さて、食事を終えてこの日の夜は、唯一のオプショナルツアー
「エルミタージュ劇場でのバレエ観賞」
演目は「くるみ割り人形」
食事中(例の事件の前)、可愛い奥様も「バレエを見るのは初めてなの。わかるかしら」と、楽しみにしていらした。
ツアー参加者の大半が申し込んでいたため、同行予定の無かった添乗員も一緒にバスに乗り「僕も実は見るの初めてなんですよ」と明るい笑顔を見せていた。
美しい劇場のたたずまいに、期待が高まる。
ここで、私が事前に調べていたエルミタージュ劇場関係のサイトをご紹介しよう。
http://www.hermitageballet.com/
英語表記でよくわからないが、チケット代が115ドルというのはわかった。
ちなみにオプション料金は17800円。
ボリやがるクラブツーリズム・・・とは思ったが、ロシアでは個人でチケットが取りにくいという事前情報もあったので、申し込んでいた。
「せっかくロシアに行くんだからバレエかオペラは見ておきたいよね」とくまにゃとも話していた。
ついでにエルミタージュ劇場の口コミも調べておいた。
エルミタージュ博物館の隣、というよりも殆ど併設されている、内装がとても美しい劇場です。
主役については、マリインスキー劇場、ミハイロフスキー劇場からゲストを迎えることが多いので、それに当たればバレエファンでも充分楽しめると思います。(Aさん)
エルミタージュと他の劇場との比較はできませんが、エルミタージュは小ぢんまりとした劇場で、見やすい舞台でした。バレーは小品集でしたが、なかなか素晴らしいものでした。(Bさん)
オケピがないので、音がダイレクトに耳に届くためか、若干騒がしく感じられるところもありましたが、少人数とはいえ生オケの演奏なのは、ある意味贅沢かもしれません。(Cさん)
下線は私が引いたもの。そのあたりのコメントを重視。
どの口コミも「とにかく建物が素晴らしい」「出演者は超一流とは言えないが、雰囲気を楽しむには十分」というようなことが書いてあった。
そして観客が続々席に着く。エルミタージュ劇場は全席自由。はりきって前を陣取っているのは日本人と中国人の観光客だ。実際は、中段くらいの方が断然見やすい。
そして幕が開いて驚いたというかムッとした。
上演中の撮影は禁止と言われていたにもかかわらず、いたるところからフラッシュ
が!
バシャバシャ光っているのに、劇場の人は何も言わない。
これが歌舞伎座なら、係員が飛んできてつまみだすのに~っ
特にひどい前方の中国人団体が気になって気になって、バレエに集中できない。
ああ、雰囲気がいいはずの劇場で、何故こんなことに。
あまりにみんなが写真を撮るので撮影可と思ったのか、私の前の西洋人もデジカメをとりだして構え始めた。
暗い劇場でデジカメの液晶画面ばかりが輝いて見える。
いいかげんにしてー
前の男性の背中を叩いて「Camera No!Please」と大変わかりやすい?注意をするも聞いてもらえない。
(発音のせいとは思いたくない)
ロシアまで来て、こんな気持ちでバレエを見るなんて
しかし私の思いをよそに、舞台の上でも大変なことが起きていた。
つづく・・・
嘘です。もう引っ張らないって。ごめん。
舞台の上ではクララ役の女の子が可愛らしく踊っていた。そこまではよかった。
その友達や兄弟が出てきたあたりから、なんだか怪しくなっていたのだ。
ダンサーの足が上がって無い。
てか、全然揃ってない。
ポーズが全く決まってない。
てか、ポーズとろうという気も無い?
あたふたと舞台を駆け回る小さな子どもたち。
そう、気づいたのだが、舞台の上にいるのはみんな子ども??
早く気づけよという感じだが、エルミタージュ劇場、小さい劇場。
舞台の広さとのバランスで、クララも兄もそんなに小さく見えなかったのだ。
でも、ネズミ役の子どもたちは明らかに小さい。一番後ろの子なんか、踊っているというよりお兄ちゃん達についていくのがやっと。
なんじゃこりゃ?
