一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
翁 梅 玉
附千歳 鷹之資
千歳 魁 春
三番叟 三津五郎
二、源平布引滝
実盛物語(さねもりものがたり)
斎藤実盛 團十郎
葵御前 福 助
小よし 右之助
郎党 種太郎
郎党 巳之助
郎党 種之助
郎党 宗之助
九郎助 市 蔵
瀬尾十郎 段四郎
小万 魁 春
三、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)
浅草鳥越山三浪宅の場
吉原仲之町の場
名古屋山三 三津五郎
不破伴左衛門 橋之助
遣り手お爪 右之助
家主杢郎兵衛 市 蔵
浮世又平 彌十郎
葛城太夫/お国/茶屋女房お梅 福 助
知り合いに突然チケットを譲っていただいて行ってきました。
もともと玉三郎特別公演での出費が大きかったから1月の演舞場は見ない予定だったのですが、やっぱり見てよかった。とっても歌舞伎らしい歌舞伎で、浅草の花形の後だったからよけいにベテランの重厚さを感じました。
演目もよかったです。
まずは新春らしくめでたい三番叟。三津五郎さん、梅玉さん、魁春さん、この三人は歌舞伎品格私ランキングのベスト3。立ってるだけで品がある。神々しい舞台でよかったです。
先日お父様(富十郎さん)を亡くした鷹之資くんが健気に踊っている様子には鼻をすする音も聞こえてきました。
実盛物語。これは、例によって歌舞伎らしい話(濃い人間関係)なのですが、平家物語で斎藤実盛が手塚光盛に討たれた話と良くからめているなと思いました。白髪を墨で染める話とか、ああそうだったそうだったと思いだしましたよ。團十郎の実盛に人柄の良さがにじみ出ていました。
最後に出て来た馬が大迫力。今回最前列をいただいてしまったのだけれど、普段なら見ないところに目が行くものだね。実盛物語では、もう最後は馬しか見えない(笑)
そうそう太郎吉役の男の子がむちゃ上手かったんだけれど、どこの子だろう。
御曹司じゃなくって劇団の子かな。あまりに上手かったから。
浮世柄比翼稲妻。これはお正月テレビの生中継で解説していましたよね。
チラシのあらすじに、
「お国自身も誤って飲んでいた毒によって虫の息。暗闇の中、そうとは知らぬ山三が奪われた刀の詮議のため吉原へ向かうのをお国は見送って息絶えるのでした。」
と書いていますが、これはお国から見ればそうなんだけれど、山三からすれば「ちゃんと分かっているんだよ」というのを、書いておいてほしいですね。
知っているからこそ、水杯があり夫婦の約束があり、山三は花道で手を合わせるんでしょ?
そのへんチラシのままに受取ったお客が、山三が水をくれ、笠を取ってくれというたびにクスクス笑ったり、「いや、無理だよ」とかつぶやくのが聴こえて来て、ちょっと残念でした。
それというのも、福助お国の苦しむ様子がちょっとコントっぽかったからではないかと。
最後の「吉原仲之町の場」は、お正月にふさわしい華やかな幕引きでよかったです。三津五郎さんと橋之助さんの科白の掛け合いも笠を取ってからのキメポーズ集も見ごたえありました。橋之助最近グッと良くなったなあと思う私です。
三津五郎さん、笠の中で小さく咳き込んだり、科白の合間に密かに鼻をすする音が聞こえて来て「風邪かな?」と思ったら、やっぱり「発熱」していたとか。
それであの舞台をこなすなんてさすがです。一日も早く全快してください