下総佐倉の領主の圧政に苦しんだ領民のために名主木内宗吾が江戸へ出て、将軍に直訴する事件を扱ったこの作品は1851年の初演より数多くの名優により上演されてきました。
覚悟を決めた宗吾と渡し守甚兵衛の義心を描いた「甚兵衛渡し」、大雪の中の悲壮な妻子との「子別れ」、そして自ら将軍へ訴えかける決死の「直訴」などそのドラマティックな舞台はいつの時代も見る者の心を打ち、深い衝撃を覚えずにはいられない名作として現在でも人気を得ています。
今回、命を懸けて国そして民を守る名主木内宗吾を演じるのは中村勘三郎。串田和美の演出により、コクーン歌舞伎ならではの『佐倉義民傳』をどう創り上げていくのか・・・是非ご期待下さい!
4月の歌舞伎熱もすっかり冷めてしまった今日この頃、6月の観劇予定はこれくらい。
くまにゃとキヨ(from静岡)も一緒。
コクーン歌舞伎は初めてというキヨにくまにゃは事前にこう言いました。
「歌舞伎なんだけどね、演出がかわっててタップとかあるらしいの」
そして、幕が開いてくまにゃは焦りました。
タップじゃなくってラップだー
聞いて大笑い。くまにゃの勝手なイメージでは、一揆の場面をタップで表現するとか思っていたらしい
私はそのくまにゃから事前に「泣けるらしいよ」と聞いていましたが、自分は勘三郎では泣かないだろうという予想をしていました。何故かそうなの。鼠小僧でも文七元結でも、何故か勘三郎だとマジ泣きはできないの。勘三郎は嫌いじゃないし「良いもの見た」という気持ちにはなっても、ね。
しかし子どもは卑怯だね。
私は犬と子ども(特に小さい男の子)に弱いから、宗吾の子ども2人がしゃべってるとそれだけで泣けた。
でも、子別れのシーンはくどいと思ったり、最後の貼り付けのシーンはやりすぎと思ったり。泣け泣けという演出に、かえって泣きポイントは外されましたが。
・・・みたいな話をくまにゃとし始めていた時に、キヨが第一声「良かったねえ」といったので、2人はちょっと心の汚れ加減を反省したのでした(笑)
「最後まであきらめない」というテーマはくどいほど直接的に伝わってきましたが(繰り返して叫んでるからね)、それを今の政治に結び付ける最後の演出はどうだろう。好き嫌いわかれるところだと思う。
歌舞伎の演目を現在の思想に結び付けるのって、私はあまり好きじゃない。
(寺子屋も熊谷陣屋も、歌舞伎だから許される話だからね)
新しい演出といえば、そのくまにゃ勘違い(笑)のラップも、私的にはそんなに良いとは思えなかったのだが、
終わって居酒屋での会話。
ちゃたら「私でも聞き取りにくかったのに、私の両隣りにいたご年配のご婦人たちにわかったのだろうか」
くまにゃ「うん、でも清元だって何言ってるか聞き取れなくっても、なんとなく雰囲気でわかる気になるし」
ああ、そういうことか。
ラップが現代の清元、義太夫だと思えば、全部わからなくても良いね
色々書きましたが、見て後悔はしていません。リピートはないけどね。
そうそう、今回2階の最前列だったのですが、今はなき歌舞伎座の2階最前列は私の一番好きな席でそのイメージで取ったのに、あまりに舞台から遠くてビックリ
3階席かと思いました。それで一等席料金だったのが後悔といえば一番の後悔
ま、コクーンの2階席を知ったのはいい経験でした。むりやりポジティブ。
あと、2階最前列は、膝の上を宗吾勘三郎が跨いで通っていったよ。ポジ2つ目。