フラッシュに気を取られてよく見ていなかったが、ダンサーたちは(大人役も含め)どう見ても上手くない。
ハッキリ言うと、下手。
ロシアにも下手なバレエダンサーがいるのかとはじめ純粋に驚き、そして気づいた。
あ、プロじゃないんだ
けいこちゃんのタップダンスの発表会、その前後のプログラムで見せられた素人さんのバレエを思い出す。
一幕終わって、くまにゃと茫然。
「これさー、何かの発表会だよね」
「プロのバレリーナじゃなかったよね」
「音楽も生オケじゃなかったしね」
「あっ、言われてみればそうだ。オケがない」
音楽は、テープっぽかった。今時は、テープじゃないのかもしれないが、安っぽさでテープ臭がぷんぷん。
よく見りゃ、本来小さいオーケストラが入るべき場所にも椅子が置かれて、中国人観光客が座っているよ。(上の写真大きくして見て。白い手すりの向こうにもいるから・笑)
そして、二幕の舞台では大事件。
葦の精を踊る真ん中の女の子のトゥシューズが脱げた
隣の女の子と、どうする?どうする?みたいに話しているのが分かる。
結局、舞台上で無理やりはき直すも、すぐにまた脱げて、その女の子はピョコタンピョコタン、トゥシューズを足首に絡ませながら跳ねていた。それに合わせて、両隣もメタメタ(笑)
3人いるんだから、ひとりくらい抜けても場は持つのに。いや、しかし彼女(裸足の)にとっては大切な舞台。穴をあけるわけには行かなかったのか。
なんかもう、笑うしかない。
舞台が終わって、カーテンコールでは、小さな花束を持った子どもやお母さんらしき人たちが客席から舞台に上がって、思い思い好き勝手に、親しい子どもに渡していた。
これを見るにつけても、間違いなくどっかのバレエ教室の発表会。
ここで思い出して欲しい、このオプション料金は17800円だったのだ
おそらく、知人友人にはタダ同然に配られたであろうチケット。
私たちも1000円くらいなら笑って許しただろう。しかし、17800円というのは高すぎる。てか、ありえない。
本当に、旅行会社はそんな料金を(たとえ半分でも)払っているのか?
案の定、終わってからのツアー客のブーイングはすごかった。
特にカイセイママズ、
「なんで、こんな発表会ごときに17800円も払わないといけないの」
「私、ロシアでバレエ観てくるって友達に言ってきたのにー」
「明らかに太いバレリーナもいたよね」
「あれなら、私の方が上手いと思う」
クロークでも、バスの中でも大騒ぎ。
添乗員ワタナベも、いつもなら笑顔で明るく「みなさん、どうでしたかー」と感想を求めてくるのに、事務的に翌日の連絡をした後は、ひたすら静かに前を見つめていた。(そしてその後ツアー中にこの話題を出すことはなかった)
彼も初めてだと言っていたから、責められない。しかし、クラブツーリズム、悪いと思ったら金返せ
そんなこんなで、これからロシアに行く人に言いたい。
エルミタージュ劇場のオプショナルツアーはお勧めしません。
観光客はマナー悪いし、演者も当たり外れがあるのかもしれないけど、外れたら散々です。
建物が素晴らしいと聞いていましたが、昼間にエルミタージュ美術館本体を見てしまったあとでは、大したインパクトもありません。ロシア旅行、最大ガッカリ。それがエルミタージュ劇場のバレエ観賞でした。
ちなみに、期待していたのはこういうのね。
http://www.hermitageballet.com/site/807174/page/902433
☆上記で、ブログのコメントを勝手に引用させていただいた3人の方には、すみません
と、ここで謝ってもね(笑)
私のこのブログも誰かのロシア旅行のお役に立てたらいいと切に思います。はい。
オプショナルツアーには、気をつけろ!