞伎を見せてもらって、ああやっぱり観に来てよかったなあという気持ちで帰路につくことができました。ありがとうございます。
最後に、新橋演舞場から「三月大歌舞伎」中止公演分チケットの取扱いに関するご案内というのがありましたので、紹介しておきます。
http://www.kabuki-bito.jp/news/2011/03/post_179.html
「中止公演分」とは書いていますが、それ以外の日のものでもこの地震で交通手段が無くなったとか、身内が地震にまきこまれてそれどころでなくなった方とか、手元にチケットのある人はご相談されてもいいと思います。
ご本人が購入されたものでしたら、返金してくれます。
実際、私のある知り合いは、返金してもらった分15000円をそのまま義援金にしていました。
えらいな。