修学旅行☆彡 | FLAME

修学旅行☆彡

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「お土産いっしょに買おうね♪」

親友のKと私は、バスの貨物スペースから降ろされる自分のクラスの大型リュックを眺めながらそんなハナシをしていた。


「今日泊まるホテルまで結構歩くぞー」

先生が遠くで説明して私たちは

「げ★最悪ー、」
…こんな重いリュック持ってくのぉ?

みんな思い思いに文句をたれる。

ホテルの前で停めればいいじゃんバスを!

やがて荷物は降ろされ、
各々のリュックを手にした私たちは、疲れた足を引き摺って仕方なくホテルへと向かった。

私たちは午前中、この近くの浜で泳いできた。

海に近い道路は、人通りがまばらで、埃っぽかった。
『ファンシーショップ○○』

3軒ほどある店舗のうち、辛うじてシャッターが開いているその店先に、
売れ残りであろう特価品がペンキの剥げたワゴンに乗っていた。

…見ないフリをして通り過ぎようとしたけれど、
埃をかぶったセロファンの向こうから
じっとこちらを見つめる色褪せたヌイグルミと目が合ってしまった。

《半額》

のシールが貼ってあったけど、
きっと
お金を払って買う人は永遠に現れないだろう。
新品の頃はそれなりに高価だったであろうその「ファンシーグッズ」たちが、
その後の私たちの未来を暗示しているかのようで私は目を伏せた。

「…ホテルまだかなぁ!」
Kが吐き捨てるように呟いた。
革靴の裏に粘土でも貼りついているかのように重い足を
手のなかで重みを増していくリュックが痺れてきた頃に誰かが

「着いたー」と叫んだ。


ホテルは、ホテルというよりも旅館のようだった。

ただ、普通のホテルと違う点があった。
ホテルの最上階からは
天に向かって細い筒のようなものが延びている。

その先は違う都市へと続いているようなことを先生が言ってたっけ?

ホテルの中へ入ると半地下状のフロントは意外と広く、真ん中に大きなエレベーターがあった。

フロントの上は4、5階の吹き抜けになっており、それぞれの階の宴会場が見えるようになっていた。

「すごいねー、後で探検しよう♪」

私とKは少し興奮していた。

部屋割りと点呼を済ませて私たちは各部屋へと散った。
客室はなんと地下にあって、それぞれの部屋の窓の向こうは海の中。

部屋へ入ると
ムゥっとした磯の匂いが充満している。
水族館に畳が敷いてあるみたいな感じ?

私とKは早速、
お財布と携帯を持って廊下に出た。

先生たちがまだいて、見回りをしているようだ。

「部屋がわからないのー?」廊下のずっと向こうから、先生が聞いてくる。

先生たちは、エレベーターの周りにいた。

「トイレどこですかー?」
この階には男子トイレしかなく、女子トイレは別の階だと言う。

「センセ、トイレ行ってくるー、」


エレベーターは生徒が使わないように先生がその前で見張っていたのだ。
けれど私たちは他の一般客に紛れてエレベーターに飛び乗った。

「…あ!」

先生の目の前で扉は閉まった。

パタンっ!


ウィー………………ン

エレベーターは上に向かっていた。
しばらくすると、先ほど私たちが集まったフロントに着いた。
が、パッと見お土産さんは無さそうだった。

「どうする?」

「上に行ってみよう!」

エレベーターは各階に止まった。各階は宴会場になっていて、今日の夕食が数えきれないほど並んでいた。
「つまんないね」

「ね」

「どうする?」

宴会場の最上階に着いた。
エレベーターはここで終わり。
戻ろうとしてあたりを見回すと、小さなエスカレーターが見えた。

『○○方面行きはこちら乗り換えです。』


迷わずそちらへ向かった。今まで乗っていたエレベーターは階下へ吸い込まれるように降りて行った…

小さなエスカレーターを昇って行くとまた、
エレベーターがあった。

私たちは何も考えずにそれに乗った。

他にも数人乗っていたけれど、止まるたびに乗ったり降りたりして割と込みあっていた。
途中、何回かエレベーターを乗り換えて…

ずいぶん高いトコロまで来たなあ、そろそろ帰りを心配しなきゃ。

そう思った途端、

「ねえ、なんか臭くない?」Kが言う。

そういえばなんだか…

煙い?

周りの大人もザワザワし出した。

「ね、次降りよう!」

う、うん。


チーン!

着いた先はデパ地下みたいな所だった。
どうやら駅があるらしい。
改札みたいなのが見える。

と、
辺りをサイレンが鳴り響いた。

「煙だ!」

私たちが乗っていたエレベーターから
真っ黒な煙がモクモクとあがっていた。

「なに?」

エレベーターの入り口にモニターがあって
緊急ニュースが流れていた。

ニュースには
さっき見たホテルの外観が映っていた。
映っていた、けど…

ホテルは猛火に包まれていた。

アナウンサーが
地下の一番深い場所にあるボイラーから出火したと告げる。

たった今さっきまで
私たちがいた所…

「みんなは?」

Kが携帯をかける。

…つながらない。

Aちゃんや
Nちゃんや
Y…

誰もつながらない。

モニターの向こうからは

生存者の確認ができないくらい火の回りが早かったことを告げていた。

黒煙吹くエレベーターの扉の向こうに、

さっき別れた先生の顔が浮かんだ…



私たちはエレベーターに乗る前に

たまたま入ったトイレで
誰かが忘れていった
タバコを
吸ったのだ。

一服ずつ、吸ったところで誰かがトイレに入って来たので慌てそれを

火のついたタバコを…


どうした?


便器に投げ捨てた?

つもりだった。


けど

Kは

汚物入れに…


火の消えていないタバコを