昨日、くまにゃと一緒に観てきました。今回、とっても驚いたことがあったのです。

実は私が先にチケットを自分の分だけ取って「6日に昼夜通しで見ることにした」とくまにゃにメールしたところ「じゃあ私もその日に見られるようなら見るよ」との返事。

そういうことはよくやっています。日にちだけ合わせて席バラバラ、幕間や終わった後に待ち合わせるわけです。

それが、今回くまにゃが私とは違うタイミングで、しかも一枚は人から譲ってもらって、チケットを取ったところ、昼も夜も私の隣の席だったのです。ドビックリ。夜は通路を挟んでいたけれど、でも隣同士。

昼だけでも不思議な偶然なのに、昼夜ともって、すごくない?

まあ、それだけ演舞場の3階席は少ないってことなんだけれど(笑)

でも、私は今回3階にしたとは一言も言ってなかったわけで、今まで一等も(桟敷も)観ているわけで、それでも同じランクの席を取るあたり、お財布事情も同じなのね(´ω`)


と、くまにゃとの強い絆を感じつつ、福助祭りキラキラ行ってきました。



ちゃたらーのお昼休み


昼の部

一、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)
            縮屋新助  三津五郎
           芸者美代吉  福 助
            船頭三次  歌 昇
         松本女房おつた  歌 江
            幇間寿鶴  寿 猿
          魚惣女房お竹  右之助
           藤岡慶十郎  歌 六
              魚惣  段四郎


二、六歌仙容彩
  文屋(ぶんや)
            文屋康秀  富十郎


三、祇園祭礼信仰記
  金閣寺(きんかくじ)
      此下東吉実は真柴久吉  吉右衛門
            松永大膳  團十郎
              雪姫  福 助
           松永鬼藤太  権十郎
            山下主水  桂 三
            内海三郎  吉之助
            戸田隼人  種太郎
            春川左近  由次郎
   十河軍平実は佐藤虎之助正清  歌 六
            慶寿院尼  東 蔵
          狩野之介直信  芝 翫



名月八幡祭

籠釣瓶の芸者版みたいな話ですが、福助の美代吉姉さんが適役ラブラブなんか憎めないキャラ。魚惣の旦那にも「悪い人間じゃないんだが道楽もので」とかいわれてます。あまり深く考えずその時の自分の気持ちのままに動いちゃうんですね。見栄っ張りで、姉ご肌で、わがままで可愛い姉さんでした。お母さんに叱られるとプーッむぅとふくれたり逆切れむっしたりするんです。ヒドイことも言うけれど、その場の勢いという感じで。それで恨まれて殺されちゃうのはちょっとかわいそうでした。まあでも、結果的に酷いことしているんだけどね汗

三津五郎さんの新助は、最初はいかにも純朴で可愛くて、ちょっとしたしぐさで客席が笑ったりしていたのですが、最後、気がふれてからがすごい迫力でした。

祭の酒で酔った美代吉が千鳥足で歩いて、フラッとよろけた拍子によしずを倒すんですよ、するとその陰に立っているのです新助が!

その登場シーンでゾクッとし、それから刃傷になるのですが、それがまた油地獄を思わせるドラマチックな演出で。本水で舞台に雨が降ってくるのです。雨の中で気の狂った男に追われて切られる女。

美代吉姉さんの着物が白いから、肌が透けて見えてエロチックなの。まあ、中は福助なんだけど(こらこら・笑)

で、切られて倒れるシーンではお約束の海老反りあり。最後は障子にパッと血が散って、それまで暗かった舞台に鮮やかな色をさしてくれます。

そして、美代吉を殺した新助は祭りの若い衆に取り押さえられて、仰向けにされたのを御輿みたいにかつがれて花道から去っていくのですが、七三のところで笑うんですよ大きな声で。それが顔を見ると泣き笑いになっていて、三津五郎さん本当に涙が出ていました。(汗だったらゴメン)

狂っていても最後に正気に戻ったのかなあ。迫力あるのですが、切ないお顔でした。

いやあ、面白かったアップアップアップ

歌舞伎を始めて見る人にも、わかりやすくて面白い話だと思います。



文屋


この舞台では事件がありました。3階席でね。

先の「名月八幡祭」、実は、大向こうさんがいなくって、舞台は面白かったのですが少しさみしかったのです。

1階の後ろの方から控え目に小さな声が掛かるだけで、イマイチ盛り上がらない。くまにゃちゃんとも「大向こうさん、今日はまだ来てないのかな」とか話していたのですが、この「文屋」になっていきなり「天王寺屋!!」ものすごい掛け声が掛かりました。

ああ、大向こうさん、着たんだよかった。

と思っていましたら、その大向うさんが何回か声を掛けた後に、突然、「うるせえっ!!」オジサンのどなり声。

「うるせえんだよ、てめえ」「なんども大声出すな」「雑音だ」

オジサンが、それこそ大きな声でまくしたてます。

3階席の右側、ザワザワザワ・・・・・・私も思わず、となりのくまにゃに「お前が雑音だよね」と囁きましたが、みんなしで芝居に集中できなくなりました。

その後、大向こうさんはピタッと鳴りを潜めてしまいました。

最初は(確かに多少うるさいくらいに)声が掛かっていたのに、いきなり声が掛からなくなってしまって、富十郎さんが気になさったのではないかと、そっちの方が気になりました。

3階のこの出来事、1階の人にも聞こえていたかなあ。



金閣寺


そんなわけで、このお芝居でも大向こうさんがいなくって、かなりさみしかったです。

やっぱり大向こうさんは大事ですね。歌舞伎の演出の一つだと思います。

幕間に、上品な着物姿のご婦人が、そのどなった男に「あれは大向こうさんだから」「全く無いのもさみしいですし」とやんわり言ったところ「知ってるよ!」「俺は40年、歌舞伎見てるんだよっ」とヤクザのようにすごんでいました。40年も歌舞伎見ているなら、その態度はないだろうと、みんな思ったと思います。


あ、それで「金閣寺」の話ですが、福助祭り、ここでは三姫のひとつ雪姫を演じます。

後半、ほとんど縛られた状態で演じなきゃいけないという点でも、大変難しいお役です。(と、福助さんもブログで言ってました)

しかし、静御前もお姫様姿で縛られて木につながれますが、江戸時代の人は、お姫様の縄縛姿にさぞや興奮したんでしょうね(笑)そういえば、縛られる前にも松永大膳から「言うことをきかないと布団の上での極楽責め」するぞとか、セクハラを受けていました。可愛そう、雪姫!

雪姫の雪は雪舟の雪。涙ならぬ、桜の花びらを集めてネズミを描くとそのネズミが縄を咬み切ってくれるのです。おめでとう雪姫。

花道を去っていく時に、取り戻した家宝倶利伽藍丸の刀身に姿を映して髪の乱れとかをチェックしていた姿がかわいかったです。これも当時のファンサービスなんだろうなあ。


雪姫の夫狩野之介直信の役で芝翫さんが出ます。本当なら雪姫の父親(まさに)といっていいご年齢ですが、とても若々しく上品だったのがさすがです。お元気で頑張って、新歌舞伎座にも出てくださいねラブラブ



長くなったので、夜の部の感想はまた今度。


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