
次の文章を読んで(1)と(2)にふさわしい言葉を埋めなさい。
そういえばこのごろ、「(1)」という応答の慣用語も少なくなったように思える。これは本来、知らぬ人に呼びかける際の言葉で、たとえば「(1)、落し物ですよ」などというふうに使われたものであろう。
すなわち電話という機会を通じて呼びかけるためには、相手の顔が見えていない分だけ謙虚な気持ちになって、「(1)」と口にする必要があったのである。
しかしかくも携帯電話が生活必需品となったのでは、顔の見えぬ相手に対してことさら謙る理由もなく、また発信者は誰であるかはすでに表示されているので、「(2)」となる。
国語の試験風に始めてみました。
国語の試験風に始めてみました。
これはつい最近読んだ浅田次郎先生のエッセイ集からそのまま転記したものです。勝手に使ってごめんなさい浅田先生。ついでにCMしておきますね。
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引用してきた文章は、このエッセイ集の一番初めに入っています。
いろいろ笑えるエピソードが満載です。
で、(1)(2)の答えですが、(1)は、当然「もしもし」です。
(2)は何を入れましたか?
「オレ、オレ」という人もいたかもしれませんが、エッセイ通りの答えは「いま、どこ?」です。
なるほど、私も携帯電話に出る時の第一声は「いま、どこ?」が多いです。
携帯電話が使われるのが、圧倒的に「待ち合わせ」の場面だからです。
普段、仕事以外ではほとんど電話は使いません。
待ち合わせも場所や時間などはメールのやりとりで済ませて、現地についてギリギリ連絡を取る、
それが「いま、どこ?」なのです。
浅田先生の言う通り、電話の向こうの相手の顔が見えている(わかっている)時に、「もしもし」という言葉は必要ないのですね。
ビジネス電話でも「もしもし」は使いません。
新卒で入社した会社は特に電話の研修などなかったので、何も知らない私が、
「もしもし、(会社名)でございます」
と出たら、電話の相手がたまたま上司で、
「もしもしは言わなくていい
」と注意してくれました


ビジネスの場合、電話に出る時は、
「お電話ありがとうございます。(会社名・部署名)、(自分の名前)です」と言って出ます。
相手も「もしもし」とは言いません。会社名と名前を名乗ります。
時たま、会社名しか名乗らない人がいます。
そんな人には「もしもし?」と名前を聞いてみたいですね。いえ、しませんけど。
相手の顔がわからない場合、会社名の後に自分の名前を言うのは礼儀だと思います。
さて、仕事の電話でも携帯電話でも、ナンバーディスプレイ機能の充実で誰からかかってきたかわかるようになってから、ふざけた応対も増えてきました。
私が聞いたおふざけバージョン。
「はい、こちら特捜」 石原軍団かぶれ。
「ライスシャワーです」←馬の名前です。
「例のことは内密に」 ???
いきなり言われると、一瞬思考が止まります。
そんなこんなで電話に出る時の言葉ですが、「もしもし」が消えてしまうのはちょっとさみしい気もします。
江戸時代から続く「申し、もうし」の呼びかけですよ。謙譲の美ですよ。ぜひ22世紀にも伝えましょうよ。
あ、あの歌があった。
もしもし
亀よ、亀さんよ


世界のうちでお前ほど
歩みの鈍いものは無い・・・・・・
って、全然へりくだってない?!
