まずはこれを見てください
みなさんはこれを観て何を感じられましたか?
私は2年前にこれを初めて観たとき、本当に衝撃と共に絶望してしまったのです。
ええ、間違いなく、かわいいです。 のびのび、自由です。
これはブルガリアの音楽の課外授業の様子です。
この日は特別にプロのオーケストラと一緒に歌うという授業だったそう。
子供の頃に必ず歌う曲で、ブルガリア人みんなが知っている、
猫とネズミの追いかけっこの歌です。
リズムに、音楽に、乗っている子どもたち。
みんな、自然体。バラバラ。自由。
音楽を全身で、自由に感じているのがわかります。
これがもし日本だとどうでしょう。
こんなふうに自然体になるでしょうか・・・
教室からこんな声が聞こえてきそうです。
先生「じゃあ、ちゃんとならんでくださーい。そこはみ出てるよー。
音楽が始まったら、はい、右、左、揺れましょう。右からー。
〇〇さーん、みんなとずれてますよー。手のふりは左から〜
きちんとそろえてー。途中、猫の鳴き声、6人決めますよー。
猫①〜③まで、二人ずつ決めましょう。やりたい人〜。
途中よそ見しないようにしましょう〜。」
生徒の心の声「みんなと揃えなきゃ。(キョロキョロしながら)あ、私はみ出してる。
あ、右から動いちゃった。となりの〇〇ちゃんと合わせなきゃ。」
全てがこうではないと思いますが、日本では案外少なくない風景ではないでしょうか。
動画の子どもたちは、音楽が始まってすぐ、自然に身体がノッている。
途中の猫の鳴き声、猫①猫②とか決めてるわけでもなく、
言いたい人が自由に言う。
手の伸ばし方も、身体の動きもバラバラ。
上手にしよう、綺麗にしよう、ではなく好きなようにする。
周りを変に気にしていない。
なにより、とがめる人がいない。
音楽を楽しむ風景として私が思う、とても理想的な、あるべき姿がそこにありました。
もし日本で、自由に動いていいよと伝えたところで、
周りをきょろきょろしながら様子を伺って、
恥ずかしそうに、不器用に動く姿が想像出来ます。
もちろん、美しくそろえることができるのは、日本のすごさです。
これは指導の違いだけではない、人々の気質、国民性の違いでもあるんだ。
そう感じてしまった私は、絶望してしまったのです。
そもそも基盤が違うのだ・・・と。
ダメ押しはこれです。 イリアン、路子ちゃんたちのホームパーティー。
ブルガリアでは、家族や友人と集まってホームパーティーが行われ、
音楽の生演奏を楽しみながら、がつきものだそうです。
プロの音楽隊こともあれば、突然、招待された人に順番に、
何か歌ってよ、吹いてよ、弾いてよ、とまわってきたりします。
このくらいの年の子だと、もう恥ずかしがって嫌がりそうな気がするのですが、
ブルガリアの子どもたちは急にすることになったのに、堂々と歌っています。
突然の無茶振りに、
え、できない、無理無理、お聞かせするようなレベルじゃないから、
なんて日本的思考が存在しないのです。
上手下手は関係なく、じゃ次は私ねー、なんの抵抗もなくその場を楽しみます。
音楽が日常に溶け込んでいるのです。
自然体で音楽を感じられる環境。
明るく、個人の違いを自然に受け入れている国民性。
この2つの動画を見て、当時の私は、
一体、私になにが出来るのだろうか、
これじゃ、日本で音楽をするって、ましてや教えるってあまりにも程遠い、
と思ってしまったのです。
ブルガリアは個人主義、違うのは当たり前、自由で楽観的。大雑把なところも。
かたや、日本は他者を思いやる、強固なシステム社会、勤勉さがある。
もちろん、日本には日本のよさがあり、きちんとした社会が構築されているから、
清潔で安全な生活が送れているのですが、
それゆえに、無意識に、型(システム)にはまろうとしてしまう。
日本で音楽をするには、まず心のブロックを外すところから、
それが出来る環境が必要なのではないか。
音楽をするには、自分、というものを臆さず出せること。
まず自分。
自分を開放し、湧いてくるものがどんなものなのか。
まず、そのスタートラインに立てるかどうかが鍵だと感じたのです。
イリアンや路子ちゃんと、IMAミュージックアカデミーを行った後、
イリアンが真剣に話してくれました。
日本人の真面目さ、誠実さ、繊細さは世界でも類を見ない。
日本人は、そのことをもっと誇りに思っていいし、知っておくべきだ。
素晴らしい可能性をもっているし、尊敬している。
間違いなく、日本の音楽はもっと変わっていける、と。
イリアンの言葉を聞いて、そのとおりだったと改めて日本の良さに気づき、
希望が見えました。
そして、ソルフェージュの無限の力、可能性も教わったことで、
さらなる勇気へと変わっていくこととなるのです。
音楽の、音楽家の真実がみえる。 伊達路子ちゃん(Michiko Ilieva)のブログ
IMAでの路子ちゃんの生徒さん、素晴らしい変貌をとげている Junkoちゃんの実体験せきららブログ。
IMA PIANOでは、広い意味でのソルフェージュ力を育みながら、
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