- 嗤うエース/本城 雅人
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極貧からのし上がった孤高のエース―。人気球団スターズの浪岡龍一は、世間からの称賛を一身に浴びていた。図抜けた才能、明晰な頭脳、打者に向かっていく闘争心。非の打ちどころがない大投手のはずだった。だが、週刊誌が暴力団との交際を報じたことでその評価が揺らぎはじめる。次々と明るみに出るスキャンダル。特ダネ合戦に沸く各メディア。それでも平然とマウンドに立ち続ける浪岡。彼は本当に八百長に手を染めているのか?何のために?どのような手口で?尽きぬ疑問を解消すべく、少年時代の浪岡を知るベテラン刑事と、高校時代のチームメイトである週刊誌記者が、真相究明に乗り出すが…。元新聞記者が書き下ろす、迫真のエンターテインメント。
八百長というと相撲の話題花盛りの今日この頃。これは野球賭博の話です。
時代は私が小中学生の頃の話で、主人公の妹が「エジンバラ出身のロックバンド」に夢中になるあたりに郷愁誘われ、その妹の友達が憧れる男の子が「レスリーマッコーエンに似ている」ってところでは、ほとんどの読者が知らんて!と思わず突っ込みました。
しかし、物語の本筋とは全く関係ありません。(作者が私と年齢近いんだろうなあってのが分かっただけ)
主役は、野球賭博の疑惑をかけられるエース浪岡龍一。その少年時代からの様々な出来事がその本人ではない誰かの目を通して語られます。
主人公の思いが語られることが無いので、本当に八百長をしているのかどうか想像するしかありません。
私はミカン畑の章で浪岡少年にぐっと愛着を持ってしまったので、最後は胸が詰まりました。
野球賭博のシステムがとてもよくわかったのも拾いものでした。
読んでる間、脳内では水島新司の絵でドラマが動いていました。
成人した浪岡の外見は、土井垣将で←それこそ、知らんて!(笑)
- ルパンの消息 (光文社文庫)/横山 秀夫
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十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。
「第三の時効」を読んですっかりファンになった横山秀夫。警察小説を色々読みましたが、どれも外れなし。
もちろんサイコー面白いのからちょっと物足りないのまであるけれど、今まで読んだものに一片の悔いなし(ラオウイズム)
その作者の「小説家としての原点」「処女作であり新聞記者を辞めるきっかけとなった人生転機の一打」(改稿後書より)です。横山ファンなら読むべし!読むべし!読むべし!!
意外にも、警察小説としてというより「青春小説」として面白かったです。
供述の内容から犯人を見い出すというかなり無理ある設定ですが、その供述がすごく青春しています
トリックとか謎解きとか、たぶん途中でわかってしまうところもあると思いますが、それを差し引いても楽しめます。
おすすめ!