夜の部
一、一谷嫩軍記
熊谷陣屋
熊谷直実 染五郎
源義経 海老蔵
相模 七之助
藤の方 松 也
白毫弥陀六 歌 六
二、うかれ坊主
願人坊主 松 緑
三、歌舞伎十八番の内
助六由縁江戸桜
三浦屋格子先より水入りまで
花川戸助六 海老蔵
三浦屋揚巻 福 助
白酒売新兵衛 染五郎
くわんぺら門兵衛 松 緑
三浦屋白玉 七之助
福山かつぎ 亀三郎
朝顔仙平 亀 寿
通人里暁 猿 弥
髭の意休 歌 六
曽我満江 秀太郎
口上 左團次
11日と12日に続けて観てきました。
夜の部を先に見たのでそっちから感想書きますと、「熊谷陣屋」が始まったとたん「あちゃー」と頭の中で呟きました。
若手中心の花形歌舞伎なんだから、多小こなれていないのも御愛嬌・・・と、今までは思っていたのですが、今回見た熊谷陣屋は辛かった。4月の歌舞伎座の熊谷陣屋が素晴らしすぎたからでしょう。
染五郎も七之助もがんばっているんだけど、どうしても吉右衛門と藤十郎のが思い出されて、その差が歴然。
いや、比べちゃいけないんだろうけれど。それにしてもね
海老蔵の義経が出てきたときに、前から横から強烈な拍手が起きて気づいたのですが、私が取った席はどうも海老蔵ファンに囲まれていたようです。一階の2列だったのですが、前の席に座っている高齢のご婦人ふたりが、助六では何かというと「成田屋!」と舞台に声掛けていました。大向こうじゃないのよ、一番前なんだから。目の前の役者に聞こえるように呼びかけている感じ。
二人で声合わせて、そりゃ楽しそうに声出すんです。
演舞場だから我慢してやるよという気持ちで聞き流しました。
私は、基本的に女性の大向こうさんというのが好きではありません。男尊女卑というのではなくて、歌舞伎役者が男性だというのと一緒で、大向こうも男性が好ましいのです。そして、大向こうは当然三階から声をかけていただきたい。
大向こうでもなんでもない一階席のファンが勝手に声をかけるなんぞもってのほか。
海老蔵が好きなら好きでまったくかまいませんが、歌舞伎の間はおとなしく見物して、騒ぎたいのなら歌舞伎が終わった後にしていただきたい。
と、そんな海老蔵ファンへの憤りを胸に秘めての助六。どうしても厳しい目で見ちゃいました。
海老蔵の助六は、確かに姿はきれいなんだけれど、台詞がねえ。軽いんですよ。
抑揚をアレンジしているのは技量の無さを隠そうというところなのか?
若いんだから、もっと基本に忠実にやれと言いたい。
そして、助六と言うと揚巻。福助の揚巻。
多分、賛否あると思いますが福助大活躍。
楽しそうでした。あんなに大見得切っちゃってどうするの
くまにゃちゃんに教えてもらった「福助はやればできる子なんだけど、やらなくていいこともする子」という言葉がとても腑に落ちました。
あ、福助が基本に忠実じゃなくっても許せる(あくまで私が)のは、海老蔵ほどには若くないからということでよろしくお願いします(笑)
今回、助六の「水入り」まであるのですが、その場面は「水もしたたる」助六海老蔵よりも、「(私の身体にちょっとでも触って傷つけたら)五丁町は暗闇じゃぞえぇ」の福助の揚巻のほうが圧倒的に男前でした。
先月の玉三郎とはまったく違う揚巻。
熊谷陣屋では先月との落差が痛々しかったのですが、助六の場合はもう完全別物として見られたので、楽しめました。演目に助けられていますね。
並び傾城の芝のぶちゃん、可愛かったです。
福山かつぎの亀三郎さん、カッコよかったです。
通人の猿弥さん、楽しかったです。
染五郎は白酒売り良かったです。熊谷よりもずっとニン。この人は和事のつっころばしの方が似合うよね。
長くなったので、昼の部の感想は次に。